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でも、それは単なる説でしょう!

. Dr.Tajiri's comment . .
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John C. Lowe博士よりの回答
多くの線維性筋痛患者が、主治医に私共が発表した低代謝仮説というタイトルの刊行物を渡したと話してくれました。この刊行物は、甲状腺機能低下症と甲状腺ホルモン抵抗性に関連付けた線維性筋痛またはFMSに対する私共の理論的アプローチを述べた小冊子です。また、その患者さん達は医師に私共の代謝治療を試してもらいたいと頼んだ際に、医師が「でもそれは単なる説でしょう!」と言って断ったということも話してくれました。

ちょっとの間、私は将来出す刊行物から「仮説」という言葉を除くのがいちばんよいのではと考えました。しかし、すぐにそれはやめることにしました。なぜなら、私は何よりもまず先端を行く科学的論理家であるためです。そして、私は論理的、科学的な言葉を使うのであって、従来の医学に普通に見られる宣伝文句は使わないのです。事実、あらゆる知識は、それが例え最先端の物理学であっても、科学的には「仮説」なのです。「事実」だと言うより「仮説」と言う方が論理的により正確であるのは間違いありません。そして、これは不適切にも医「科学」という言葉で呼ばれる研究分野の知識ではまったく本当のことなのです。診療で使っている全処置方法の85%が科学的に安全性や有効性、あるいは実際に役立つと証明されたものでないことを知っている医師はおそらくほとんどいないでしょう。このことを考えれば、私共の治療法が論理に基づいたものであるため、それを無視することは私共を異なる基準にあるとみなすいうことになります。

実際のところ、低代謝仮説を除き、論理的分析の検定に耐えられる線維性筋痛の仮説はありません。低代謝仮説を無視する医師のほとんどは、おそらく線維性筋痛に抗うつ剤を処方するでしょう。私の経験では、これらの医師で次のことを認識している人はほとんどおりません。彼らが抗うつ剤を使用する根拠となっている「セロトニン欠乏仮説」が厳密な論理的分析の元ではたちまちしぼんでしまうということです(私はこれを自著「線維性筋痛の代謝治療」なかで証明しております)。これらの医師がこのことに気付いたら、かならず−もし彼らが科学的思考のできる人であればの話しですが−セロトニン欠乏仮説を退けるはずです。同時に線維性筋痛症候群の治療に抗うつ剤を処方しなくなるはずです。何故ですかって?これには2つの理由があります。1]これらの薬は線維性筋痛の治療としては、長期的な効果がなく、2]危険な可能性もあるからです。

まだ、「線維性筋痛の低代謝仮説は単なる学説ですか?」という疑問が残っています。もちろんです。すべての仮説は学説であるのと同じようにです。しかし、この質問は不適当です。適切な質問はこうあるべきです。「低代謝仮説は別の仮説と比べ、どれ程役に立つのですか?」これならはっきりした答えがあります。

広く受け入れられているセロトニン欠乏仮説では、長年研究が行われた後でさえ、効果的な治療につながりませんでした。私はセロトニン欠乏仮説に基づいた治療で線維性筋痛が治った患者が一人でもいるという確かな証拠を誰か出してみろと言っております。まったく対照的に、低代謝仮説は「代謝リハビリテーション」という治療法を生み出しました。この治療法により、数え切れないほどの線維性筋痛患者が改善、または完全に回復しています(回復した人はもはや線維性筋痛の基準を満たしていません)。この治療の有効性は厳格に体系化された臨床試験で記録されております。したがって、「低代謝仮説はセロトニン欠乏仮説のような別の仮説と比べ、役に立つのですか?」と聞かれれば、大きな声で「はい!」と言えます。今日まで、これが有効な治療法を生み出した唯一の仮説です。一部の線維性筋痛患者を完全に病気から解放することができる治療法です。この中でいちばんわかって欲しいことは、低代謝仮説が他の仮説に比べ本当に役に立つということです。

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