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喫煙:ほとんど知られていない甲状腺疾患とのつながり

. Dr.Tajiri's comment . .
. 1998.11.19付けのMary Shomonのホームページで紹介されたものですが、今はもう記載されていません。 .
. . .

たくさんの人から喫煙と甲状腺疾患との関連性について、2〜3の重要な質問を寄せられています。
  • 甲状腺の病気と喫煙との間の関係はどのようなものですか?
  • 甲状腺の病気がある場合、喫煙により悪化するのでしょうか?
  • 禁煙後まもなくして、甲状腺機能低下症の診断を受けたのは偶然でしょうか?
では、答えを見てみましょう。

甲状腺の病気ではないが、タバコをやめるつもりである場合
甲状腺の病気ではないが、タバコをやめるつもりであるのは非常によいことです。ほんとうに健康でありたいのであれば、タバコをやめる前に比較の基礎となる甲状腺機能検査(TSH検査として知られています)を受けてください。その後禁煙した後で、かなりの体重増加があったり、一般的な禁煙症状が普通より長く続く場合は、医師を訪ね、潜在性の甲状腺の病気がないかどうか見るためTSHの追跡検査を受けるようにしてください。

1996年に、Usenet newsgroup alt. support. Thyroidに対し、わたしと同じように禁煙した後に甲状腺機能低下症と診断された女性の事例の情報に関する要請を出しました。わたしは、1995年7月にタバコをやめましたが、甲状腺がおかしくなったのは、それからまもなくのことであったと信じています。わたしは、甲状腺の病気と喫煙との関係についてあれこれ考え始めました。

わたしと同じ経験−禁煙してまもなく甲状腺機能低下症と診断された−をしたという女性から夥しい数の返事を受け取りました。そして、もっといろいろな情報に興味を覚えるようになりました。わたしは、アメリカ甲状腺協会に連絡をとり、これらの質問をいたしました。そして、喫煙と甲状腺との関係についてすでになされた研究がいくつかあることを教えてもらいました。そこのニュースレターからの記事を送ってくれたのですが、それはThe Bridge(患者さんとの橋渡し)1993年春号、Vol.8, No.1で、David S. Cooper, M.D., F.A.C.P.による“喫煙と甲状腺”という題のものです。この記事のコピーは協会に電話(1-800-832-8321)にするか、Eメール(tfa@clark.net)で請求できます。

喫煙は間違いなく甲状腺にダメージを与えます
この記事にはタバコの煙の中に甲状腺の機能に悪影響を及ぼす物質が含まれていると書いてあります。研究で、喫煙者は甲状腺の肥大を起こすことが多く、喫煙者の軽度の甲状腺肥大がごくわずかな甲状腺障害の徴候となり得る可能性があると示されています。1993年1月27日号のアメリカ医学会雑誌(Journal of the American Medical Association 1993年; 269巻: 518頁)の論文によれば、喫煙者は非喫煙者に比べ、2倍バセドウ病に罹りやすいということです。この論文によれば、喫煙はバセドウ病患者の目の問題も明らかに悪化させるということです。

喫煙は甲状腺疾患に罹るリスクと重篤度を増加させる
喫煙が橋本甲状腺炎患者に甲状腺機能低下症を起こすリスクを増加させる可能性があることも示唆した研究が一つあります。『橋本甲状腺炎患者における紙巻きタバコの喫煙と甲状腺機能低下症の関係. Journal of Endocrinological Investigation(内分泌学研究雑誌)1996年; 19(9): 607-612』

また、医学誌の論文『紙巻タバコの喫煙と甲状腺. New England Journal of Medicine(ニューイングランド医学雑誌),1995年; 333巻: 964-969』では喫煙には非常に多くの甲状腺機能異常が関連しており、甲状腺に対する影響は単一のものとは考えられないと述べてあります。

甲状腺機能低下症の女性では、甲状腺ホルモンの分泌と作用の両方が喫煙により減少する
しかし、この研究の結果からは喫煙が甲状腺機能低下症を引き起こすことは示唆されておらず、ただ甲状腺機能低下症の重篤度と影響が増すことだけが示唆されています。

