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甲状腺機能低下症

症状はどのようなものでしょうか?
ごく軽い甲状腺機能低下症では、何の症状もないことがあります。もう少し甲状腺機能低下がひどくなると、衰弱や反応が遅くなる、抑鬱感、不活発、寒気、疲れなどを感じ始め、日常活動に興味を失うこともあります。他の症状としては、髪の毛の乾燥と縮れ、皮膚の乾燥とかゆみ、便秘、筋肉がつる、女性では月経の量が多くなるなどです。
どのようにして診断するのでしょうか?
今は、甲状腺機能低下症の正確で、適確な診断が可能となっています。甲状腺ホルモンやサイロキシン(T4)の血液中のレベルや下垂体の甲状腺刺激ホルモン(TSH)などの測定を行ないますが、これら全部の検査が必要な場合もあります。
T4のレベルが低いか、正常な範囲であるのに加え、TSHが高い場合は、間違いなく甲状腺機能不全です(体温を測れば甲状腺機能低下症がわかるというのは、まったく根拠のないことです)。
甲状腺機能低下症のいちばん良い治療法は何でしょうか?
甲状腺機能低下症に対する治療も直接的なものです。通常、純粋な合成イロキシン(T4)として甲状腺ホルモンが処方されます。かつては、動物の甲状腺を乾燥し、粉にしたものが甲状腺機能低下症の治療に非常によく使われていたのですが、今はほとんど処方されることはありません。これは、トリヨードサイロニン(T3)が混じっているためで、これは非常に作用の速い甲状腺ホルモンで、純粋なサイロキシン製剤に比べ、血液中のレベルが一定しません。
また、動物の甲状腺から採ったものであるため、甲状腺ホルモンの含有量が様々であり、製品毎に効き目が異なることがあります。このため、内分泌病専門医のほとんどは、動物の甲状腺の乾燥末から、純粋で、効き目のレベルが一定している合成サイロキシンに切り替えています。“生物学的”製剤である乾燥甲状腺が、合成サイロキシンより優れているという証拠はありません。血液中のT4とTSH両方のレベルが正常になるまで、徐々にサイロキシンの量を増やしていきます。患者が高齢である場合や、潜在的な心臓病がある場合は、体がより正常に近い甲状腺ホルモンの量に慣れるまで、ごく少ない量から始めることが非常に大切です。
以前は、サイロキシン製剤間でかなり効力にばらつきがあったため、主治医は甲状腺機能低下症の治療に特定のブランド名のサイロキシンを使うことが多いようです。甲状腺機能低下症の治療に、それ程多くのサイロキシンは必要ではないのですが、まれに1日150マイクログラム以上(チラージンSで3錠)必要な患者もいます。その一方で、甲状腺機能不全は進行していきます。その結果、患者にとって適量であったものが、1年後には足りなくなることがあります。
したがって、1年か2年に一度血液検査を行ない、サイロキシンの量を合わせる目安とするのです。妊娠中は、必要とするサイロキシンの量が増えるのが普通です。反対に、高齢者では、必要なサイロキシンの量は少なくなります。
そのため、患者が年を取るにつれて量を減らしていくことが必要な場合もあります。
適切な量の薬が投与されれば、甲状腺機能低下症の症状はなくなり、完全によくなったように感じるはずです。
非常に希な例ですが、下垂体に問題がある場合は、下垂体そのものの治療と別の形の薬物療法が必要となります。
これは、下垂体が甲状腺の機能をコントロールしているだけでなく、生殖器腺や副腎など、他にたくさんある体内の内分泌腺の機能もコントロールしているためです。

