バセドウ病の症状と眼の症状は平行しません。

目が出たり、物が二重に見えたり、涙が出たり、充血したりひどくなると失明したりします。
バセドウ病になると目が飛び出ると言われていますが、目が出ていない人の方がずっと多いようです。
眼の症状はバセドウ病がよくなっても、反対に悪くなったりすることもあり、バセドウ病とは切り離して別物と考えています。

眼を動かす筋肉が腫れるために眼の症状がでます。

眼を動かす筋肉は主に4本あります。この筋肉が太くなるのがバセドウ病眼症です。
目玉の入っているいれものは骨でできており、内容物が増えたとき(すなわち筋肉が太くなったとき)、行き場がなくなり前に出てきます。そのために目玉が出るわけです。筋肉が太くなると、目玉が動きにくくなり、物が二重に見えたりします。
若い人では、目のうしろの脂肪が増えて、目玉が出る人もいます。

最近、バセドウ病眼症に対する検査法と治療法が進歩しました。

眼窩MRI
眼窩MRI

今はMRIという磁石を使った機械で目の中が見れるようになりました。CTでは目を動かす筋肉の腫れしか分かりませんでしたが、MRIではそれに加えて筋肉の炎症(水膨れ状態)が有るか無いかまでわかります。

筋肉の炎症があれば、クスリ(副腎皮質ホルモン)や放射線治療(眼の後の筋肉に放射線を当てます)がよく効きます。
反対に筋肉の炎症がなければ治療をしても効果を期待できません。
クスリや放射線が効かないときは眼科的に手術をする場合があります。

点滴

点滴

放射線

放射線

眼症治療後の眼窩MRIの変化[甲状腺眼症治療]

T2緩和時間が80msec以上の場合、炎症があると判断します。
治療により下図のようにT2緩和時間は短くなります。炎症が良くなったことを示しています。

T2緩和時間
治療前(11例)95msec
治療後(12例)67msec

眼の症状は自然に良くなることが多いので、あまり心配しないでください。

バセドウ病眼症は数年して自然に良くなることもありますので、あまり落胆せず気長に考える方がよいと思います。