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FCDCまたは髄様癌のどちらかで、頚部に(支持組織またはリンパ節)臨床的に明らかな、しばしば触知可能な病巣の再発が見られたら、気道部分も含めた浸潤のある局所組織の切除を伴う外科的切除を考えなければなりません。FCDCでは、万一縦隔に大きな転移病巣が生じ、活発な131-Iの取り込みがない場合にも外科的介入を考えなければなりません。肺の転移病巣が“孤立性”であると考えられることはまずありませんが、転移FCDCが肺の病巣部または隣接した肋骨(またはその両方)に限局している場合は、時に開胸術を考えることもあります。
FCDCの長骨への転移病巣は、特に病的骨折を起こす危険性がある場合、整形外科医により切除されることがあります。FCDCや髄様癌の脊椎転移による脊髄圧迫の危険がある場合は、減圧後に脊髄が安定する可能性があるので、特に神経外科医の介入が必要な場合もあります。明らかに孤立性の脳へのFCDC転移腫瘍では、症例を選んでの外科的切除が考えられます。 |
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FCDC患者の131-Iによる全身スキャンで、転移病巣が見つかった場合は、一般的にRAI療法が行われることになります。線量により3種類の方法がありますが、いちばん広く使われている最も簡単な方法は、大量の固定線量の投与です。一般に、リンパ節に切除する程大きくない転移病巣がある患者は、100〜175mCi(3,700〜6,475MBq)で治療を受けます。局所に再発した浸潤性FCDCは通常150〜200mCi(5,550〜7,400MBq)で治療されますが、この量では放射線宿酔を起こしたり、他の組織に重大な傷害が生じることはありません。リスクの低いFCDCがあると考えられる患者では、この線量を100mCi(3,700MBq)に減らします。離れた場所への転移がある患者は200mCi(7,400MBq)で治療するのが普通です。131-Iの診断用線量の50%以上が集積するびまん性肺転位病巣では、肺の損傷を避けるために131-Iの投与線量を減らして治療を行なうことがあります。高リスクの範疇にある年齢の高い患者で、離れた場所に少しでも放射性ヨードを取り込む転移病巣がある場合は、300mCi(11,100MBq)もの線量で治療を行なうことがあります。
RAI療法のもう一つのアプローチは、腫瘍の取り込みを予測する定量的線量法です。計算された到達線量3,500rad(36Gy)以下であれば、そのFCDCがRAI療法に反応する可能性は低いのです。これとは対照的に、残存正常組織への到達線量が50,000〜60,000rad(500〜600Gy)であれば、転移組織に対し4,000〜5,000rad(40〜50Gy)で効果が出る可能性があります。転移がある患者で、150〜200mCi(5,550〜7,400MBq)の線量の131-Iから数百radしか転移病巣へ到達しない場合は、外科的に切除するか、外照射を考えなければなりません。いちばん使われる頻度の少ないアプローチ法は、血液中に最大200rad(2Gy)が到達し、48時間で全身停留量を120mCi(4,440MBq)以下に、またびまん性の肺の取り込みがある際には、肺で80mCi(2,960MBq)以下に維持するように計算された線量を与えるというものです。このアプローチで使う131Iの最大投与線量は300mCi(11,100MBq)に保たれます。
131-Iによる治療前に、10日間の低ヨード食を摂るとヨードが集積する細胞によるアイソトープの取り込みが促進されることがあります。アメリカでは、線量が30mCi(1,110MBq)以上の131-Iを投与する際には、患者は全身の131I総負担線量が30mCi(1,110MBq)未満に減少するまで病院で隔離されなければなりません。患者の腎機能が正常で、水分補給が十分であれば、これは通常3日以内で起こります。この間に、経口的に水分を十分摂取することにより、尿の排泄が促進され、脱水による膀胱の損傷を最小限に抑えることができるようになります。さらに、唾液腺炎を防ぐため、唾液の流出を刺激するレモンドロップを患者になめさせるようにします。131-Iの治療用線量で、精子数が数ヶ月間減少することがあり、ほとんどの権威者が女性に対し、少なくとも6ヶ月間は妊娠を避けるよう勧告しています。最後に、便秘があれば、生殖腺と腸の被曝を減少させる目的で下剤を使って治療すべきです。
RAI治療を行なった後、4から10日して、FCDCの131-Iの取り込みの程度を記録するため、全身スキャンを行なうようにします。そのようなスキャンの約25%で、治療前の診断用スキャンでは検知されなかった転移病巣が現れます。治療後のスキャンで、過去にRAI治療を受けた経験のある45歳以下の患者において、臨床的に重要な新しい情報が得られる可能性がきわめて高いのです。
また、診断用スキャンがマイナスで、血清Tg濃度が非常に高い場合に、いちばん重要な情報が得られる可能性があります。この状況では、Tgレベルが上昇し、診断用スキャンがマイナスであった患者の10〜50%に、肺または長骨の転移腫瘍があることが明らかになります。 |
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FCDCか髄様癌の頚部再発病巣の外科的除去が困難であると思われたり、患者に不適切と思われる場合は、放射線治療により、高い割合で緩解が得られる可能性があります。その他には、局所的な再発腫瘍の外科的除去が不完全な場合に、将来の再発の可能性を減らすため術後に放射線照射治療を行なうことがあります。放射線治療は、骨のFCDCや髄様癌の転移病巣に対する対症療法としても使われます。FCDCの脳転移腫瘍が放射性ヨードを取り込むことは希です。したがって、放射線照射治療が役割を持つ可能性があり、ごくまれに良好な緩解状態が得られたケースもあります。 |
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進行したFCDCに対する化学療法では、主立った新しい開発はなされていませんが、再発性、進行性の髄様癌に対する様々な化学療法の組み合わせについての報告が最近いくつか発表されています。これらの治療法はすべてダカルバジンと5-フルオロウラシルやストレプトゾシン、サイクロフォスファミド、ビクリスチンとの組み合わせを含んでいます。これらの方法で治療を受けた進行した転移髄様癌患者の約50%が有意な反応を示すと考えられ、一部には長期的な安定が得られる患者もいることはいますが、しかし、化学療法開始から2年以上生存する患者はまれです。 |
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