潜在性甲状腺機能低下症とはどんなものでしょうか?
何か甲状腺に問題のあるほとんどの人―または甲状腺の病気に罹っている他の人を知っている人―は、“甲状腺機能低下症”が甲状腺の機能が落ちていること、あるいは不活発な甲状腺を意味することを知っています。その結果、体の活力が鈍ってきます。これがはっきり現れた時、その人は紛れもない疲労や無力感、筋肉がつる、思考の速度が落ちるなどの症状を訴えるでしょう。発話が遅くなり、声がしゃがれてきたりすることがあり、また思考の速度がのろくなることがあり、顔が多少むくんでくることがあります。しかし、一部の患者では、この甲状腺機能低下症が全然表に出ず、簡単に見逃されてしまいます。これは、特に60歳以上の患者ではほんとうにあることで、そのような人では軽い疲労や便秘、または皮膚の乾燥などが、全部“年のせい”にされてしまうことが非常に多いのです。このような例では、甲状腺機能低下症のための血液検査をしない限り、甲状腺機能低下症を患者も医師も見つけることはできないのが普通です。検査室ではわかるが、医師にはわからない場合、このような甲状腺機能低下症は“潜在性”と呼ばれます。
潜在性甲状腺機能低下症があることが問題になるのですか?
そのとおりです。というのは、治療によって心臓の収縮速度などのある種の体の機能が改善されることがあり、また患者の気分がよくなることもあるのです。治療ですべてよくなるというわけではありませんが、それはやって見なければわかりません。
潜在性甲状腺機能低下症があるかどうかどうやってわかるのですか?
唯一の方法は血液検査です。いちばんよい検査法は、血液中の甲状腺刺激ホルモン(TSH)濃度を測ることです。甲状腺の機能が落ち始めると、たとえほんのわずかでも、脳下垂体は血液中のTSHを上げることにより反応します。したがって、TSHの値が高いことは甲状腺機能低下症を意味するのです。脳下垂体は甲状腺ホルモンレベルの変化にきわめて敏感であるため、わずかな減少に対しても脳下垂体からより多くのTSHの放出が起こります。潜在性甲状腺機能低下症では、主要な甲状腺ホルモンであるサイロキシンまたはT4の血中レベルがまだ正常範囲内であるため、これは重要なことです。したがって、TSHレベルの上昇がごく軽い甲状腺機能障害の存在を知る唯一の手がかりです。
どのような人が検査を受けなければなりませんか?
時たま疲れを感じる人を皆検査するのは道理に合わないことでしょう(誰でも時々疲れを感じますが、甲状腺機能低下症の人はごくわずかです)。60歳以下の人では、甲状腺の機能不全はそれほど多くありません。甲状腺機能低下症になる素質がある人で、はっきりしない症状を持つ人を検査することの方が理にかなっています。これには、子供を産んだ後の女性や甲状腺疾患の家族歴のある人、あるいは過去に甲状腺の問題を起こしたことがある人(活動し過ぎの甲状腺、甲状腺腫、または甲状腺の炎症など)が含まれます。また、若年性糖尿病や慢性関節リューマチなどのその他の免疫疾患のある人を検査するのもよい考えです。リチウムやアミオダロンなどのある種の投薬を受けている人も検査を受けるべきです。

60歳以上の年配者では、甲状腺機能低下症、特に潜在性甲状腺機能低下症が高齢者ではより多く見られるため、全員を検査するのが合理的でしょう。1回の検査で、約5%の罹患者が見つかり、男性に比べ女性の方が3から4倍多いのです。潜在性甲状腺機能低下症はこの年代ではさらに診断が難しくなります。それは、その 人が持つどの症状も甲状腺に関係があったり、なかったりすることがあるからです。このいわゆる“スクリーニング”または“症例発掘”アプローチには、60歳以上の人全員を検査するのにたくさん費用がかかるということと、すべての人に明確な効果を示すのが簡単でないことから、少々反論がありますが、治療を受けた人の3分の1から半分にしかある程度の改善が見られないとしても、行う価値はあると思われます。さらに、血液中のTSHが正常であれば、その高齢者が今後数年間は甲状腺機能低下症になることはないと思われるため、その間に何かはっきりした症状がでないかぎり、4〜5年は再検査の必要はないのです。
もし、そうと診断されたら、治療はどうするのですか?
血液中のTSHがごくわずか高い場合、詳しい診察で以前気付かなかった症状が見つからなければ、治療は必要ないと思われます。6ヶ月から8ヶ月の内に再検査するだけで十分でしょう。再検査の度に血液中のTSHの値が高くなっているようであれば、それから治療しても遅くないと思われます。その一方で、TSHが同じレベルに止まっているか、正常に戻るような場合、治療の必要はないでしょう。

