現に甲状腺機能低下症の症状に苦しんでいる多くの人は…甲状腺機能低下症とみなし、診断と治療を受ける資格があるのではないだろうか |
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AACEが認めたことは、多くの先駆的な医師の努力や患者の主張から…患者自身が疑ってきたことも含め…何年も遅れている。例えば、ほぼ4年前になるが、内科の教授であるA.P.
Weetman博士がBritish Medical Journal 1997年4月19日号の『隔週論評:甲状腺機能低下症:スクリーニングと潜在性疾患』という論文の中で、次のような独創的見解を述べている。 |
甲状腺刺激ホルモン(TSH)濃度が0.5〜4.5mU/Lの正常範囲内であっても、高い(>2mU/L)場合は将来甲状腺機能低下症を起こしてくるリスクが増加する。分かり易く言えば、甲状腺疾患はあまりにもありふれた病気であるため、多くの甲状腺機能低下症になりやすい人がTSH検査で正常値の中に含まれることになる。そこで、甲状腺刺激ホルモンレベルが2mU/Lを超える患者に対してサイロキシン補充を行なうべきかどうかという疑問が生じてくるのである。 |
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David Derry博士は、2000年7月に当サイトでMary Shomonにインタビューを受けたが、このように語っている。 |
臨床症状と何の相関関係もない検査になぜしたがっているのですか。甲状腺専門医の合意のもとで、実際は患者の具合とは無関係なのにこの検査が治療のフォローアップにいちばん有益だと定められたのです。この結果は恐ろしいものでした。この合意ができてから6年後、慢性疲労症候群や線維性筋痛が現れたのです。これはどちらも甲状腺機能低下による疾患です。しかし、これらの患者のTSHは正常なので、治療を受けることはありませんでした。このTSHの必要性は破棄し、医学生には甲状腺機能低下による状態を臨床的に見分ける方法を改めて教える必要があります。 |
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その他の医師は甲状腺機能を評価する抗体検査の研究を行ってきた。そして、一部のケースでは自己免疫性疾患のプロセスを示す徴候である甲状腺自己抗体があり、TSHの値が正常範囲の患者の治療を行なってきた。Elizabeth
Vliet, M.D.は評判のよい女性保健センターを運営しているが、女性としての立場から、またベストセラー「お願いだから聞いて:女はホルモンに関係あるのではと疑っているのに…医者は知らん振り」の著者である立場からも、TSH検査が女性の甲状腺の健康状態を示す指標だとは決して信じていない。1990年代半ばから、Vliet博士は甲状腺抗体の上昇と正常なTSH値を伴なう症状は、甲状腺ホルモン剤による治療を行なう理由となると言い続けている。ここに博士の本からの引用を載せる。 |
私が見出した問題は、徹底的な甲状腺の検査を行なわずに、甲状腺は正常だと言われる女性があまりにも多いということです。もちろん、ほとんどの人、そして多くの医師が気付いていないことは、検査の正常範囲ということは単に範囲というだけのことなのです。ある人にとっては、具合よく感じ、いちばんよい状態になるためにそれよりも高いレベルか、あるいは低いレベルが必要な場合があるでしょう。検査結果を患者が訴える臨床症状と合わせて見なければならないと思っています。私はTSH値が正常で、甲状腺自己抗体が明らかに陽性である患者(この患者さん達が正常だと感じるために甲状腺ホルモン剤の投与を行っています)を100人以上診ていますが、2名を除き全員女性です。このタイプの見落としは、特に甲状腺炎と呼ばれるタイプの甲状腺疾患が多いのです。この病気は男性より女性の方に約25倍多く見られます。この病気の女性にはTSHが上がってくる何ヶ月も、あるいは何年も前から症状が出ていることがあります。 |
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1年ほど前に出版した私自身の著書である「甲状腺機能低下症とうまく付き合う:医者が言わないこと…そこのところを知っておかねば」の中に次ぎのようなことを書いた。 |
検査室で、現在使われている甲状腺機能の『正常』範囲を定めたTSHレベル、そして主な診断の手段としてのTSH検査の使用については、相当な見直しが必要である。TSHが0.5〜5.5
mU/Lというだけでは、甲状腺機能が『正常範囲』であるという診断のための十分な情報とはいえない。British Medical
Journalに報告された研究では、2mU/Lを超えるTSHレベルは正常ではなく、その代わりに甲状腺疾患を起こしてくるリスクの高い人が含まれる可能性があることがわかった。これは本当の『正常範囲』がおそらくはもっとはるかに狭く、正常範囲の下限の方に集中するのではないかということを意味する。この問題を総合的に見て、甲状腺自己抗体を持たず、今後甲状腺疾患を起こしてくることのない人の集団に対する真の正常範囲を評価する新たな研究が必要である。 |
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