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[009]
国際甲状腺連盟(TFI)ニュースレター【ThyroWorld】の抜粋<1>

03:鏡よ鏡…
<心を映す鏡>
サリー・ミッチェル
サリー・ミッチェル
テサロニキでの5月のTFI(国際甲状腺連盟)大会で、2人の素晴らしい女性に甲状腺眼症の心理的、感情的側面について書いてくれるようお願いいたしました。サリー・ミッチェルさんとナンシー・パターソンさんは十分にその資格がある方です。それぞれ御自身がこの病気に罹り、また、それぞれが同じような状態にある人を助けるために甲状腺眼症患者を支える組織を作ろうと思い立ち、実際に設立されました。

個人的に申しまして、どのような形であっても外から見てはっきりわかるように醜い姿を持つ者としては、その事実を受け入れがたいものです。わたし達は皆美しいものが大好きで、美しいものに心引かれ、また美しいものは快く感じるのです。美しいということは、何の問題もなく社会に受け入れられるということです。しかし、姿や形が醜いことはまったく別のことです。このことをわたしはよく知っています。それは、わたしが目が醜くなっただけでなく、顔全体の見かけも全然変わってしまう甲状腺眼症に罹ったからです。

甲状腺眼症は診断が難しい病気です。専門家はここイギリスや世界中で数えるほどしかおりません。そのため、医療専門家の間でも理解があまりなく、この病気になかなか気付かない例があるのも不思議ではありません。この理解と認識の欠如が心理的外傷と苦悩につながるのです。これは非常に気分がすぐれないだけでなく、醜くなったことをどう扱えばよいかわからないからです。結婚や家族関係はきわめて大きなストレスと緊張にさらされます。そのような関係の多くはこの病気でだめになってしまいます。苦しみは深く、患者の中には生活する上で心理的な傷害を受ける人もいます。多くは、職を失い、完全にやる気を無くし、2度と働くことはありません。

私は自分が傷ついたために甲状腺眼症協会を始めました。私が支えや情報、治療を必要としている人を支援し、希望と励まし、そして思いやりを与えるためでもあります。昨年、顧問眼科専門医と私は、メンバーに対して病気のこの部分に立ち向かってきた人の困難な面を浮き彫りにするため、心理学的アンケートをまとめました。回収率は驚くほどで、90%の方が回答を寄せて下さったのですが、全員が読みながら涙せずにいられないほどの苦悶に満ちた話を書いておられました。アンケートを全部記入して下さった皆様には本当に感謝しております。どの方にとっても簡単なことではなかったはずです。最後の質問はこのようなものでした。

“いちばん受け入れがたい病気の側面は何ですか”
  • 外見です。大体いつも憂うつに感じていますし、以前のように生活できません。病気と結婚したようなもので、なかなか振り落とせないような感じです。まわりから孤立しています。
  • 見るたびに私の醜さを甘受しなければならないことです。いつも以前のように見えるようになればと思っています。
  • 家族や友人、仕事の同僚のいうことにあまりにも敏感であることです。
  • 人と目を合わせていることができなくなり、全然魅力がないと感じることは恐ろしいものです。鏡に映っているのは自分ではないように感じ、私の表情は私が感じていることや伝えたいこととは全く違っているように感じます。
  • 私の眼科コンサルタントは、病気の心理的影響について私と話してくれることは全くありません。
  • 身体的、心理的な変化のため、全く違った人間になってしまうことです。異なった“限界”とニーズがあるため、新しい人間を受け入れることは非常に困難です。
  • この病気は人を欺くものです。病気のため、自分自身に批判的になり、自分のしていることがすべて間違っていると考えるようになります。自尊心が失われます。
  • 本当に憂うつです。足の骨を折ればそれだけで同情が得られますが、姿形が醜くなれば馬鹿にされるだけです。
  • かつては私の目で笑うことができたのですが、今では見つめるだけです。目に砂の入ったような責め苦、痛み、夜のテーピングの儀式(非常にロマンチックですが)、精神的身体的、また霊的変化などあまりにも多くてどれを選んでよいかわかりません。要するに永久的な“心の窓”の変化に取り組むことです。
私自身の場合、病気の活動がいちばん盛んな時でしたが、私の息子がとても気分をかき乱されるので、とうてい私を見ることに耐えられないと言ったのです。私は息子の正直さに感謝しました。ここにどのように感じているかを言うだけの勇気のある者がいたのです。今なら、息子にこの悲惨な病気について、この病気が自然に燃え尽きる時が来たら、もっと見かけがよくなるよういろいろなことができると話すことができたでしょう。その最中、息子は私の見かけにただ慣れる必要があっただけでしょうし、私は変わっていなかったのです。私であるということは変わっておらず、ただボール紙の切り抜きのように外見が変っただけなのです。私の魂はまったくそのままだったのです。

皆様にお願いしたいことは、よりよい生活の質が得られるよう損なわれた外観を改善するために手を貸してくださり、情報を提供して下さる医療専門家の熱意と思いやり、そして理解をもって治療を行なっていただくことです。

サリー・ミッチェルさんは甲状腺性眼疾患(TED)協会の設立者で、会長をなさっておられます。
情報や手助けの必要な方、よいお考えのある方は直接ミッチェルさんにお手紙をお出しになるか、インターネットでTEDを検索なさってください。

住所:34 Fore Street, Devon TQ130OHY, UK.(Sally Mitchell)
http://home.ican.net/~thyroid/International/TED.html

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