妊娠中に甲状腺機能亢進症が起こると、医師と患者双方にとってユニークな問題が生じます。母親と胎児の健康確保のため、注意深い監視が必要です。甲状腺機能亢進症の治療が適切に行われなければ、流産や早産、低出生時体重などのリスクが大きくなります。また、母親に高血圧が起こったり、まれですが心不全が起こるリスクも高くなります。幸いに、細かい注意を払うことで、ほとんどの場合、母親と胎児双方にとってよい結果となります。
妊娠中の甲状腺機能亢進症は多いものではありませんが(妊娠1,000回あたり2例と見積もられています)、希なものでもありません。妊娠中の甲状腺機能亢進症の原因としてもっとも多いのはバセドウ病です。妊娠中にそれ以外の形の甲状腺機能亢進症も起こることがありますが、多くはありません<注釈:この記載は今では、間違いです。HCGによる妊娠時一過性甲状腺機能亢進症がバセドウ病の10倍多いことが最近の研究で、分かっています。それについては、私のHPの次のページを参考にしてください。妊娠中の甲状腺機能低下症および甲状腺機能亢進症の管理とスクリーニングを参考にしてください>。
最適な管理には、産科医、内分泌病専門医、小児科医、そして患者間の緊密な協力が必要です。 |
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