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19
[006]
先生に聞こう【Ask The Doctor】 Bridge; Volume 13, No4

19:カルシトニン

質 問
カルシトニンとは何ですか?甲状腺の中のどこで作られるのですか?カルシトニンは何をコントロールしているのですか?また、副甲状腺ホルモンは何をするのですか?甲状腺を取ってしまったら(私はもう甲状腺がないので)、このホルモンがなくなることで、どのような影響を受けるのでしょうか?カルシトニンがないことで骨密度に影響しますか?

回 答
カルシトニンは甲状腺の濾胞周辺細胞またはC細胞で作られるホルモンです。哺乳類より下の種(例えば魚)では、これらの細胞は甲状腺とはっきり異なる別の器官となっています。哺乳類ではこの2つの器官は合体しています。

副甲状腺は、エンドウ豆ぐらいの大きさの4つの器官で、甲状腺とは分かれていますが、甲状腺のすぐとなりに位置しています。

副甲状腺ホルモンは、血液中のカルシウム濃度を正常に保つのに非常に重要なものです。血液中のカルシウムレベルが下がると、副甲状腺は、骨からカルシウムを放出させて腎臓からカルシウムが失われるのを防ぐ副甲状腺ホルモンの分泌を増やします。副甲状腺の機能がなくなった患者は非常に具合が悪くなり、特徴的な筋肉の痙攣(強直)を起こすことがあります。そして、カルシウム剤やビタミンD関連剤の投薬を行なって治療しなければ死にいたることもあります。

効果の高い形のビタミンDはカルシウムの吸収と保持ができるようにし、血液中のカルシウムレベルを保ちます。

カルシトニンは副甲状腺ホルモンとは反対の反応をします。カルシウムレベルが高い時に放出され、カルシウムが骨から放出されるのを防ぎ、腎臓からのカルシウムの尿への排出を促します。しかし、副甲状腺ホルモンとは違って、カルシトニンの欠乏や過剰が、ヒトに有害な効果を及ぼすことはありません。ヒトの甲状腺濾胞周辺細胞は痕跡器官(ヒトの盲腸のようなもの)のように思われます。

カルシトニンは骨粗鬆症の予防に大量に投与されることがあります(しかし、カルシトニンの欠乏が骨粗鬆症を起こすという証拠はありません)。一部の患者では髄様癌と呼ばれるC細胞の癌を生じることがあります。これらの患者では、甲状腺切除を行った後に残った癌の腫瘍マーカーとしてカルシトニンが利用されます。

Douglas S. Ross, M.D.は、ボストンのマサチューセッツ総合病院の副医院長であり、甲状腺科の医師です。
Douglas S. Ross医師が、甲状腺の病気や甲状腺の働きに関する読者の一般的なご質問にお答えします。しかし、患者さんの個人的問題についての細かいご質問にはお答えできかねます。個人的に甲状腺の問題についての助言が必要な方は、ご相談なされるようTFAがお近くの内分泌専門医の名前をお送りすることができます。お問い合わせは、ここボストンのTFAまでお手紙かお電話でなさってください。

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