自己免疫性甲状腺疾患発症頻度と生まれた季節の関連性
バセドウ病と橋本病(慢性甲状腺炎)を総称して自己免疫性甲状腺疾患と言います。以前、秋から冬にかけて生まれた人は自己免疫性甲状腺疾患の発症頻度が高くなるという論文が発表されました。
ウィルスや細菌感染が自己免疫性甲状腺疾患発症の引き金になるという説があります。秋から冬にかけては生まれた人は、生後、ウィルスや細菌感染にさらされる機会が増えるため、大人になって自己免疫性甲状腺疾患が発症しやすくなると考える学者がいるわけです。
米国内分泌学会から出版されている医学雑誌『臨床内分泌代謝雑誌(Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism)』の最新号で、欧州の白人を対象にして、自己免疫性甲状腺疾患発症頻度と生まれた季節の関連性について検討した論文が掲載されました。
結論から言いますと、バセドウ病は発症と季節の間には関連はありませんでした。しかし、橋本病女性では特定の地域においては秋に生まれた人で発症頻度が高いという結果でした。
この論文から言えることは、基本的に自己免疫性甲状腺疾患と生まれた季節の間には関連性がないと解釈した方が良いようです。結論を出すには早すぎるということです。
生まれた季節によって、バセドウ病や橋本病になり易いという発想をする学者さんがいることを今回はじめて知りました。柔軟な頭を持ちたいものです。