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更年期に考えられることのない甲状腺ホルモン−何百万人もの女性のための考察

甲状腺認識月間1999の新聞記事
更年期症状の治療を受けている女性の多くに、甲状腺疾患が潜在している可能性がある。

ニューヨーク州ニューヨーク−1999年1月13日
更年期様の症状に苦しんでいる何百万人もの女性は、その多くがエストロゲンを飲んでいるにもかかわらずなかなかよくならないのですが、アメリカ臨床内分泌病専門医会(AACE)によれば、実際のところ未診断の甲状腺疾患に罹っている可能性があるのです。更年期には疲労や気分の浮き沈み、うつ病、および睡眠障害のような症状を伴うことが非常に多いのですが、実際には小さなチョウチョのような形をした甲状腺にある病気を見逃しているのかもしれません。甲状腺疾患の徴候や症状があり、そして長期にわたって健康を害す可能性があるにもかかわらず、新しい調査では多くの女性、特に更年期の女性が甲状腺ホルモンの重要な役割を知らないことがわかりました。

今日AACEが発表した新しい調査では、医師に更年期の相談をした女性の4人に1人しか甲状腺疾患の検査を勧められていないことがわかっています。おそらくもっとびっくりされると思いますが、40歳以上の女性の3分の1が医師に更年期のことをまったく相談していないのです。AACEは更年期前後ならびに更年期の症状があるすべての女性に、医師とのホルモン相談のリストに甲状腺ホルモンも加えるよう強く勧めております。「更年期症状と甲状腺疾患の症状の多くが重なり合うため、甲状腺ホルモンの役割が見逃されることが多い理由はよくわかります」とAACE会長のHelena Rodbard, M.D.,F.A.C.E.は言っております。女性が更年期に近づくにつれ、多くの症状が、甲状腺疾患のような他の簡単に治療できる病気のことをまったく考慮することなく、女性がこのような時期に差し掛かったためであるとされることがあるのです。甲状腺疾患の症状は更年期症状にそっくりであったり、あるいは一緒に出てくることがよくあります。

更年期:ホルモンの変わり目
女性の生殖生活の終わりを告げる更年期は、体の機能に甚大な影響を及ぼします。思春期から更年期まで、2種類の性ホルモン−エストロゲンとプロゲステロン−が女性の規則正しい月経周期を作り、子宮に妊娠の準備をさせるのです。あらゆるホルモンと同じように、これらの化学的メッセンジャーは体中を巡り、他のホルモンや粘膜や尿道、乳房、骨および皮膚を含む体の組織と相互に作用し合います。

更年期直前と更年期の最中の何年かにわたって、卵巣が徐々にホルモンを作らなくなってきます。このため、月経に大きな影響がでますし、またある種の臓器の自然の加齢プロセスが加速されます。これは特に循環器系と骨にはっきり出ます。

特に、女性ホルモンレベルの減少と血液中のコレステロールレベルの上昇により、心疾患が起こることがあり、また骨喪失が加速されます。後者は骨粗鬆症になるリスクの増加につながります。このような影響に対処し、更年期症状をいくらかでも和らげるため、多くの女性がホルモン補充療法(HRT)を選択します。この治療には昔からエストロゲンとプロゲステロンを組み合わせたものを含んでいます。

AACEの調査によれば、更年期症状のためHRTを受けている40歳以上の女性の3分の1が気分の浮き沈みやうつ病、および睡眠障害などの症状が続いていると見積もられています。これらの女性については、健康状態に重大な役割を果たしている病気が他にあるものと思われます。この役割は、甲状腺疾患の発生率が年齢と共に増加することを考えれば、さらに重要な意味を持ってきます。

「内分泌病専門医およびホルモンのエキスパートとして、我々は更年期についての患者−医師の会話を甲状腺ホルモンにまで広げるべきではないかと真剣に考えている。更年期に達したほぼ5,000万人の女性の内、少なくとも25%がHRTを受けており、その3人に1人は直接潜在する甲状腺疾患に起因すると思われる症状が続いていることを我々はつかんでいる。60歳以上の女性では甲状腺疾患の発生率がほぼ20%に増加するという事実を考慮すれば、この状況の深刻さが理解できるであろう」と前AACE会長のStanley Feld, M.D., M.A.C.E.は述べております。

