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甲状腺手術術後の傷跡について

甲状腺の病気は女性に多く、場合によっては手術の必要なこともあります。その場合、気になるのは、傷跡のことです。首は、よく目に付くところであり、夏は特に首を広く露出する機会が増えます。そのようなとき、傷跡は非常に気になるでしょう。今は、皮膚の皺に沿って切開し、皮膚の表面は縫合しませんので、将来は一本の線になります。皺のようにしか見えなくなるわけです。しかし、皮肉なことに、傷をきれいにしたい若い女性程、気を付けないと傷跡が目立ちます。これは、若い女性の皮膚は張りがあり傷口を上下より引っ張り、傷の幅が広くなることがあるのです。傷の幅が広くなると、そこが盛り上がってケロイドのようになるのです。また、女性は、乳房があるために下に引っ張る力が加わり、余計に傷の幅が広くなる可能性があります。子供、高齢女性、男性にはその心配があまりないのです。術後の傷跡をきれいにするために、以下のようないろいろな工夫がなされています。
  1. 若い女性では、傷をわざと盛り上げて縫合します。上下より引っ張る力が加わり、伸びて丁度一本の線にするためです。
  2. 皮膚の表面は縫合しません。ホッチキスのような金具で止めたり、テープを貼るだけです。傷口は3〜4日すれば完全にひっつきます。そのころ、金具やテープを取るわけです。一旦、傷がひっついたら開くことはありません。
  3. バリケアー【写真12】というテープを術後3ヶ月間貼ることもあります。3ヶ月が勝負です。その間、がんばってバリケアーを貼るわけです。効果はあるようです。欠点は、貼っているところが痒くなって、途中で中断を余儀なくされることが、ままあることです。
  4. ブラジャーをきつく締めて、肩に食い込むくらい乳房をつり上げることも重要です。乳房の下へ引っ張る力を軽減するためです。これも、3ヶ月が勝負です。その後は、普通にされて結構です。
  5. 最近は、リザベンというクスリがケロイドを予防する作用があることが分かり、術後3ヶ月くらい服用してもらうことがあります。リザベンは、当初はアレルギーのクスリとして使われていましたが、ケロイドの予防に効果があることがわかったのです。
実際の術後の人の写真を見て下さい。これらの写真はわたしが診ている人たちです。手術は別府野口病院でされた方たちです。傷跡は割合きれいな人を選びましたが、大体このような感じです。

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