抗甲状腺薬は、顆粒球減少症や無顆粒球症などの副作用を起こすことで有名である。臨床家も、この副作用には十分、留意する必要がある。顆粒球減少症や無顆粒球症を引き起こす薬剤は、抗甲状腺薬を含め、多くの薬剤がある。
イギリスの研究グループからの報告で、21種類の薬剤と比較して、抗甲状腺薬は一番、顆粒球減少症や無顆粒球症を起こす危険性が高いことが分かった(Am
J Hematol 2003; 72: 248-254)。また、カルビマゾール<注釈:体内でメルカゾールに変換される>の投与量との関係では、顆粒球減少症を起こす危険性は、投与量に依存することがわかった。15人がカルビマゾール5〜15mg/日を服用していた(対照群は2人)のに対し、24人がカルビマゾール20mg/日以上を服用していた(対照群は2人)。この研究では、顆粒球減少症は顆粒球数500/mm3以下と定義されている。通常、この定義は無顆粒球症のものである。顆粒球減少症または無顆粒球症患者一人について、同じ医療機関で診療を受けている年令、性を一致させた患者を対照群としている。
メルカゾールを少量投与した方が、顆粒球減少症や無顆粒球症などの副作用を起こす危険性が減るので、軽症のバセドウ病に対してはメルカゾール10〜15mg/日を投与する方が望ましいと思う。 |