コミュニケーション > 公開コーナー慢性甲状腺炎・甲状腺機能低下症
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No.113 女・33歳
甲状腺機能低下症が腎臓に影響を及ぼして慢性腎炎のような症状を起こすことがありますか?事情は下記の通りです。
6月20日頃から足にむくみが来たので7月1日に医者にかかったところ、ネフローゼ症候群(蛋白4+)との診断。即入院して尿・血液検査、腎臓の生検をしたが、1週間後には尿中の蛋白値が微量となりむくみもとれて退院。生検の結果を18日に聞くと「腎臓の機能には問題なし。蛋白1+。ただ今後悪くはならないが慢性腎炎である、また血液検査の結果からは橋本病」と診断されました。腎臓には問題がないといわれ、職場の尿検査でも過去に蛋白が出たことはないので、診断結果に冒頭のような疑問を持っています。お教え下さい。
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Oyaji's reply 基本的には、甲状腺機能低下症が腎臓そのものに悪影響を与える事はありません。また、甲状腺機能低下症が慢性腎炎の原因になることもありません。甲状腺機能低下症になるとむくむのは腎臓のためではありません。甲状腺ホルモン低下によるものです。多分、ネフローゼ症候群(程度が軽いので微少変化群といわれるタイプではないでしょうか。このタイプは急に発症すると医学書に書いてありました。あなたのように今まで蛋白尿を一度も指摘されてなくてもなるようです)にたまたま橋本病(慢性甲状腺炎)が合併しているだけだと思います。30歳代の女性では、この病気特有の甲状腺自己抗体をもっている人は 約10%います。それくらい多い病気です。腎臓に関しては、わたしは専門外ですので、腎臓の先生の治療をお続けください。腎臓の機能が正常だから、腎臓に病気がないのではなく、あなたは腎生検から慢性腎炎と診断されていますので、腎臓の定期的な診察は必要です。ただ、橋本病(慢性甲状腺炎)とネフローゼ症候群に関して、甲状腺の中にある蛋白(サイログロブリン)が抗原になって、甲状腺自己抗体と血液中で免疫複合体を形成し、腎臓の糸球体に沈着してネフローゼ症候群を起こした人を20年前に経験したことがあります。しかし、これは、大変稀で、そのときは同じ医局の先生が論文で発表されました。その後、その問題について他の研究が為されたという話も聞きませんので、果たしてそれは本当に原因であったかは、不明です。理論的には、そのような可能性も完全には否定できませんので、腎臓の先生に質問されては、如何ですか?あと、気になるのは甲状腺機能低下症の程度です。甲状腺ホルモン剤による治療が必要なのでしょうか?もし、そうなら甲状腺機能低下症の治療も一緒にしてもらってください。
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