インターフェロン治療と甲状腺機能異常症
C型肝炎の治療でインターフェロンが使われます。インターフェロンにてC型肝炎ウィルスが消失する例が結構あります。C型肝炎ウィルスが消失することで肝臓がんの発症が抑えられるわけですから、画期的なことです。
このようにインターフェロンは有用なクスリなのですが、このクスリを使用中に甲状腺機能異常症(甲状腺ホルモンが高いもしくは低い)を起こしやすいことが分かってきました。特に、抗サイログロブリン抗体や抗TPO抗体が陽性の人で甲状腺機能異常を起こしやすいといわれています。また、インターフェロンを使用後にこれらの甲状腺自己抗体が陽性になり、甲状腺機能異常を起こすこともあります。
インターフェロン治療中に甲状腺機能異常症を起こしたら、通常の甲状腺機能異常症に対する治療を行います。もちろん、インターフェロンはそのまま使用してもらいます。インターフェロンを中止する必要はありません。このあたりは、肝臓の先生と連携を取りながら一緒に治療していきます。
インターフェロンで誘発される甲状腺機能異常症には、バセドウ病、甲状腺機能低下症、一過性甲状腺機能中毒症(無痛性甲状腺炎)の3つがあります。甲状腺に対する治療は、通常のバセドウ病、甲状腺機能低下症、一過性甲状腺機能中毒症(無痛性甲状腺炎)と同じです。インターフェロン使用中のみ甲状腺機能異常が起こることを考えると、バセドウ病の場合は抗甲状腺薬でもいいかなと思います。しかし、肝障害が強い場合はアイソトープ治療で安全に治す方が良いかもしれません。抗甲状腺薬の副作用である肝障害が起こると状況を複雑にしてしまいますから。
甲状腺機能低下症では、インターフェロン使用中は甲状腺ホルモン剤を飲んでもらいます。無痛性甲状腺炎は、経過観察で自然に改善します。バセドウ病の治療については、主治医の先生とよく話し合って最適の治療を受けましょう。