情報源 > 患者情報
[049]
オリジナル→
[049]
アメリカ最大の甲状腺疾患患者組織であるアメリカ甲状腺協会の2001年の計画と展望
Mary J. Shomon

Kevin R. Laverty氏は、今回新たにアメリカ甲状腺協会(TFA)の理事に就任されましたが、この度2001年1月にTFAの最近の活動と今後の計画についてお話しをうかがう機会がありました。

Mary J. Shomon アメリカ甲状腺協会は、患者と専門家両方を対象とした甲状腺疾患の教育のため、また一般の甲状腺疾患への理解を深めるために1985年に設立された非営利組織とうかがっておりますが、今現在の会員数はどれくらいでしょうか?また、患者さんと臨床家の割合はどの程度になっているのでしょうか?
Kevin R. Laverty 2000年12月1日現在で約4,500名の会員数となっております。会員の大多数は甲状腺疾患患者あるいは患者の家族で、およそ99%を占めております。
Mary J. Shomon もし、誰かTFAに入会したいと思っている人がいるとしますと、会員となることによりどのような利益があるのでしょうか?
Kevin R. Laverty 私共はニュースレターやブリッジという情報誌を出しておりますが、甲状腺疾患に罹っている誰か他の人が情報や支援を得ることに力を貸しているということを知る満足感もあります(会費には書籍や論文の無料リプリント分も含まれています)。
Mary J. Shomon TFAが福祉救済および一般の意識を高めるという見地から行っている活動の中でもっとも重要なものの一つが800にも及ぶ電話回線の運営ですが、もう少しそのことについて詳しくお話ししていただけますか?年間どれくらいの電話がかかってくるのですか?そして電話でどのような情報が得られるのでしょうか?
Kevin R. Laverty この800回線の電話は、私共が提供している中でもっとも重要なサービスだと思います。これは年間365日、24時間いつでも利用できるようになっています。2000年末までに、20,000本近い電話をいただいています。月曜から金曜までの営業時間中には個人的に電話のご相談にお答えしておりますが、それ以外の時間はいつでもメッセージを残せるようになっております。資料の郵送を請求することもできますし、スタッフの一人が直接個人的にお話をうかがうこともできます。電話をかけてこられる方には、具体的な質問をなさるようお勧めしております。そうすれば気になさっていることにことについての情報を揃えて差し上げることができるからです。私共の方でご質問にお答えできない場合は、他に答えることができる人を紹介する場合もあります。
Mary J. Shomon TFAは地方支部と関連グループを運営しているそうですが、地方支部や関連グループの数はどれくらいあるのですか?そして、支部や関連グループが自分の地域にあるかどうかということはどのようにしたらわかるのですか?
Kevin R. Laverty 残念ながら、地方支部のネットワークは修復が必要な状態です。最盛時には、MA, NY-NJ-CT, MD, NC, FLそしてCAに支部がありましたが、現在活動している支部はNY-NJ-CTとMDのみです。
Mary J. Shomon 自分の住む地域ですでに活動を止めた支部あるいは関連グループを立ち上げたいという患者さんに対して、TFAにはどのような提言または情報があるのですか?
Kevin R. Laverty 現在のところ、TFAは新たな支部のスポンサーとなる立場にありません。将来はそうしたいのですが、いつかということははっきり言えません。もし、そこで支援グループを立ち上げたい患者さんがいれば、そのグループに進んでアドバイスをしてくれる医師を捜すようお勧めいたします。また、支援グループを立ち上げたい方は私共にお知らせくださると、手伝ってくれる医師と私共の方で連絡がとれるようにして差し上げられるかもしれません。
Mary J. Shomon TFAの委員会あるいは評議会の委員を務めている患者さんはいらっしゃいますか?それともすべて医療関係の専門家や企業のスポンサーだけでできているのでしょうか?甲状腺疾患患者の見方や利益をどのようにTFAの目標や目的、計画などに組み込まれるのでしょうか?
Kevin R. Laverty 10名の委員会メンバーの内、5名が甲状腺疾患患者で、3名が甲状腺専門の内分泌病専門医です。メンバーにより私共にもたらされたフィードバックにお答えするべく、また甲状腺関連団体にプラスの効果をもたらすべく最善を尽くしております。私共は心を読むことはできません。ですから、何か気にかかることやご意見がありましたらぜひ電話でお知らせください。今日までTFAが着手してきたプロジェクトの最大の障害は資金調達です。本年度は幸いにも非常に多くの資金をお寄せいただきましたが、まだ資金不足のため進んでいないプロジェクトがあります。
Mary J. Shomon 製薬会社からの資金はどれくらいの割合で出ているのですか?製薬会社スポンサーのマーケティングの利権と組織の使命や患者の利益とのバランスをどのようにとっていらっしゃるのですか?
Kevin R. Laverty 確かに製薬会社から資金提供を受けていますが、それは予算全体の25%にもなりません。残りの資金は気前の良い友人やその他の非営利団体からの寄付でまかなっています。TFAは、甲状腺疾患患者がどうなっているのか知る権利があると信じています。この精神で、製薬会社に代わって資料をメンバーの方に郵送しておりますが、メーリングリストを共有することは決してありません。メンバーの役に立つと思われる情報があれば出しております。どれか特定の会社をひいきするようなことはありません。
