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153

No.153 女・23歳
はじめまして。今日はじめてアクセスした者です。
7月の下旬から夜になると微熱が出て、疲れやすくなりました。朝はとてもだるくて起きられないので、8月のおわりごろ、病院へいって検査をうけました。なにやらむずかしいことをおっしゃってましたが(このページをみて、たぶんT3とT4の値のことだったのではないかと)、普通はどっちかの値が高くなると、もう一方は低くなるはずなのに、あなたのは両方高いですねぇ、といわれました。
脳下垂体の機能がおかしいかもしれないので、一応大学病院で検査を受けてくださいといわれ、この間CTと血液検査をすませたところです。結果は血液でやはり甲状腺の異常がみられましたが、ガンはみつからなかったそうです。引き続き、10月15日にMRIの検査をひかえています。
両方の値が高くなるというのは、どういった場合なのでしょうか。
それから10月15日までまだ1ヶ月近くあります。病院へは行かなくていいのでしょうか。
それから、この症状を改善させるには、どういうことに気をつけていれば良いのでしょう。
微熱=37度前後
だるさ=睡眠不足のときはひどい
頭=偏頭痛がある。頭が痛いときは吐き気もする
冷え性=治った(^^;)
よろしくお願いいたします。
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Oyaji's reply お話を伺いますと、TSH不適切分泌症候群のようです。話が少し難しくなりますが、甲状腺ホルモンが高くなると普通は脳にある下垂体というところが敏感に感知して、TSH(甲状腺刺激ホルモン:脳下垂体から出てくるホルモンです。読んで字の如く甲状腺を刺激するホルモンです)を出さないようにします。すなわち、これ以上甲状腺ホルモンを増やさないようにするわけです。人間の体はうまくできていますね。この甲状腺ホルモンとTSH(甲状腺刺激ホルモン)の調節の関係はわたしのHPの次のページを参考にしてください。
http://www.j-tajiri.or.jp/thyroid/beginner/index.html

あなたの場合は、この調節がうまくいっていないようです。その状態をTSH不適切分泌症候群と呼びます。原因はいくつかありますが、今は甲状腺ホルモンやTSHの測定系に影響を及ぼす因子は大体、分かっていますので、それは最初から否定してあるはずです。
問題となるのは、
  1. TSH産生下垂体腫瘍
  2. 甲状腺ホルモン不応症
の2つです。まず、TSH産生下垂体腫瘍から説明します。これは下垂体にTSHを過剰に産生する腫瘍ができて、持続的に甲状腺を刺激するために、甲状腺ホルモンが高くなっている病気です。だから、あなたも脳下垂体をCT・MRIで調べているわけです。もし、TSH産生下垂体腫瘍なら手術で治ります。次は、甲状腺ホルモン不応症の話です。これは説明するのに難しい病気です。甲状腺ホルモン不応症には全身型と下垂体型があります。最近の研究では、全身型はT3受容体遺伝子の一部の異常のために起こっていることが分かってきました。すなわち、高い甲状腺ホルモンに体の細胞が反応しないわけです。下垂体型 の原因はまだ不明だと思います(わたしの不勉強でもう分かっているのかもしれませんが)。下垂体型 は高い甲状腺ホルモンに下垂体の細胞が反応しないわけです。全身型は症状は無いか、低下症状を呈します。下垂体型は亢進症状を呈します。あなたの場合は、症状からすると下垂体型が疑われます。甲状腺ホルモン不応症の治療は薬物です。何はともあれ、検査をしっかりすれば診断はつきます。診断がつけば、治療が始まります。慌てても仕方ありませんので、MRIまでは待ってください。症状を改善するために今できることは、甲状腺ホルモン値が高いので、激しい運動は避けることです。要は、診断を付けることです。Good luck!!
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