血液中のTSHが明らかに高い場合、治療は甲状腺機能低下症の人に対するものと同じです。サイロキシン錠<注釈:日本ではチラージンS>の形で、サイロキシンの補充を行います。高齢者では、最初の投与量は少なく、普通25から50マイクログラムです。もっと若い人では、最初の投与量はもっと多く、普通1日あたり50から100マイクログラムです。この最初のレベルの治療を行なってから1ヶ月かそこらで、最初に高すぎた血液中のTSHレベルが正常に下がり始めるはずです。TSHレベルが完全に正常値まで下がれば、その後のサイロキシンの投与量はそのまま変えないようにします。 しかし、最初の投与量では、TSHがまだ正常値より高い場合が多く、TSHレベルが正常になるまで1ヶ月か2ヶ月毎にゆっくりと1日あたりの投与量を増やしていきます。
その時点でのサイロキシンの量が適正なものであり、治療をそのレベルで継続します。
どのブランド名のサイロキシンも、実用的な目的に関しては同じであり、患者は名の通ったブランドのサイロキシンで、いちばん安いものを飲むようにします。

治療を数ヶ月行った後、具合がよくなったかどうかを見るために、ほとんどの患者で再び、診察が行われます。よくなる人もいますし、そうでない人もいます。しかし、はっきりと具合がよくなったと感じない人でも、心機能がよくなったり、血液中の脂質の改善(例えば“善玉コレステロール”)が見られたり、あるいはよりはっきりとものを考えられるようになったりしていることがあります。したがって、治療はやってみるだけのことはあります。そして、そのためにも最初に検査を行うことはよい考えだと思われます。

治療中、あるいは少なくとも投薬量が定まるまでに副作用や感情の変動などが起こりうるのでしょうか?
甲状腺ホルモン剤の副作用はきわめてまれです。時に、特定のブランドで使われている結合剤あるいは充填剤に対してアレルギー反応を起こす人がいます。しかし、それは非常にまれなことです。
唯一の本当の“副作用”は、薬の量が多すぎたり少なすぎたりするためのものが普通で、このような場合の“副作用”は実際には不十分な甲状腺機能低下症の治療(飲んでいる甲状腺ホルモンの量が不十分な場合)または甲状腺機能亢進症(飲んでいる薬の量が多すぎる場合)であります。しかしながら、治療を進めていけば甲状腺機能低下症の症状の一部は強くなったり、弱くなったりすることが予測されます。そのため、甲状腺ホルモン補充療法を始めて数日以内にすべての症状が消えると思ってはなりません。

