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30
[006]
先生に聞こう【Ask The Doctor】 Bridge; Volume 14, No4

30:甲状腺疾患と性機能について

質 問
甲状腺の病気と性機能−甲状腺機能亢進症が男性にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
男性のエストロゲンレベルにどのように影響するのですか?
甲状腺機能亢進症は性欲や性行為、また受精能に影響するのですか?
治療でそのような悪影響が元どおりに治るのでしょうか?

回 答
甲状腺機能亢進症は男性の性機能に相当の影響を与えることがあります。男性は誰でもいくらかは女性ホルモンを作っておりますが、甲状腺機能亢進症に伴って、主要な男性ホルモン(テストステロン)から主要な女性ホルモン(エストラディオール)への変換の増加が起こります。これは体組織内で起こる化学反応で、甲状腺機能亢進症を治療しないでいれば、正常より速い速度で進みます。男性の中には乳房が大きくなったり、あるいは乳首の下の方に圧痛があるのに気付く人もおります。性欲は減退しますし、なかなか勃起しなくなることも普通に見られます。精子の産生にも障害が生じると思われますが、受精率を評価した研究はまだ見ておりません。このような変化はすべて甲状腺機能亢進症の治療で元に戻ります。

甲状腺機能低下症が男性の性機能に及ぼす影響については、まだはっきりしないことが多いのです。臨床研究では、性欲の減退以外は一貫して見られる異常がないのです。これはおそらく、無気力や無関心も甲状腺機能低下症で見られることから、甲状腺機能低下症の男性においては非特異的な所見であると思われます。

Douglas S. Ross, M.D.は、ボストンのマサチューセッツ総合病院の副医院長であり、甲状腺科の医師です。
Douglas S. Ross医師が、甲状腺の病気や甲状腺の働きに関する読者の一般的なご質問にお答えします。しかし、患者さんの個人的問題についての細かいご質問にはお答えできかねます。個人的に甲状腺の問題についての助言が必要な方は、ご相談なされるようTFAがお近くの内分泌専門医の名前をお送りすることができます。お問い合わせは、ここボストンのTFAまでお手紙かお電話でなさってください。

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