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[006]
先生に聞こう【Ask The Doctor】 Bridge; Volume 11, No2

12:エルジニア(Yersinia)菌およびその他の感染症について

質 問 CS, ハワイ州ホノルル
検査医学誌1995年11月号26巻11号の、ある種の腸内病原菌がその他の疾患にどのような関連性を持つかというレポートをご参照の上、このことについてわかっていることを教えていただきたいのですが。

回 答
自己免疫疾患に関する根本的な疑問の一つは、免疫系が自分自身の体の一部を突然襲うようになる引き金となるのは何かということです。バセドウ病では、甲状腺の細胞上にあるTSHレセプターと相互に反応する抗体が血液中に見つかります(ホルモンが鍵とすれば、そのホルモンの影響を受ける臓器はすべてその鍵がうまく合う錠前を備えているはずです。この錠前が“レセプター”と呼ばれるものです。脳下垂体のTSHは甲状腺を支配するホルモンですが、甲状腺細胞表面にあるTSHレセプターと互いに反応します)。このTSHレセプターは蛋白質で、エルジニアエンテロコリチカ(Yersinia Enterocolotica)菌の中に見出される蛋白質と明らかによく似ています。これは結腸内に見出される細菌で、時に胃腸炎−腹痛、発熱、および下痢−を起こすことがあります。最初、この細菌による感染がバセドウ病の引き金になると考えられていましたが、実際はそれほど簡単なものではありません。この細菌に感染した患者には、TSHレセプターと反応する抗体が生じるのは事実ですが、それで臨床的なバセドウ病が起こるわけではありません。これはまだ研究中の分野です。

Douglas S. Ross, M.D.は、ボストンのマサチューセッツ総合病院の副医院長であり、甲状腺科の医師です。
Douglas S. Ross医師が、甲状腺の病気や甲状腺の働きに関する読者の一般的なご質問にお答えします。しかし、患者さんの個人的問題についての細かいご質問にはお答えできかねます。個人的に甲状腺の問題についての助言が必要な方は、ご相談なされるようTFAがお近くの内分泌専門医の名前をお送りすることができます。お問い合わせは、ここボストンのTFAまでお手紙かお電話でなさってください。

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