それでも、一般的には多くの人で、健康状態の改善や症状の消失と共に徐々にTSHが下がっていきます。通常は、かなり低い投与量から開始し、血液検査の状態でどのようになるかのモニターを続けるため、そのようなことがあるのは、正常なTSH範囲に戻る前のしばらくの間であるはずです(また、甲状腺の機能が不全になりつつあり、TSHが上がってきている時は、効き目がだんだん悪くなって、実際に投与量を増やす必要がある場合もあります。したがって、定期的な血液検査が必要なのです)。私のかかっている内分泌専門医は、患者は10〜16週間は本当によくなったとは感じず、その時点で振り返ってみて 『おや、前よりずっとよくなったみたい。』と言うのですが、これは前と比較してどれだけよくなったかかがわかるからだと言いました。私の場合もこのとおりでした。私は甲状腺ホルモン剤を飲み続けて、本当によくなったと感じるまで約4ヶ月ばかりかかりました。もちろん、診断が出た時点でのTSHのレベルによっても、気分がよくなるまでにどれだけ時間がかかるかは違ってきます。TSHレベルが28とか128であれば、診断時に8であった人よりもおそらく長くかかるはずです。
長期的な健康上のリスクはありますか?癌になるリスクは高くなりますか?
医学的主流をなす見解では、長期的な健康上のリスクは主に心臓病/動脈硬化症、骨粗鬆症(女性に多い)、そしてその他の自己免疫性疾患にかかるリスクが高くなると言われています。代替医学(鍼灸、漢方など)では、もっと多くの関係があると信じられています。感染に対する抵抗力の低下や卒中、アレルギー等です。しかし、これにはまだ異論があります。そして、ほとんどの“リスク”は“未治療”あるいは“不十分な治療”を受けた病気で計算されています。“治療済み”の甲状腺の病気のリスクについてはあまり研究がされていません。Broda Baenesの本とDr. Langerの本はどちらも甲状腺の病気の影響を扱ったものです。
甲状腺腫は本当のところ何なのですか?私にこれができるのですか?
甲状腺腫は甲状腺が大きくなることで、首の前の方の腫れや膨らみを生じます。
甲状腺腫は主にヨード欠乏に関係しています<注釈:日本にはヨード不足はありません>。
アメリカ合衆国のようにヨード欠乏のない地域の甲状腺腫は、ヨード欠乏地域に起こるものより小さく、発生頻度も少ないのが普通です。人口の10%以下にしか存在しないため、“散発性”甲状腺腫とも呼ばれます。これらの甲状腺腫は、ヨード欠乏地域に比べ、一部は橋本病と呼ばれ甲状腺機能低下症を起こす自己免疫疾患に関係しており、また過剰な甲状腺ホルモンを産生するびまん性または結節性の甲状腺疾患(バセドウ病または中毒性多結節性甲状腺腫)、あるいはまれですが悪性度の低い甲状腺癌に関係することが多いのです。橋本病/甲状腺機能低下症のある人のごく少数にしか甲状腺腫はできません。したがって、あなたに起こる確率はきわめて低いのです。
疲労感はとれるのでしょうか?体重が減って、また運動できるようになるほど気分がよくなるでしょうか?
疲労感は軽くなってくるはずですが、よくなったり悪くなったりすることがあります。自己免疫性甲状腺疾患がある場合、ストレス(身体的、感情的)で体がより疲れやすくなります。そして、何人かは“抑制”が利かなくなってきます。すなわち、甲状腺の病気になる前に比べ、人と簡単に“衝突”するようになったり、すぐにへたばるようになるのです。体重は、多くの人にとって大きな問題です。
これは甲状腺の病気があらゆるレベルで影響を及ぼすため、代謝が変化することによります。そして、活動を増しても、またカロリーの摂取量を減らしても、一部の人では発病前のようにうまく行くとは限りません。糖分の処理も異なり、肝臓も以前のように老廃物を処理しなくなります。糖尿病の血糖を低くする食餌へのアプローチ、すなわちBarry Shearsのゾーンダイエットが従来の低脂肪食よりエネルギー/体重減少に効果が高いことがわかってきました。大事なことは、甲状腺の病気で遅くなった代謝を早めることです。そして、治療中であったり、TSHが正常範囲にある時でさえ、体重を維持したり、減らすのに前よりももっと運動が必要な場合があることに気付くことです(ただし、これは一部の人です。さらに、代謝速度が正常に戻り、体重もゆっくりですが確実に減っていく人も一部です)。
皆がこの病気はちょっと厄介だけどそんなにひどいようではないというのですが、どれくらい悪くなりうるのでしょうか?
もちろん、たくさんの厄介な副作用があって、あなたがそうなるかもしれませんし、ならないかもしれません。そして、甲状腺ホルモンを飲んでいて、血液検査の値が正常な範囲にあっても、よくなる場合もよくならない場合もありますが、一部の人では、いったんTSHレベルが正常範囲に戻れば、完全にもとのように元気にります。それ以外の人では、絶対に元どおりになったように感じず、答えを求め続けるのです。しかし、この病気に関連したうつ病に罹った人はいちばんつらいようです。残りは時に前のようではなくなった体重や髪の毛に対して戦ったり、他の人全部とうまくやるのに疲れ果ててしまったりしますが、これはそれほど破滅的なものではありません。生活のペースを落として、時にはバラの香りをかいで、A型の性格の人より少し大目によい本を寝転がって読むようにしましょ う(実話では、他の人に比べ、なかなか変わらない人の方が影響が大きいようです)。