喫煙はどのようにして甲状腺に影響を与えるのでしょうか?
タバコの煙の成分の一つにシアン化物があります。これはチオシアネート(メルカゾールやチウラジールに似た構造式であり、一種の抗甲状腺剤である)に変わり、抗甲状腺剤として直接ヨードの取り込みと甲状腺ホルモンの合成を抑制します。煙の中にはもっとたくさんの抗甲状腺作用を持つと考えられる成分があります。トリヨードサイロニンのレセプターとの結合を減少させたり、あるいは肝臓や筋肉、またはその他の器官、あるいはその両者でレセプターと結合後の作用を減じます。

喫煙とバセドウ病/甲状腺性眼疾患
喫煙が甲状腺に及ぼす影響の中でもっともドラマチックなものは、バセドウ病の甲状腺機能亢進症、特にバセドウ病の眼障害に関連するものです。喫煙でバセドウ病の甲状腺機能亢進症が進んでも進まなくても(眼障害があってもなくても)、これらの病気を持つ人の中には喫煙者が多くいることが予想されます。

1993年1月27日号のアメリカ医学会雑誌の論文によれば、喫煙者は非喫煙者に比べ、2倍バセドウ病に罹りやすいということです。この論文によれば、バセドウ病に罹っている人では喫煙により目の病気が明らかに悪化することも述べられています。最近、研究者は喫煙により甲状腺性眼疾患の治療効果が減少するということも知りました。研究者は放射性ヨード治療のみ、またはステロイドを使って放射性ヨード治療を行った軽度の眼症状のあるバセドウ病患者300名とステロイドと放射線による目の治療を受けた重篤な目の合併症のある患者150名の結果をもう一度調べました。

軽度の眼症状のあるグレーブス病患者の中で、喫煙者は非喫煙者に比べ、より重篤な甲状腺性眼疾患に進む可能性が高いのです。放射性ヨード治療とステロイドによる治療は、喫煙者に比べ、非喫煙者に対する効果の方が4倍以上高いこともわかりました。同じ関係がより重篤な甲状腺性眼疾患のある患者にもあてはまります(喫煙がグレーブス病の治療に及ぼす悪影響. Annals of Internal Medicine(内科年鑑)1998年; 129: 632-635)。

禁煙と甲状腺の病気の発病との関係
実際の事例でよく見られるように、禁煙が甲状腺の問題の“引き金”になるのかどうかに関する答えはまだ得ていませんが、医学研究者が甲状腺機能低下症にすでに罹っている患者では、喫煙により病気が悪化することがあり、喫煙が甲状腺の機能に悪影響を与える可能性があることを見出したことは明らかであります。

わたしの考えでは、喫煙/ニコチンが人為的に代謝を高くすることで、甲状腺機能低下症で普通に見られる疲労/傾眠が覆い隠されるのだと思っています。喫煙者が禁煙した時に、この覆いが取り除かれ、甲状腺機能低下症の代謝と甲状腺に及ぼす影響がすべて感じられるようになるのです。

そして、まだ診断されていない甲状腺機能障害があり、適切な甲状腺ホルモン治療を受けていない喫煙者では、禁煙によりニコチンの食欲抑制と代謝促進効果がなくなるため、代謝/体重増加の2重の打撃を受け、甲状腺機能低下症の影響をすべて経験するように思われます。

なぜタバコをやめなければならないのでしょうか?
甲状腺の病気がある人は直ちに禁煙しなくてはなりません!喫煙は現在ある甲状腺の問題を悪化させる可能性が高く、もしグレーブス病または甲状腺性眼疾患に罹っている場合、病気がさらに進行したり、目の問題がこれ以上悪化しないようにするため、絶対に禁煙しなくてはなりません。禁煙のための理由は他にもたくさんあり、その手助けとなるものも他にたくさんありますが、すべて私共のMining Co. Great American Smokeout Special(マイニング社グレートアメリカン禁煙スペシャル、特に当マイニング社の禁煙ウェブサイト)に概要が載っています。

わたしもそこでお世話になり15年間の喫煙後タバコをやめたのですが、同じように禁煙のお手伝いができると思います。もっといろいろお聞きになりたい方はthyoid.guide@miningco.comまでEメールをお寄せください。

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