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治療法は以下の3つである。 |
- 手術
- 抗甲状腺剤
- 放射線治療
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甲状線機能亢進症の治療としては手術が過去には一般的であったが、現在は合衆国ではほとんど行われなくなってきた。抗甲状腺剤に副作用のある妊婦や放射性ヨード治療は嫌だが早く治りたい希望のある非妊婦などが手術の適応となる。非常に大きな甲状腺腫、結節を持つものや小児の甲状腺機能亢進症患者に対して手術を勧める医師もいる。
手術の後遺症としてはまれであるが、術後上皮小体機能低下症と声帯麻痺になることがある。手術は熟練された、そして経験豊富な甲状腺外科医によって行われるべきである。 |
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抗甲状腺剤にはメルカゾール(Tapazole)とプロピールチオウラシル(PTU)がある。1940年代から使われており、寛解に至らしめる目的で使用される。寛解率は報告によりまちまちであるが、一般的に再発は高頻度である。治りやすいのは甲状腺機能亢進症状の軽いものや甲状腺腫の小さいものである。抗甲状腺剤療法にはジンマシンや、まれに無顆粒球症と肝炎などの副作用がある。この治療の成功は患者が真面目に薬をのむかどうかで決まる。妊娠中の甲状腺機能亢進症には抗甲状腺剤療法が最も適している。高齢者や心疾患を持つ患者では放射性ヨード治療の前に、抗甲状腺剤で前治療を要することもある。内分泌科医によっては小児甲状腺機能亢進症に対して抗甲状腺剤療法を好むものもいる。抗甲状腺剤だけで甲状線機能亢進症を治療するやり方もあるが、合衆国では少数の患者で試みられるに過ぎない。 |
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放射性ヨード療法が合衆国では現在標準的な治療法である。多くの臨床内分泌医は放射性ヨード療法では甲状腺組織を破壊する量を投与すること好む。患者の甲状腺機能を正常にすることを目的とする少量の放射性ヨード療法を好む医者は少ない。甲状腺を破壊する量の放射性ヨード療法は少量の放射性ヨード治療に比べてより早く甲状腺機能亢進の症状を抑える。
放射性ヨード治療は安全である。しかし、たいていの患者が甲状腺機能低下症になって、生涯の甲状腺ホルモン服用を要する。妊娠可能年齢の患者に放射性ヨードを使うことをためらう内分泌医もいるが、放射性ヨード治療が妊娠に悪影響を及ぼす証拠はない。特に、不妊の原因にはならないし、奇形にもならない。本人および生まれてくる子供にも癌の危険性はない。高齢または心臓に問題を持つ甲状腺機能亢進症患者が放射性ヨード治療を受ける際には、その治療前に抗甲状腺剤を投与して甲状腺内に溜まった甲状腺ホルモンを枯渇させる。そうすることで放射線甲状腺炎による甲状腺機能亢進症の危険を減らすことができる。放射性ヨード治療は胎児の甲状腺機能を廃絶させる可能性があるので、妊婦には禁忌である。放射性ヨード治療後6ヶ月は妊娠を避けるべきである。同じく、授乳中の女性でも放射性ヨードはミルクに出るので放射線治療は禁忌である。20歳以下の若年者への放射性ヨード治療はとくに問題ない。
放射線治療後、甲状腺機能低下症になったら甲状腺ホルモン療法が慎重に始められるべきである。甲状腺ホルモン投与量は患者ごとに決めなければならない。甲状腺を破壊する量を投与して早期に甲状腺ホルモン剤を始めるやり方の良い点は甲状腺機能亢進症状を迅速に良くし、甲状腺機能低下症の合併症を最小限に止めることである。 |
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甲状腺機能亢進症の診断がついたら、患者は病気と治療法の説明を受けるべきである。内分泌医だけで治療の選択を決めるより、むしろパートナーとして患者を巻き込んで、一緒に決めることが大切である。
もし患者が放射線治療を受けることを選ぶなら、治療法の説明を受けるべきである、そして治療に対する同意書に署名しなければならない。妊娠していないことを確認しなければならない。放射線治療後に、患者はフォローアップの方法の説明を受けるべきである。
放射性ヨード摂取率検査は治療前に行って、破壊性甲状腺炎やヨード取りすぎを除外して放射性ヨードの投与量を決めるべきである。甲状腺シンチは中毒性甲状腺結節とバセドウ病の鑑別に有用である。中毒性甲状腺結節は放射性ヨード療法が効きにくく、より多い量の放射ヨードを必要とする。
ベータ遮断剤は交感神経の緊張を和らげ、放射線治療の前処置として使用できる。甲状腺機能亢進症患者では少量のベータ遮断薬では効かないことがあり、そのような場合にはより多くの量を必要とする。患者の甲状腺機能亢進症状が落ち着いたら、ベータ遮断薬は減量し中止できる。重症の甲状腺機能亢進症では放射線治療後に無機ヨードや抗甲状腺剤を投与する。
放射線治療後、患者は 甲状腺機能が正常になるまで、しばらく定期的に診察を受けねばならない。たいていの患者は甲状腺ホルモン補充療法を必要とするであろう。診察は4~6週の間隔であるが、それぞれのケースで決めるべきである。患者は通常3ヶ月以内に甲状腺機能低下症に陥り、放射線治療後2ヶ月経ってから甲状腺ホルモン剤の補充が始まる。これは検査結果と臨床症状によって決定される。この頃の患者の甲状腺機能は正常から低下にと急速に変化する。この時期では血中TSHは、まだ反応しきれないので、機能の良い指標ではないかも知れない。TSH反応の回復には2週間から数ヶ月を要するかも知れない。