検査を行っている検査センターの正常なTSHの範囲はどうなっていますか?
どれが正常かについては、検査センター毎に異なった値があります。例えば、私の主治医が使っている検査センターでは、正常範囲は5から0.5となっています。TSHが0.5以下であれば、甲状腺機能亢進とみなされ、THSが5を超えていれば甲状腺機能低下とみなされます。他の検査センターでは0.35から5、または0.6から5.2等を使っていることがありますが、あなたが検査をしてもらう検査センターの値を知ることが大切です。
私自身のTSH目標値はどれくらいですか?
これは非常に難しいのですが、きわめて大事な質問です。主治医の答えは“正常”なTSHに関しての考え方を述べることになるでしょう。医師の中には正常範囲のいちばん上に持ってくることが第一の目的であり、そうする人もいます。したがって、例えば私の主治医は検査センターの検査値で5.5のTSHレベルを使いますが、その種の医師は治療の間ずっとそのあたりの値に持ってくるのがよい信じているのです。他の医師はあるTSHレベルが正常範囲内に収まっていることの方がもっと適切な目標だと信じています。例えば、私がかかっている内分泌病専門医は、TSHが“正常”範囲の上限よりはるかに低い1と2の間にまで下がらなければ、女性は気分がよいと感じない(そして体重も減らないか、他の甲状腺機能低下症の症状が消えない)と信じています(研究報告の中には、甲状腺の病気のない女性の平均TSH値は2であることを示したものがあります。したがって一部の女性は値が4か5では気分が悪いのです)。先生は正常範囲内でできるだけ女性の気分がよくなることを目指していますが、平均値からみて、正常範囲の上の方では女性の気分がよくならないので、少し低めをねらっています。

そして、最後にTSHとあなたの気分の両方を見て甲状腺の管理を行う方がよいと信じている医師がいます。このような医師は検査センターの検査値ではなく、あなた方患者側から治療する医師です。そのような医師はおそらくこう言うと思います。“まず、正常範囲にしてみましょう。それから気分がよくなるかどうか見て、その上で薬の量を決めることにしましょう”

