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[009]
国際甲状腺連盟(TFI)ニュースレター【ThyroWorld】の抜粋<1>

04:甲状腺眼症についての意見
<心の窓>
ナンシー・パターソン
ナンシー・パターソン
3千マイル隔てた、大西洋の反対側で感動的なメッセージをもって応えてくださいました。皆様の言葉全体を通じ、同じような比喩が使われておりました。目は心の鏡または窓ということです。この比喩の同一性は偶然ではありません。それは如何に病気が、目だけでなく魂の存在そのものにまで深く浸透しているのかを裏付けるものです。

まさに“心の窓”である目にもはやあなたの心を見ることができなくなったら、何が起こるでしょう?
身体的には、甲状腺眼症は痛みが強い進行性の病気です。目がひりひりすることや角膜糜爛、光過敏症、眼球突出症、過度の流涙、複視などは身体的な症状です。

精神的には、甲状腺眼症では単なる機械的変化のために認識のプロセスが妨げられます。 読むのが困難であることから、認識が不可能になってきます。遠近感がなくなり、誤りを生じます。数字が重なり合うため、数字の認識の間違いが起こります。そして、私達の多くは文字どおり“誤った壁”にぶつかるのです。

重篤な甲状腺眼症患者のほとんどにとって、感情的、心理的な困難は破壊的なものです。鏡の中のあなたを見返す顔は、一生を通じて変化していきます。−悪い方にです。数年会わなかった友人が文字どおりあなたとわからないこともあるでしょう。ほとんどの人にとって、自己の概念−自分自身についての考え方−は大部分身体的な外観に基づいています。体の見かけがあまりにも大きく変るため、自分自身のイメージや自尊心が自殺的レベルまで落ち込んでしまうことがままあります。患者の中には家から1歩も出ない人もいます。外に出るとじろじろ見られたり、馬鹿にされたり、あるいは小さな子供が叫んだり、泣いたりしながら逃げるという経験をしてきたためです。また、いつもサングラスをかけている人もいます。

甲状腺眼症が合併した重篤なケースのバセドウ病の無力感と絶望感から、もっとも強く、積極的な人でさえほとんど鏡を見ることができなくなってしまうことがあります。まして、自分自身の心を除いたり、バランスのとれた世界観を持ち続けられるわけがありません。

1971年から私は、精神衛生の分野で働いてきました。慢性の生活に変化を来たす病気のある人々の生活における心理的適応と感情的激変に特に興味を持ち、私の専門分野のカウンセリング、看護、および教育を行なってまいりました。例えば、どのような慢性病においても、離婚率はすでに高い社会的レベルを上回っております。16年間の教育的下地とトレーニングがいくらか助けになりましたが、バセドウ病によって引き起こされた困難や混乱、変化に対応するには十分なものではありませんでした。私の目は方向を誤った抗体の直接の餌食となり、抗体は見つかる限りの細胞をすべて破壊したのです。私の表情豊かな踊るような目と自然にカールした髪を気に入っていたのですが、バセドウ病の混乱状態の中で、真っ先に犠牲となりました。

最初から率直で正直な眼科医にかかっていなければ、すなわちその医師が希望を与えてくれなかったら、物事はどれ程悪くなっていたかわかりません。先生は、ちょっとひどいことになるかもしれないが、最後には何か手が打てるはずだと安心させてくださいました。

私の個人的な旅の残りは、バセドウ病に立ち向かっている人々に情報を提供する教育財団を発足することです。私の18年間の開業も14年間の結婚と共に終わりました。私はノースカロライナの山の中のもっと静かで、平和な場所に移りましたが、そこでは結局以前よりもっと困難なスケジュールをこなすことになりました。

私は、この人を意気消沈させる病気から、何かプラスになるものを創造するため、以前自分の敵と思っていたものと仲良くなろうと努めてきました。バセドウ病はなろうと思ってなったものではありません。私は、他にも心の窓があることを知っています。

ナンシー・パターソン博士は国立グレーブス(バセドウ)病協会の設立者であり、会長をなさっています。
情報や希望、支援を求めていらっしゃる方は、下記の住所に博士宛でお手紙を出されるか、Eメールをお送りください。

住所:2 Tsitsi Court, Brevard, North Carolina 28712, USA(Nancy Patterson)
Eメールアドレス:ngdf@citcon.net
またインターネットで情報にアクセスすることもできます。http://www.ngdf.org/

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