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甲状腺結節の基礎知識

簡単に言えば、甲状腺結節とは、他の点では正常な甲状腺組織内に普通に生じてくるしこりのことです。このような甲状腺組織の異常な発育は甲状腺の縁のところに起こることが多く、そのため喉の中にしこりとして触れることができます。
結節が大きかったり、非常にやせた人に生じた場合は、首の前の方にあるしこりとして目に見えることもあります。甲状腺結節に関する事実を以下に挙げております。
  • 女性の12人から15人に1人は甲状腺結節があります。
  • 男性の40人から50人に1人は甲状腺結節があります。
  • 全甲状腺結節の90%以上は良性です(癌性の増殖物ではありません)。
  • その一部は、実際には甲状腺組織ではなく液体で満たされた嚢胞です。

すべての結節について、次の3つの質問に対する答えを出さなければなりません
  1. その結節は数少ない癌でしょうか?
  2. その結節は首の他の組織を圧迫して問題を起こしているのでしょうか?
  3. その結節は甲状腺ホルモンを作り過ぎているのでしょうか?
適切な検査の後、ほとんどの結節では上の質問すべてにNOの答えが出るはずです。このいちばん多いケースでは、小さいものから中程度のサイズの結節があり、それは単に“正常な”甲状腺組織が育ち過ぎただけであるか、または作られている甲状腺ホルモンが少なすぎる徴候である場合もあります。びまん性に肥大した甲状腺(甲状腺腫と呼びます)のある患者は、最初は甲状腺腫であると認められるものが存在しますが、後に甲状腺内に生じる数多い良性の肥大性増殖物(甲状腺腫)の一つに過ぎないことがわかります。通常、細針生検(FNA)で結節が癌か良性かがわかります。この検査だけで、問題の真相を探り当てることができるのです。甲状腺結節の特徴を確かめるために超音波検査が必要なこともよくあります(もっと詳しいことは甲状腺結節の超音波検査に載せてあります)。上記の質問のどれかにYESの答えがでた場合は、治療または手術が必要になります。

甲状腺結節の症状
ほとんどの甲状腺結節では、まったく症状がでません。大体において、患者が自分で喉のところにしこりを感じたり、鏡で見て気付くのが普通です。時に、甲状腺結節のある人の首のところに家族や友人が変なしこりがあるのに気付くことがあります。それ以外では、甲状腺結節が医師による一般検診中に見つかることが多いのです。

時に、結節が痛みを起こしたり、またまれではありますが、結節が食べ物が正常に食道(甲状腺と気管の後ろ側にあります)を通りぬけるのを妨げるほどに大きくなっている場合、そのような患者がものを飲み込みにくいと訴えることもあります。

結節がありますが、どうしたらいいのですか?
まず、大多数の甲状腺結節は良性であることを覚えておいてください。次に、このような問題に慣れた医師に結節を見てもらうことです。内分泌病専門医や内分泌腺外科医は、このような問題を日常的に取り扱っていますが、多くの家庭医や一般内科医、一般外科医も甲状腺結節を扱うのに手慣れています。これについては結節の検査/生検の頁に詳しく載せております。最初に医師が行うことの一つは、健康状態や甲状腺の病気がある可能性に関してたくさんの重要な質問を行うことです。これらの質問の中には、子供の頃または10代に核放射物に被爆したり、あるいは放射線照射治療を受けたことがあるかどうかが含まれます。

放射線被爆についてはどうなのですか?
長年の間、電離放射線が甲状腺癌発生のリスクのわずかな増加に関係があることが知られておりました。このリスクは非常に小さいもので、放射線被爆量はきわめて高いのが普通です。通常の場合、放射線被爆を受けてから、20年以上遅れて甲状腺癌が発生します。

1920年代から1950年代にかけて、放射線が時に、重症のにきびのようなある種の皮膚病だけでなく、反復性扁桃腺炎のようなある種の頚部感染症の治療に使われておりました。

1997年7月に、アメリカ合衆国政府は、1945年から1970年代にかけて行われた合衆国東南部の核実験がアメリカ人の甲状腺癌発生に影響するどうかを確かめる研究の結果を発表しました。この疫病学的研究で、これらの核実験があと数十年間にわたってアメリカ人に見られる甲状腺癌の発生量を増加させるであろうということが確認されました。このリスクは、長年の間実験の行われた場所の近くに住んでいた患者では相当高くなります。ただ、この報告でましなことは、これらの癌はきわめて予後のよい分化度の高いタイプの癌が一般的であることで、つまり、これらの癌の大多数は治すことができるということです。子供の甲状腺癌発生のリスクが増加しているという証拠はありませんが、わずかなリスクの増加があるのは、過去に直接被爆を受けた人に限られているようです。リスクは増加していますが、甲状腺癌はまだ比較的希な病気であり、普通は非常に治りやすいものです。

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