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[006]
先生に聞こう【Ask The Doctor】 Bridge; Volume 11, No2

15:慢性甲状腺炎と余分なヨードについて

質 問 JB, ニューヨーク州アルバニー
私はなぜ橋本病に罹ったのか今でもよくわかりません。そして、長いことベタジンシャンプー(ヨードシャンプー)を使っていたためというようなことがあるのだろうかと思っています。…シャンプーの使用は止めるべきでしょうか。

回 答
ヨードは甲状腺に深刻な影響を及ぼす可能性があります。ヨード化塩などに見られるような少量のヨードはあまり問題にはなりませんが、ベタジンシャンプーや皮膚に塗るベタジンあるいはその他のヨード入り消毒剤、ケルプ錠、海草、およびある種のヨード含有製剤はすべて問題となる可能性があります。高いレベルのヨードは、潜在している甲状腺の問題によっては、甲状腺や甲状腺の機能に影響します。世界の中でヨードが欠乏している地域では、ヨードにより甲状腺腫を減らし、甲状腺機能低下症を治せます。アメリカにはヨードが欠乏した地域はありません。治療されていない橋本病は多量のヨードで悪化します。甲状腺腫が大きくなり、甲状腺機能低下症がよりはっきり出てくる可能性があります。しかし、一度レボサイロキシン<注釈:日本ではチラージンS>の投与が開始されれば、ヨードの添加による副作用はほとんどありません。ヨードは、特に結節性甲状腺腫のある患者に甲状腺機能亢進症を起こす可能性があります。面白いことに、ヨード欠乏性甲状腺腫を予防するため、市販の食物にヨードを添加することで、アメリカでは橋本病の罹患率がかえって増加した可能性があります。西ヨーロッパでは、市販の食物にヨードを添加することは一般に行われておらず橋本病の罹患率は低いのですが、結節性甲状腺腫と濾胞性甲状腺癌の罹患率は高くなっています。

Douglas S. Ross, M.D.は、ボストンのマサチューセッツ総合病院の副医院長であり、甲状腺科の医師です。
Douglas S. Ross医師が、甲状腺の病気や甲状腺の働きに関する読者の一般的なご質問にお答えします。しかし、患者さんの個人的問題についての細かいご質問にはお答えできかねます。個人的に甲状腺の問題についての助言が必要な方は、ご相談なされるようTFAがお近くの内分泌専門医の名前をお送りすることができます。お問い合わせは、ここボストンのTFAまでお手紙かお電話でなさってください。

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