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悪性のものは甲状腺結節の5%以下であるため、医学的検査はどの結節が手術を必要とし、どれが観察あるいは治療で管理できるかということを見極めるためのものです。検査には、血液検査、穿刺吸引生検(FNA)、超音波検査、または甲状腺スキャンなどが含まれます。
甲状腺機能の血液検査では、甲状腺が正常な量の甲状腺ホルモンを産生しているかどうかがわかります。時に、甲状腺結節から産生される甲状腺ホルモンが多すぎることがあります。甲状腺ホルモンが多すぎる時の徴候と症状には、神経質、暑さに弱い、過度の発汗、そして体重減少があります。
それに対し、甲状腺ホルモンのレベルが低い場合は甲状腺が不活発であることを示し、これは慢性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)と呼ばれる免疫性疾患により引き起こされることが多いのです。時に、慢性甲状腺炎が甲状腺結節として現れることがあります。慢性甲状腺炎は自己免疫疾患で、徐々に甲状腺機能がやられていき、甲状腺機能低下症になります。甲状腺機能低下症の徴候と症状には、疲労、寒さに弱い、過度の傾眠状態などがあります。甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモン補充療法で簡単に管理できます。
穿刺吸引生検(FNA)は、外来ででき、30分もかからない安全な方法です。直接細い針を結節に直接刺入し、シリンジの中に少量の甲状腺細胞を吸引して採取します。局所麻酔も使えますが、多くの患者は麻酔無しで大丈夫です。主な副作用は、ちょっと痛みがあることと生検を行った部位の内出血です。
普通FNAで、正確な診断がなされます。しかし、 約15%のケースで“疑わしい”とか“不確定”などの不確実な範疇にある結果が出ることがあります。FNAの結果が“疑わしい”と出た場合は、疑わしい結節が癌であるリスクは15〜25%であるため、治療法としては手術の方が好んで選ばれます。
時に、 不確定の結節を“甲状腺ホルモン抑制”試行で管理しますが、この形の治療は必ずしも効果的とはいえません。甲状腺ホルモン抑制は、甲状腺ホルモン剤(レボサイロキシン)を甲状腺の機能を抑制するだけの量、投与します。そのことで、甲状腺結節が小さくなることがあるのです。甲状腺結節が甲状腺ホルモン抑制療法の間に小さくなれば、その結節は良性である可能性が高いと考えられます。
超音波画像診断は、甲状腺の写真を撮るのに音波を使う方法です。外来で、首の上からプローブを動かしながら行います。超音波で結節のサイズと一致性を測ることができます。また、他にも結節があるかどうかがわかります。実際に、触ってわかる結節が1個ある患者の50%に、数個の結節が見つかるのです。超音波は、小さかったり、触知しにくい結節のFNAを行う際のガイドとして、非常に役立つものです。また、甲状腺ホルモン治療を行った後や行わなかった場合の結節のサイズのチェックにも役立ちます。
甲状腺スキャンは、少量の放射性物質(テクニシウムまたはヨード)を投与した後甲状腺の画像診断を行う核医学による方法です。甲状腺のスキャンは、FNAで診断がつかない時に役立つ場合があります。スキャンでは、甲状腺結節が機能している(“ホット”)か機能していない(“コールド”)かがわかります。機能している結節が癌性のものであることはめったにありません。事実、甲状腺癌はすべて“コールド”なのですが、それでもコールド結節の中で、癌である可能性があるものは5%以下です。 |
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