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115

No.115 女・26歳
HPで情報を得ることができて安心しております。ありがとうございます。私はバセドウ病の診断を受け、薬を飲み始めようとしている者です。診断の際に、受持ちの先生ご自身が「典型例ではない」と若干躊躇なさっていたので、専門の先生にご相談したいとメールをいたしました。血液検査の結果は(具体的な数値は覚えていませんが)TSHが↓(正常値の下限と桁が違うくらいに少)、FT3が↑(正常値の上限より少し上)、FT4が→(正常値の上限より少し下)でした。なお、甲状腺の腫れは目立っては無く、手の若干の震えと生理不順が.症状です。このような場合、どの程度の異常なのでしょうか。日常生活で運動を制限する必要があるほどでしょうか(登山の計画は中止すべきでしょうか)。また、FT3は末梢でFT4から変化して生まれると聞きましたが、それなのに、FT3の方が多いのはなぜなのでしょうか。以上、長くなりましたがよろしくお願い致します。
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Oyaji's reply あなたの病気の程度は軽いです。このような軽症甲状腺機能亢進症の場合にはまず、甲状腺機能亢進症の原因がバセドウ病なのか、慢性甲状腺炎で一時的に甲状腺ホルモンの高くなる病気(無痛性甲状腺炎といいます)なのかの鑑別が問題になります。その鑑別は123-Iによる摂取率をすると、容易にできます。しかし、この検査は放射性ヨードを使用するためにどこでもできる検査ではありません。一般的には、バセドウ病では90%で甲状腺刺激抗体(TSHレセプター抗体)が陽性に出ます。無痛性甲状腺炎では甲状腺刺激抗体(TSHレセプター抗体)は陰性です。この抗体を先生は必ず、調べているはずです。あなたの場合は、手の震えなどの症状が出ていますので、まず抗甲状腺剤で治療しながら、経過をみても良いと思います。もし、無痛性甲状腺炎なら1〜2ヶ月で正常になり、その後甲状腺機能低下症を経て自然に正常に戻ります。わたしのHPの次のページを参考にしてください。
http://www.j-tajiri.or.jp/thyroid/illness/03.html

日常生活では、動悸などがあれば、ここ1〜2ヶ月間運動は制限した方が良いです。症状として手の震えがありますので、できれば登山は延期された方が賢明でしょう。確かに、甲状腺内で作られる甲状腺ホルモンはFT4がほとんどですが、バセドウ病になると、FT3も沢山作られるようになります。だからバセドウ病ではFT3/FT4の割合が変わります。すなわち、正常の状態よりFT3の割合が増えるわけです。これは、あくまで一般論であってあなたがバセドウ病だと言っているわけではありません。また、バセドウ病の中には、FT3(T3)のみが高いタイプもあります。
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