診断を受けて約1年後、私の主治医は私の提案に従って、甲状腺ホルモン剤を切り替えることにしました。最初、主治医のパートナーである整骨医より合成T4/T3製剤であるサイローラーを処方してもらっていたのですが、私はインターネット上で甲状腺のニュースグループ(alt.support.
thyroid.newsgroup)や内分泌病の文献などでいろいろ読んでおりましたので、シントロイド(レボサイロキシン、合成T4単剤)がどのようなものであり、それを飲むだけでよいということを知っていたのです。そこで、私がシントロイドを飲むようにしたらどうですかと聞いた時に、先生がそうしようということになったというわけです。
それから、私の髪が抜け始め、生理も28日毎にあったのが24日毎になり、倍くらいひどくなりました。また、卵巣嚢腫ができ、太ってしまいました。そして、当然ながら私のTSHレベルは正常範囲にありました。先生は別の医師の診察を受けて、セカンドオピニオンを得たらどうかと言いました。そこで、主人が自分のかかりつけの内科医に電話して、「甲状腺の病気を診てもらうのに誰かよい先生を知りませんか」と尋ねました。
その内科医は「もちろん私です」と言いました。お医者さんて本当に控えめなんですね。 「でも、はっきり言って家内はものすごくいろいろ物事を知っていて、甲状腺の病気については相当いろんなものを読んでいるし、頭でっかちだと言われたくないんですよ、先生」と主人は言いました。
「あー、それは文献屋さんですね」と医師は言いました。
主人はそれはどういう意味かと尋ねました。医師はノートや小さな紙切れなどを持ち込んで、それを医師に見せる女の人のことをちょっと皮肉って“文献屋”さん(petite
papierはフランス語で小さな紙という意味です。ここでは病気のことに関する記事などが載っている紙切れのことです)と言うのだと説明してくれました。そして、ほとんどの医師はあまりにも“要求が高い”ので、“文献屋”さんを好まないと言いましたが、それでもとにかく診てくれることになりました。 |
“文献屋”さんの女性は、いろんな記事や論文、ノートなどで武装して
医師の診察を受けに行く人のことです。
明らかに、医師の多くはこのような人を好みません。
|
|
|
私は自分の病気に関するノートや資料を入れた紙挟みで武装して、何かうまい解決法があるに違いないという希望を抱き、甲状腺の検査結果を聞きに医師のもとへ行きました。私は、いちばん気になっているのは髪が抜けることで、これはシントロイドと何か関係があるのではないかと思うと言いました。先生はシントロイドで髪が抜けるなんて聞いたことがないと言いました。
「そんなことはないですよ」と言ったのです。
先生は生活の中で何か“ストレス”がないかと尋ね、抜け毛が続いて浴槽やシンクの詰まりを取るドラノ(排水管の洗浄剤)を何本も使わなければならないのはそのせいである可能性が高いと言ったのです。また、私は“正常範囲”にあるので、今ある症状はどれも甲状腺とは無関係であるとも言いました。
「実際、TSHの値が5.5から10の間にある人は血液検査をしない限り甲状腺機能低下症があることさえわからないんですよ。それくらいのことでそんな症状が出るわけありません」と先生は言い切ったのです。
そうですか。先生、それはどうもご親切さま。私は、車の中に20分程座って思い切り泣いてからやっと家に帰りました。それからもうちょっとインターネットをあちこち覗いてみました。そして、ふーむ、なかなか面白いではありませんか。たまたまDrugInfonetのウェブサイトに行き当たりました。これは医薬品に関する文献が載っているところです。ここから直接シントロイドに関する文献の一部を抜粋してみますと、 |
“部分的な脱毛が治療初期に起こることがあるが、一般的に言ってこれは一過性のものである。継続的な脱毛の発生率については不明である” |
|
一般的には一過性である。これは、一部の人ではおそらく一過性でないことを意味するのではないでしょうか。そして、継続的な脱毛の発生率は不明なのです。これは存在しないことを意味しているのではありませんよね。ただ“不明”というだけでしょう。そして、医師No.2は絶対私の髪が抜け落ちるはずがないと断言したのです。私はこの情報をコピーしたものをその医者に見せて文献屋さんをしてやろうかと思いましたが、そうしませんでした。“甲状腺の専門家”として、皆にストレスのために髪が抜けるのだと言うのに忙しくて、そんなものを読む暇がないだけなんだということがわかっていたからです。
その代わり、この情報を医師No.1のもとに送りました。そして、その先生はサイローラーの方が私に合っているということで元の薬に戻すことにしました。何週間も経たないうちに症状は治まってきました。抜け毛もたちまち減ってきました。今のところ問題は一応解決しています。
しかし、もっと大きな問題は私達がどのように医者とうまく折り合いを付けられるかということです。私のかかりつけの先生とは、私がノートや研究や情報を集めて持ち込んでも一切問題が起きることはありませんでした。先生は私のせいでいつも気が抜けないわと言っています。
誰にとってもインターネットで最初に読むのにいちばんよいものは、David Elfstromが書いた『医者との話し方』という題の素晴らしい記事で、これはhttp://www.elfstrom.com/arthritis/articles/appointment.htmlにあります。
Davidさんは次のことに関して、実用的で賢いやり方のガイドラインを載せております。 |
- 健康上の問題に関する記録の仕方とその理由
※健康日記のつけ方と医師の診察を受ける際の準備の仕方についても、“医者へのかかり方:女性のためのガイド”という素晴らしい手引きがあります。
- 予約の取り方とその目的の優先順位のつけ方
- けんかにならないよう口をはさむ方法
※これに関して、練習が必要な方は、Mediconsultウェブサイトの練習のところにある“医師の話に口をはさむには”の項を捜してください。
- 病気のことが書いてあるもの(紙切れ)はすべて持っていくようにしましょう。
- 権力との争いの避け方−疑い深い医者に何か新しいものを試してみようという気にさせる方法
|
文献屋さんクラブは今活動中です。
文献屋さんクラブのメンバーになりたい方は、throid.guide@about.comにご連絡ください<注釈:このクラブはアメリカにありますので、メールは英語でお書きください>。 |