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220

No.220 男・41歳
私は、41歳の行政に勤めています薬剤師です。
突然のメールで失礼いたします。
2歳8ヶ月の二男について御相談します。
約1ヶ月前遊園地の鉄棒で首の下を強打しました。
その夜、喉仏の所にしこりがあることに気がつきました。
血腫かこぶで、日にちが経てば治ると思っていましたが、1ヶ月経過してもしこりが消失しないので、3月25日耳鼻科開業医へ連れていったところ、正中頸嚢胞の疑いということで、総合病院を紹介されました。
翌日、3月26日総合病院耳鼻咽喉科を受診し、超音波診断の結果、やはり正中頸嚢胞だろうと言われました。
そして、4月1日午後、CTスキャンをすることになりました。
CTではなくてMRIを希望したのですが、2ヶ月先になるということで、取りあえずCTをやるとのことで、放射線照射等に係る危険性等については、何ら説明がありませんでした。
貴ホームページに掲載されている「子供の頃の頸部放射線照射」に記載されている放射線照射による甲状腺癌のリスクを拝読するにいたり、我が子は現在すこぶる元気でありただの正中頸嚢胞であるならば、取りあえず2ヶ月先まで待ってMRIを受けさせた方が良いのではないかと思いました。
そこで、お忙しいところ大変恐れ入りますが、下記事項について至急、何卒至急お教えください。
  1. すぐにCTをすべきか、2ヶ月待ってMRIにすべきか。
  2. 画像診断的にも、CTよりMRIの方が優れているのではないか。
  3. 正中頸嚢胞から乳頭状腺癌等の癌が発生する危険性はどれくらいか。
  4. 正中頸嚢胞の発生頻度はどれくらいか。
  5. 悪性のものがなくても手術すべきか。
  6. 手術の時期は何歳くらいが適当か。
以上について、よろしくお願いいたします。
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Oyaji's reply
  1. CTによる放射線被爆は将来、甲状腺癌になるような線量ではありません。それはご安心ください。しかし、わたしの考えを申し上げますと、超音波をして正中頸嚢胞と分かっているのなら、CT検査をする意味はないと思うのですが。これは、耳鼻科の医者がよく診る病気ですので、CTスキャンを追加する目的をお聞きください。超音波以上のどのような情報を知りたいために行うのかを。

  2. 画像的には頸部は超音波が一番優れています。

  3. 今までに、正中頸嚢胞から甲状腺癌(ほとんどが乳頭癌)になった例の報告は全世界で150〜200例程度です。それも、10才以下は、たったの4例のみです。4. で説明していますように正中頸嚢胞の頻度を考えますと、甲状腺癌になる頻度はきわめて稀と思います。正確な数字の記載はありませんが、すごく低い頻度であることは、間違いないと思います。

  4. これは、外国の教科書を調べたのですが驚いたことに正中頸嚢胞は全人口の7%もいるそうです。これは、小さいものも含めての話でしょうが。珍しい病気ではないということです。

  5. 上にも述べましたが、甲状腺癌の合併はほとんど考えなくてよいわけです。感染を何回も繰り返すなどの症状があれば、手術の必要があるかもしれません。わたしの経験では、注射針による穿刺吸引で全例が縮小しています。最初の頃は、耳鼻科医に紹介していましたが、今では穿刺吸引で経過みています。充実性の腫瘤や乳頭状の腫瘤が出てきたら、超音波ガイド下に穿刺吸引細胞診を行えばいいでしょう。子供だから、眠らせてやる必要がありますが。

  6. 感染を起こすようであれば、今でも良いでしょう。また、超音波、CTなどで甲状腺癌を疑わせる時点で、いつ手術しても良いと思います。適当な時期とかは、ないようですね。感染や癌の疑いがあれば、何歳でも手術していいのだと思います。
上に答えましたことは、あくまでもわたしの意見ですので、主治医の先生とよく相談して決めてください。わたしは、耳鼻科医でもないし、外科医でもありませんので手術の適応を決めるのはあくまでも主治医の耳鼻科医の先生です。正中頸嚢胞は別名、甲状舌管嚢胞 といいます。それについては、わたしのHPの次のページを参考にしてください。
http://www.j-tajiri.or.jp/source/patient/006/11.html

何かあれば、いつでもメールをどうぞ。Good luck!!
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