Mary J. Shomon TFAは「シントロイド集団訴訟」に関する問題にはまったく名前が出ていなかったのが目を引きますし、「甲状腺疾患の患者を馬鹿にしたMarriottの広告」の問題に関しても関わっておられませんでした。その他にも甲状腺疾患患者の権利が問題になっている状況においてもはっきりした立場を示しておりません。そのことからTFAはその役割りを一般の意識向上と教育の方に重きを起き、甲状腺疾患患者問題に対する援護あるいは「ロビイスト」としての役割りにはあまり力を入れていないのではないかと思うのですが、その点はどうお考えですか?
Kevin R. Laverty TFA規則の第2条にはこう書いてあります。「目的は甲状腺疾患患者とその家族への情報提供と支援である」。私共は甲状腺疾患患者の援護についてももっと積極的な役割りを果たしていきたいと思っておりますが、実際のところ今までそうしてこなかったことは認めねばなりません。今は、内部組織の強化を図っているところで、近い将来援護プロジェクトを行うことができるようになると思います。しかし、TFAの主な目標はあくまで患者とその家族、そして一般の教育と支援であります。
Mary J. Shomon 多くの患者さんが病気の原因についての研究が…もちろん予防についてもですが…進んでいるのかどうか、それと甲状腺の病気を引き起こす、あるいは悪化させる恐れのある食餌や環境要因についても知りたがっていると思うのですが、この分野での研究あるいはプログラムにTFAは関わっているのですか?
Kevin R. Laverty TFAは甲状腺の病気を引き起こす可能性があるいくつかのファクターを調べる臨床研究に関わってきました。現在は、医療諮問委員会の医師に連絡を取り、バセドウ病患者の治療後に起こる問題やその予防法を確かめるための治療後の長期フォローアップ計画を組織しているところです。
Mary J. Shomon TFAが受ける電話の数や私が毎週お答えしている何千もの電子メールから見て、罹っている甲状腺疾患に対する内分泌病学的に最良と思われる治療を受けていらっしゃる多くの患者さんが、まだ山ほど多くの症状に苦しんでおられ、もっとよい解決法や治療を求めていらっしゃるということに気付いてもおかしくないはずですが、この蔓延している問題に取り組むため、TFAはどのような計画や研究、あるいはプログラムを今後実施する予定ですか?
Kevin R. Laverty 先に述べた長期フォローアップに加え、私共の医療部長であるWood博士がハーブ治療やその他の代替医療の文献について詳しい調査を始めています。
Mary J. Shomon 2000年に、1,300万人ものアメリカ人が未診断の甲状腺疾患に罹っている可能性があるということが研究でわかったのですが、そのような未診断の人達が診断を受けられるようにするために出す甲状腺疾患についての情報に関して、2001年のTFAの計画としてはどのようなものがありますか?
Kevin R. Laverty 最近の研究につきましては、高水準のプロジェクトの計画がいくつかあります。しかし、これらの研究で見出されたことはまだ間違いないというところには至っておりませんので、言うわけにはいかないのです。これからどうなるかわかりませんが、はっきりしたお約束はできません。
Mary J. Shomon TFAは2001年に新しいウェブサイトを導入すると承知しておりますが、何かそのサイトに新しい特徴があれば教えていただけますか?新しいURLは何ですか?そして、正確にはいつ新しいサイトが「開始」になるのですか?
Kevin R. Laverty 新しいサイトはhttp://www.allthyroid.org/です。今現在、サイトの一部はアップされ、使用できるようになっていますが、正式な運用開始は2001年12月初頭に予定されております。サイトの新しい特徴についてはまだ委員会で検討中であり、まだ協議が終っていませんので、詳細はお話しできません。
Mary J. Shomon TFAが2000年終わりに引っ越したことを知っておりますが、皆さんがTFAと連絡を取れるよう、新しい連絡先を教えていただけますか?
Kevin R. Laverty まず、メンバー全員の皆様と特別のお力添えをいただいた支持者の皆様にお礼を申し上げたいと存じます。皆様のお力添えがなければ、引越しは完了しなかったでしょう。では、新しい住所は410 Stuart Street, Boston, MA 02116です。フリーダイヤルは同じ1-800-832-8321のままです。ボストン地域にお住まいの方でしたら、当地の番号は617-534-1500、ファックスは617-534-1515となっております。電子メールを送られる方はinfo@tsh.orgまたはinfo@allthroid.orgまでお寄せください。
Mary J. Shomon TFAに入会したい場合、費用はどれくらいかかるのですか?また、どうやったら入会できるのですか?
Kevin R. Laverty 会費は現在$25.00(65歳以上の方は$15.00)となっております。入会したい場合は電話や手紙、電子メールあるいはファックスでご連絡くだされば、申込書をお送りいたします。
Mary J. Shomon 何か他に甲状腺サイトについて読者におっしゃりたいことがありますか?
Kevin R. Laverty 甲状腺の病気についての情報や医師の紹介、あるいは誰か話しを聞いてくれる人が必要な方は、私共に電話をください。私共は甲状腺疾患患者、その家族を支援するため、また一般に情報を提供するためにここにいるのです。何か調べたいことや説明したいことがありましたら、どうかお知らせください。精一杯取り組ませていただきます。健康への道は平らかではありませんが、私共が多少とも道ならしをして進みやすくしたいと思っております。

アメリカ甲状腺協会
410 Stuart Street, Boston, MA 02116

もどる