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バセドウ病の目の変化に関する有益な分類法が1969年に、当時ニューヨーク市のコロンビア大学内分泌学者であったSidney Werner医師により考案されました。
そして今でも教材として使われています。Wernerの分類は、病気の重篤度の進行を示すものですが、目の変化はこの厳格な順位に必ずしも従っていません。たくさんのバリエーションや分類の段階のいくつかが抜けているように見える微妙な区分の違いがあります。このような限界があるにもかかわらず、Wernerの分類はバセドウ病から生じる目の合併症の数種類の構成要素や段階を考察する上での基本的な枠組みを与えてくれます。ここでは、目の変化はおそらくもっとわかりやすくなっているはずです。 |
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Wernerのクラス1は、甲状腺機能亢進症に伴う初期のもっともよく見られる目の変化を指しています。上瞼が上がり、そのため患者は大きく目を見開いたようになります。この眼瞼のめくれ上がりは、甲状腺ホルモンの過剰により、眼瞼の筋肉が刺激され、眼瞼が継続的な痙縮または緊張状態におかれるために生じるものです。眼瞼の後退が片側だけに現れることがあります。
病気のもっと後の段階では、眼瞼の筋肉の炎症とその結果生じる瘢痕のため、眼瞼の後退がそのまま残る場合があります。瞼が後退するため、目が飛び出したような誤った印象を与えます。そして、目が過度に空気にさらされるため、目の乾きや過敏といった症状が起きることがあります。
バセドウ病患者の約10〜15%はクラスUとクラスVの眼疾患も起こしますが、甲状腺機能亢進症の治療がなされた後、普通眼瞼の後退は治ります。 |
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クラス2では、眼瞼の軟組織が腫れます。この腫れは、甲状腺の活動が活発すぎることからくるというより、目の後ろ側で起こる自己免疫過程によるものです。瞼の腫れは目の後ろ側の圧が高まり、水分が瞼や目の周辺組織に蓄積することと膨張した脂肪が瞼を通じて突き出してくることが組み合わさって起こります。 |
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クラス3は目が突き出した状態で、突眼または眼球突出とも呼ばれます。目の後ろ側の膨張した脂肪と筋肉が眼球を前に押し出し、目が過度に露出することから起こる過敏症状だけでなく、圧迫感も生じます。 |