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[006]
先生に聞こう【Ask The Doctor】 Bridge; Volume 12, No4

01:健康食品

質 問 LC, Scarsdale, N.Y.
橋本甲状腺炎に罹っている人は、ウニやにんにくなどの免疫系を活発にするものは避けるべきなのでしょうか。その他に避けた方が良い食べ物はありますか。漢方医や栄養学者が言っていることに一部興味を持っています。

回 答
ウニとにんにくのどちらも、少数の実験的研究で、リンパ球が癌細胞を攻撃する能力を高める物質を含んでいることが示されています。これらの所見の本当の重要性については、まだ不明な点があり、異論もあります。それにもかかわらず、“代替医療”の実践者はそのような食べ物を 免疫系を“賦活”するため勧めるのです。
橋本甲状腺炎は自己免疫疾患で、自分のリンパ球が甲状腺に入り込み、甲状腺の組織を破壊します。MEDLINE(医学情報検索システム)では、ウニまたはにんにくのエキスが自己免疫過程に及ぼす効果についての情報を見つけることができませんでした。したがって、自己免疫疾患のある患者がそのような物を避けるべきであるかどうかについては、わかっていないのです。それにもかかわらず、リンパ球が腫瘍細胞や甲状腺細胞を傷つけるメカニズムは同じであるため、これらの物質が自己免疫の問題を増大させる可能性はあります。
免疫系を“賦活する”その他の化学物質が自己免疫性の甲状腺の病気を増加させることがわかっています。インターフェロン、これは免疫系が慢性感染のある患者で、B型肝炎ウィルスを一掃するのを助ける薬ですが、橋本甲状腺炎を含む、自己免疫性の甲状腺疾患を起こす確率を高めます。
“代替医療”の実践者の多くは、昆布の錠剤や甲状腺エキス、あるいはそれ以外のヨード源を甲状腺の病気に罹った患者に勧めます。世界的に見て、甲状腺機能低下症と甲状腺腫の原因は、ヨード欠乏症が一番多いのです。そして、ヨードを含む物質が、治療の主力になっています。しかし、アメリカではヨード欠乏症は存在せず、そのような治療が、実際は橋本甲状腺炎患者に害になる可能性があります。まだレボサイロキシンを飲んでいない患者(小さな甲状腺腫があり、甲状腺機能が正常か、わずかに低下した患者)のほとんどは、ヨードが甲状腺機能低下症を悪化させ、甲状腺腫のサイズを増加させる可能性があります。ヨードを含んだ浣腸、局所防腐剤、ヨード含有去痰剤、および海草サラダ、日本食、またはポルトガル風シチューも、未治療の橋本甲状腺炎がある患者に問題を生じる可能性があります。

Douglas S. Ross, M.D.は、ボストンのマサチューセッツ総合病院の副医院長であり、甲状腺科の医師です。
Douglas S. Ross医師が、甲状腺の病気や甲状腺の働きに関する読者の一般的なご質問にお答えします。しかし、患者さんの個人的問題についての細かいご質問にはお答えできかねます。個人的に甲状腺の問題についての助言が必要な方は、ご相談なされるようTFAがお近くの内分泌専門医の名前をお送りすることができます。お問い合わせは、ここボストンのTFAまでお手紙かお電話でなさってください。

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