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妊娠初期、特に2〜3ヶ月目の甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモン値の高い状態)はバセドウ病か、妊娠による一時的なもの(これは、胎盤から出てくるHCGというホルモンが甲状腺を刺激するために起こることが、分かっています)かのどちらかです。クスリ(多分、メルカゾールかチウラジールでしょう)が処方されたところをみると、バセドウ病なのでしょう。妊娠に対して甲状腺の何が悪いのかが、あなたの疑問ですね?
それは、甲状腺ホルモンが高いことそれ自体が悪いのです。甲状腺ホルモンが高いまま、妊娠を続けたら先生の言われるとおり、流産や妊娠中毒症になり易いのです。そのために、クスリで甲状腺ホルモンの値を正常にする必要があります。クスリは徐々に減っていき妊娠後期には、中止できる人もいます。さらに、あなたの血液中に甲状腺を刺激する抗体(TSHレセプター抗体といいます)が、非常に高い場合は、その抗体が胎盤を通過して胎児の甲状腺を刺激します。妊娠後期になっても、この抗体が高ければ、生まれてくる赤ちゃんが一時的に甲状腺ホルモン高値になります。しかし、この抗体の半減期(半分に減るまでの時間)は3〜4ヶ月ですので、その間だけ赤ちゃんはクスリを飲めば良いだけです。バセドウ病ではありませんので、心配ありません。しかし、このようなケースは大変稀です。甲状腺専門医に診てもらっていれば、安心です。あと一つの質問、クスリしかないのでしょうか?については、妊娠初期なので、クスリしかありません。妊娠中期なら、手術もできますが、今はクスリが主流です。日常生活では、甲状腺ホルモンが高い時期には、なるべく安静にしててください。家事は普通でよいです。運動などはしない方がよいです。甲状腺ホルモンが正常化したら、生活の制限はなくなります。 |