いったん甲状腺機能が安定したら、診察の間隔は延ばすことができる。 まず3ヶ月、そして次に6ヶ月、そして次に毎年と延ばしていく。しかしこれは医師の判断に従って修正されることができる。 |
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妊娠中の甲状腺機能亢進症は特別な問題としてとりあげられ、臨床内分泌医によって管理されるべきである。放射性ヨードが胎盤を通過するために、放射線治療は、妊婦では禁忌である。抗甲状腺剤が妊娠中の甲状腺機能亢進症に対する一番適した治療である。米国ではPTUはメルカゾールより好んで使われる。抗甲状腺剤はどちらも胎盤を通過するので、過剰投与は胎児の甲状腺機能を抑えるかもしれない。それ故に、抗甲状腺剤はできるだけ少ない量を投与し母親の甲状腺機能を正常の上限に保つように使われるべきである。妊娠それ自身は甲状線機能亢進症に対しては良くするような効果を持っているから、妊娠が進行するにつれて、通常抗甲状腺剤の投与量は減る。しばしば抗甲状腺剤は出産の前に中止できる。
患者が治療に積極的に参加することは妊娠中の甲状線機能亢進症を治療していく上で大切であり、治療の効果を大きく左右する。患者がバセドウ病の危険を理解し、病気についてや治療に関する知識をもつことは不可欠である。患者教育をしっかりすると患者は治療をちゃんと受け、治療法を変更するときの理解にも役立つ。このような条件のもとでは、患者は治療中に起こってくる問題にたいしても早く気付くので内分泌医も異常に早めに気付くであろう。
患者は同じく、産後の健康あるいは彼女の赤ん坊の健康で起こるかも知れない異常に関しても知らせられるべきである。彼女は甲状腺疾患を持っていることを小児科医に知らせるべきで、赤ん坊が新生児の甲状腺機能亢進あるいは甲状腺機能低下になるかも知れないということの説明を受けなくてはいけない。新生児の甲状腺機能は出生において検査されなくてはならない。
また、患者は産後には甲状腺機能亢進症が再発しやすいことを知っているべきである。これはバセドウ病あるいは産後甲状腺炎で起こりやすい。もしバセドウ病が産後に再発したら、患者は抗甲状腺剤の再投与か放射線治療のどちらを選ぶか選択しなければならない。患者が授乳中なら、放射線治療を受け取るべきでない、もちろん、妊娠中でも同様である。患者は、産後に甲状腺機能が正常になるまで、臨床内分泌医によって観察されるべきである。
甲状線機能亢進症の治療で甲状腺機能が正常になっている妊婦でも、胎盤通過性の甲状腺刺激自己抗体(TSI、TRAb)を持っているかも知れない。母体のTSI(TRAb)の測定は胎児が甲状腺機能亢進症をもっている可能性をみるのに有用であり、内分泌医の臨床判断に基づいて検査をオーダーする。 |
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眼球突出症とその他の眼症状は甲状腺眼症の特徴であり、甲状腺機能亢進症がない場合でも時折見られるかも知れない。甲状腺機能が正常のバセドウ病患者でも重症の甲状腺眼症が起こりうる。甲状腺眼症の疑いのある患者では徹底的に甲状腺の検査をする必要がある。特に片眼の眼球突出症のケースでは、眼窩CTあるいはMRIが必要である。甲状腺眼症に特徴的である外眼筋の肥厚があれば眼窩腫瘍を除外するのに役立つ。診察の際に眼球突出を測定すれば、眼球突出症の増悪を知ることができる。患者に治療をちゃんと受けてもらうために、なぜ、サングラス、人口涙液、睡眠時の目の保護や頭を高くして寝ることなどが必要であるかを患者に説明するべきである。重症の甲状腺眼症に対しては、グルココルチコイド治療、眼窩への放射線照射、あるいは外科治療が考慮される。甲状腺眼症の治療に慣れている眼科医への対診はこのような患者を管理する上で有用である。 |
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軽症甲状腺機能亢進症とは血清TSHが正常以下に抑制され、血清T4とT3が正常の状態を言う。当然、副腎皮質ホルモン使用時、他の重症疾患や脳下垂体機能低下症のようなTSHが低値になるような他の原因は除外されねばならない。高感度TSHの開発は軽症甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンの産生過剰や甲状腺ホルモン剤の過剰投与による)の診断を容易にした。バセドウ病、中毒性甲状腺結節あるいは中毒性多結節性甲状腺腫による軽症甲状腺機能亢進症はたいていの場合治療を必要とする。抗甲状腺剤、手術あるいは放射線治療のうちどの治療法を選択するかは、その患者の病名、年齢、妊娠の有無や他の医学的要素による。
適切な甲状腺ホルモン補充療法では、 血中TSH濃度は正常である。もし血中TSH濃度が正常以下に抑制されているなら、甲状腺ホルモン剤の投与量は減らされるべきである。例外は甲状腺癌術後に行う甲状腺ホルモン剤によるTSH抑制療法であり、この場合は血中TSHは正常以下に抑制されていることが望ましい。一部の医師は良性甲状腺小結節に対して甲状腺ホルモンによるTSH抑制療法を試みる。第3世代あるいは超高感度TSHは最適な甲状腺ホルモン剤の投与量を決定するのに役立つ。
甲状腺ホルモンの過剰投与は避なくてはならない。このような甲状腺ホルモンの過剰投与を長期に続けると、特に閉経後の女性にとって骨粗しょう症を引き起こす可能性があり、骨折の危険性が増す。同じく、過剰な甲状腺ホルモン投与が心房細動や心臓肥大を引き起こすかも知れない。医師と患者は甲状腺ホルモンの過剰投与の可能性とそれに随伴した危険に注意を払わねばならない。 |