どのような甲状腺ホルモン剤が私に処方されるのですか?
おそらくあなたは処方箋を読むことができないので、これは聞く必要があります。ここでの問題は、商標名か一般名かということと、もし商標名であれば、医師が“一般薬ではない”ものを指定したのかどうかということです。商標名のついた甲状腺ホルモン剤(例えば合成T4単剤ではレボキシル、レボトロイド、シントロイド、あるいはT3/T4合剤ではサイロラールとアーモールがあります)は信頼性が高いと考えられています。一般薬は効き目にむらがある可能性があり、新たな処方では避けるべきでしょう(もし一般薬を飲んでいて、気分がよい場合は心配いりません)。
処方された薬の量からみて、どれくらいでTSHが正常に戻ると考えられますか?
ここであなたが知りたいことは、主治医が甲状腺ホルモン剤をほんのちょっぴり投与して、どうなるか時間をかけて見て行くつもりなのか、またはできるだけ早く正常範囲に戻そうとしているのかということだを思います。どちらのアプローチにも理由がありますが、それを知ることが大切です。医師の中にはわずかな量の薬を与えて2週間以内に気分がよくなると言う人がいます。2週間過ぎて、気分がよくならない時は、自分にどこか悪いところがあると考えるものです。やれやれ!私の主治医は中程度のレベルの薬を出し、こう言いました。 『甲状腺機能低下になるのには少しばかり時間がかかっているのだから、正常に戻るのにも少し時間がかかりますよ』先生は甲状腺の薬を飲み始めてから大体4ヶ月くらいで正常な気分になると言いましたが、そのとおりでした。
気分がよくなって、TSHが正常範囲になるまでどのくらいの頻度でTSHの検査をしなければなりませんか?
あなたが聞きたいことは、医師があなたのTSHレベルを正常範囲に持っていくことを目指しているかということです。これはおそらく、薬の量を合わせた後のフォローアップで気分がよくなり、TSHが正常になるまで、6から8週間毎にTSH検査のため病院に行く必要があることを意味しています。

TSHが正常範囲になった後で、必要な薬の量が変わっていないか確かめるためにどのくらいの頻度で再来すればいいのでしょうか。もし、医師が年1回以上といったら、不思議に思っていいのです。ほとんどの医師は最初の1〜2年は半年に1回、それ以後は年1回来るようにいうはずです。

予約日が来る前に聞きたいことがあったら、どのようにして連絡をつけるのがいちばんよいのでしょうか?後で先生が自分で電話してくださるのでしょうか?それとも看護婦さんがそうするのでしょうか?先生は患者とやり取りできるEメールのアドレスを持っていらっしゃるのでしょうか?

ここでは、あなたの医師がどのような形で対応するつもりかを知ることができます。もし、あなたが他の医師を捜すことができるのであれば、ここでの反応が今の医師にかかり続けるか、それとも医師を変えるか決めるための参考になるでしょう。自分で電話をかけるようにしている医師もおりますし、Eメールで答えてくれる医師さえおります。他は、看護婦にすべて答えさせるようにするでしょう(いずれにせよ、看護婦の答えは医師と同じくらいか、もっとよい情報源となることが多いので、一部のケースのように無価値なものと決め付けないようにしてください)。しかし、もっと個人的に、情報を伝えてくれるようなサービスを望むのであれば、ここで医師が言うことを聞くようにしてください。そうすれば、何が期待できるかがわかるからです。


一ヶ月前からサイロキシンをのみ始めたが、元気になったようには思えない。
甲状腺機能低下症になるのに数ヶ月間、もしくは数年かかっているので、再び元気になるのには4ヶ月間かそれ以上かかる。
私の息子は出産後すぐに甲状腺機能低下症と診断された。彼は現在1歳で医師は一ヶ月間サイロキシンを中止して検査したいと言うが安全か?
安全です。サイロキシンが本当に必要かどうかをみる唯一の方法です。
サイロキシンをのみ始めて2ヶ月経ちますが先月も生理の量が多かった。よくなってきますか?
多分、良くなってくるでしょう。元に戻るにはもう少し時間がかかります。
甲状腺ホルモン剤をのむ時間はいつがよいか?
一日の内でいつでもよいです。多くの人は朝起きて歯を磨くときにのむと忘れずにのめると感じている。
今月のサイロキシンは以前のものより錠剤が大きいと思う。以前のものは0.1mgと書いてあり、今回のは100μgと書いてあった。薬局が間違って出したのでしょうか。体の調子はよいです。
0.1mgと100μgは同じです。いくつかの製薬会社でサイロキシンを作っており、サイロキシンの量は同じだが全て同じ大きさというわけではない。しかし、量の違う何種類かのサイロキシンがあるので、自分が服用しているものが正しい量かどうかはチェックする方がよい。

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以下のページも参考にしてください。