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放射活性ヨウ素による甲状腺機能亢進症治療後の死亡率
Mortality after the treatment of hyperthyroidism with radioactive iodine
背 景
甲状腺機能亢進症は多くの臓器系に影響を及ぼすが、その影響は通常可逆的と考えられている。甲状腺機能亢進症が死亡率に及ぼす長期的な影響はわかっていない。
方 法
1950〜89年のあいだに、イギリスのバーミンガムにおいて放射活性ヨウ素で治療した甲状腺機能亢進症の被験者7,209人のコホートにおいて、人口に基づく死亡率試験を実施した。被験者の生命状態は1996年3月1日に求め、死亡した被験者については死因を確認した。死因に関するデータをイングランドとウェールズの年齢別死亡率に関するデータと比較した。相対危険度の尺度として標準死亡率比を用い、死亡率に及ぼす共変数の効果は回帰分析によって評価した。
結 果
105,028人の追跡期間中、被験者3611人が死亡した;予想死亡数は3,186人であった(標準死亡率比、1.1;95%信頼区間、1.1〜1.2;p<0.001)。大腿骨骨折(26人の死亡増加;標準死亡率比、2.9;95%信頼区間、2.0〜3.9)とともに、甲状腺疾患(106人の死亡増加;標準死亡率比、24.8;95%信頼区間、20.4〜29.9)、心血管疾患(240人の死亡増加;標準死亡率比、1.2;95%信頼区間、1.2〜1.3)、そして脳血管疾患(159人の死亡増加;標準死亡率比、1.4;95%信頼区間、1.2〜1.5)による死亡では、リスクが増加していた。死亡率の増加は、放射性ヨウ素療法の初年ではもっとも明白で、その後減少した。
結 論
放射性ヨウ素で治療した甲状腺機能亢進患者では、すべての原因による死亡率および心血管疾患、ならびに脳血管疾患、および骨折による死亡率が増加している。
出典:J.A.Franklyn, and others, N Engl J Med 1998; 338: 712-718
今回はアイソトープ治療後の甲状腺機能亢進症の患者を対象としています。大体においてアイソトープ治療を受ける人は他に何かの疾患(例えば、心臓病や脳血管疾患)を抱えていることがあるので、抗甲状腺剤や手術の治療を受けた人にそのまま当てはまるかどうかは、今後の研究を待たねばならないと思います。あと一つ気になるのは、甲状腺機能状態が全く示されていないことです。アイソトープが効きにくくて甲状腺機能亢進症の状態が続いていたのか、反対に甲状腺機能低下症になって治療を受けていなかったのか?これらのことは、非常に大切な要素です。NEJMの論文ですが、そのまま、はいそうですかと信じるのは早計かもしれませんが、こんな論文が出ていたこと紹介しました。
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