甲状腺:欠けているホルモン
更年期にホルモンが関わっているように、甲状腺ホルモンは体全体の機能にきわめて重大な役割を果たしています。比較的小さな器官ですが、甲状腺は体全体の代謝を調製するホルモンを作り出しています。代謝とは体が栄養からエネルギーを作り出す速度のことです。これが心臓や脳、肝臓、腎臓、そして皮膚に影響を与え、筋肉の強さや生殖機能、食欲にも作用します。甲状腺疾患が治療されないままであれば、生活の質の低下や骨粗鬆症の悪化、そして心疾患のリスクの増大などにつながることがあります。おおよそ1,300万人のアメリカ人が甲状腺疾患に罹っておりますが、その半分以上がそのことに気付いておりません。「女性は更年期の開始時期と甲状腺疾患のリスクが高まり、自然の加齢プロセスが始まる頃が同じ時期に重なるため、ホルモン管理が絶対に必要である。このような徴候や症状をあるがままに認識することで、患者も医師も女性を脅かす長期的な健康上のリスクを減少させることができる」とRodbard博士は言っております。

首をチェックしましょう
AACEは更年期症状が出ていると思われる患者に、例え今HRTを受けている場合でも、「甲状腺頚部チェック」という簡単な自己検査を行うよう勧めております。この首のチェックを行うには、鏡の前に立ってコップ1杯の水を飲み、その間に甲状腺が大きくなっていないか、あるいはでこぼこがないかをよく見るのです。この自己検査のやり方を順を追って説明したパンフレットがAACEから出ております。「更年期は一般的に対症療法で治療されますが、首のチェックは甲状腺の病気を確かめる重要な第1歩であり、それは内分泌病専門医による詳しい診査や検査が必要なものであるかもしれません。TSH(甲状腺刺激ホルモン)検査という簡単な血液検査で、医師はほんのちょっとした甲状腺機能の異常も検知することができ、隠れた甲状腺疾患が更年期症状を起こしたり、あるいは厄介なものにしているのかを見つけ出すことができるのです」とFeld博士は述べております。

自己検査で甲状腺が大きくなっているのが見付かったら、甲状腺に異常があると思われます。甲状腺疾患でいちばん多いのは慢性甲状腺炎で、これは不活発な甲状腺または甲状腺機能低下症につながります。これは、甲状腺が十分な甲状腺ホルモンを作れなくなって起こるものです。それよりも頻度は少なくなりますが、甲状腺が必要以上の甲状腺ホルモンを作る時に、活動し過ぎまたは甲状腺機能亢進症が起こります。さらに、甲状腺ホルモン剤を飲んでいる人がホルモン剤の飲み過ぎになることがあり、そのために甲状腺機能亢進症または無症候性甲状腺機能亢進症が起こることがあります。適切な治療を受ければ、甲状腺疾患患者は正常で、活動的な生活を送ることができます。

甲状腺認識月間と“欠けている甲状腺ホルモン”の年
今月、AACEは更年期前後および更年期中に出る甲状腺疾患の症状について医師と患者に教える1年間にわたる公衆教育の第1歩を踏み出しました。この年間キャンペーンのタイトルは「甲状腺:HRT治療の中に欠けている甲状腺ホルモン」というもので、甲状腺をHRTの議論の中に持ち込み、隠れた甲状腺疾患の存在をうかがわせる症状についての認識を高めることを目指しております。

アメリカ臨床内分泌病専門医会(AACE)は国内最大の臨床内分泌病専門医の専門家組織であります。内分泌疾患を持つ患者のケアの改善を求める3,200名の臨床内分泌病専門医が会員となっております。この会の使命は内分泌疾患に対する一般の理解を深め、認識を高めることであり、それによってこれらの疾患を治療する内分泌病専門医の価値を高めることです。「甲状腺頚部チェック」のパンフレットを入手なさりたい方を含め、AACEについてもっと詳しいことお知りになりたい方は当会のウェブサイトwww.aace.comをご覧になり、資料を入手なさってください。

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