甲状腺ホルモン剤を服用している甲状腺機能低下症の方へ:「脳の霧」に対する当院の取り組みについて

「脳の霧」という言葉をご存知ですか?

レボチロキシン(商品名:チラーヂンSまたはレボチロキシンNa〈チラーヂンSと同じ成分〉)は甲状腺機能低下症の標準治療であり、ほとんどの患者さんはこの治療に満足しています。
しかし、治療がうまくいっているにもかかわらず、10〜15%の患者さんが残存症状、生活の質の低下を訴え、レボチロキシンによる治療に対して不満を持っていることがわかってきました。
訴える症状は活力低下疲労憂うつな気分物忘れ眠気集中力低下不安感意識混濁意思決定が難しいとっさに言葉が出てこないなどです。これらの症状は「脳の霧」と呼ばれ、日常生活に支障を来すことがあります。

『「脳の霧」を訴える患者さんにT3+T4併用療法を行ったら症状の改善がみられた』と報告されています。T3+T4併用療法とは、現在服用しているレボチロキシン(T4)に、より活性が高く即効性のあるチロナミン(T3)を併用する治療方法で、期待が持てる治療法のひとつです。

実際、私も同じような症状を訴える甲状腺機能低下症の人にT3+T4併用療法を行い、劇的に症状が消失しました。これからは、一人でも多くの患者さんのお役に立てるよう努力したいと思います。

「脳の霧」の症状に当てはまると思われる方は遠慮なく、スタッフ、医師にご相談ください。

田尻クリニック
理事長 田尻淳一