良性の結節であることがうかがえる超音波検査上の特徴 |
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- 結節の周囲にはっきりした形のよい縁がある。
- 結節が生体組織ではなく、液体で満たされている(嚢胞)。
- 甲状腺全体にたくさんの結節がある(ほぼ間違いなく良性の多結節性甲状腺腫です)。
- 結節内に血液が流れていない(生体組織ではなく、嚢胞の可能性が高い)。
- このトピックに関しては、甲状腺の針生検(穿刺吸引細胞診)にもっと詳しく載せております。
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これらのポイントのいくつかをもう少しはっきりさせるため、上と同じ超音波の写真を次に示しますが、これはプローブで血液の流れを検知するようにプログラムしたものです。この結節が複合性のものであることがはっきり見えるかと思います。…これは結節のある部分は嚢胞性であり、その他の部分は十分な血液の供給がある生体組織からなっていることを意味します。もしこれが漿液で満たされた単純な嚢胞であるとすれば、赤(動脈)や青(静脈)の血流はないでしょう<注釈:この記載は間違いです。これはカラードップラーという機械で、赤色は皮膚に近づいてくる血流を、青は皮膚から遠ざかる血流を示します。この血流は多くは動脈です>。この患者は、甲状腺内にこれ以外の結節はなく、そのため“甲状腺右葉の混合性結節”と診断されました。
この結節には心配な特徴が2〜3あったため、穿刺吸引細胞診(FNA)を行いました。
この検査では、非常に細い針を結節に刺し込み、細胞を少し吸引して採取し、それをスライドグラスに載せて病理学者が染色し、悪性かどうかを調べます。この検査は非常に簡単で、30秒とかからず、また痛みもほとんどない上にきわめて正確です。もし癌であるという結果が出た場合、この検査はほとんど必ずといってよいほど正しいものです。それでも、時には十分な細胞が採取されなかったり、あるいは一部の細胞は異常であるが、全部がそうでない場合もあります。このようなケースでは、病理学者は良性の結節と悪性のものを区別できません。この場合、普通は検査をもう一度行うか、または甲状腺のこの部位を手術で取ることになります。ただ、大多数の結節は良性であり、例えそれが癌であったとしても、ほとんどの甲状腺癌はきわめてなおりやすいものであることを覚えておいてください。
この患者は2度、穿刺吸引細胞診を受けましたが、診断がつきませんでした。どちらの穿刺吸引細胞診でも良好な組織標本が採取されたのですが、病理学者が癌と良性の鑑別ができなかったのです。したがって、この患者は簡単な甲状腺右葉切除術を受け、最終的に良性の濾胞性腺腫であると診断されました。術後の経過は良好で、正常な甲状腺組織がまだ十分残っていますので、この患者は甲状腺ホルモン剤を飲む必要はありません。 |