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甲状腺疾患と妊娠<第2部>

注 記
この記事は甲状腺疾患と妊娠に関する2部シリーズの第2部です。この記事には私がSheldon Ruinbenfeld博士とのインタビューから得た情報を載せております。博士は診療に携わっている甲状腺疾患専門医であり、また教育と研究のための甲状腺学会の設立会長と医療部長でもあります。さらに、Ruinbenfeld博士はBaylor医科大学内科教授でもあり、アメリカ内分泌学学会とアメリカ医師会の会員です。
第1部をご覧になるには、こちらです。

甲状腺疾患のある女性は、妊娠のどの時期に産前のケアや甲状腺ホルモンレベルの監視を受け始めればよいのでしょうか?
エストロゲンのレベルの変化は甲状腺の機能に影響を与えます。これがホルモン変動のはなはだしい時期である妊娠中に、必要な甲状腺ホルモンの量が変ることがある主な理由です。Ruinbenfeld博士は妊娠によるエストロゲンの変化に呼応して、甲状腺ホルモンの必要量が変動するまで約6週間かかるので、最初の産前診察を受けるのは6週以降、12週以前にするべきであるとおっしゃっています。この点から、甲状腺ホルモンレベルのチェックを少なくとも3ヶ月毎に受けるよう勧めておられます。薬の量が変ったら、通常はフォローアップのための血液検査を別に5から6週間後に受ける必要があります。

何よりもRuinbenfeld博士が強調されているのは、甲状腺ホルモンレベルを監視するために医師の定期的な診察を受けることです。特に、Ruinbenfeld博士は手術で取ってしまったために甲状腺がない女性では、定期的に注意深い監視を受けることが絶対に欠かせないと思っておられます。

赤ちゃんが甲状腺の病気を受け継いだり、発病したりする確率はどれくらいでしょうか?
出生時に遺伝性の甲状腺疾患が存在する確率はかなり少ないのです。Ruinbenfeld博士は、慢性甲状腺炎(橋本病)はいちばん多く遺伝する甲状腺疾患であると言っておられます。しかし、慢性甲状腺炎は20歳以降でないと普通は現れてこないので、乳児に見られることはあまりありません。

妊娠中に甲状腺ホルモン剤を飲んでも本当に安全なのでしょうか?
甲状腺ホルモン剤を飲むことは、通常、女性の体内に−特に妊娠した場合−すでにあるものを補うことになります。Ruinbenfeld博士は、事実、妊娠中に飲む薬−甲状腺ホルモン剤も含めてですが−はすべて赤ちゃんに悪いと考え、甲状腺ホルモン補充を止めてしまう甲状腺機能低下症の女性がもっとも危険であるとおっしゃっています。

妊娠中は、正しい量の甲状腺ホルモン剤を飲むことがさらに重要になります。これが母親の甲状腺機能を確実に妊娠時の要求を満たせるようにすることだからです。
妊娠中の甲状腺ホルモン
甲状腺ホルモン剤は妊婦に対する薬剤カテゴリー“A”(危険性が低い)に入る数少ない薬の一つです。妊婦での研究では、妊娠の最初の三半期に胎児には何の副作用も見られず、また、その後の三半期にも明らかな副作用はありません。

甲状腺ホルモンを飲んでいる女性が避けた方がよい栄養剤/食物が何かありますか?妊婦はどれくらいの時間をおいて鉄を含む妊婦用ビタミン剤と甲状腺ホルモン剤を飲むようにすればよいのでしょうか?
Ruinbenfeld博士によれば、主な問題は処方された量の甲状腺ホルモンが完全に体に吸収されるようにすることだそうです。甲状腺ホルモンを飲んでいるどの人でも、最大限の吸収を妨げる可能性を持つ重要項目には、線維を多く含む食物を食べることと制酸剤を飲むことが含まれています。この2つは妊娠中に多くなる行動です(大量の大豆製品摂取も甲状腺ホルモンの吸収を妨げることがあります)。また、中でも妊婦が特に気にするのは、妊婦用ビタミン剤に含まれている鉄です。これが甲状腺ホルモンの吸収を妨げることがあります。
吸収を最大限にし、正しい量の甲状腺ホルモンが作用できるようにするため、Ruinbenfeld博士は次のように勧めています。「理想的には、胃が空の時に食べ物を食べずに甲状腺ホルモン剤を飲むことです。少なくとも食後2時間または食前1時間に飲むようにしてください。そして、鉄を含む妊婦用ビタミン剤は、甲状腺ホルモン剤を飲んでから2時間以内に飲まないようにしてください」
重要!!
甲状腺ホルモン剤の飲み方
理想的には、胃が空の時に食べ物を食べずに甲状腺ホルモン剤を飲むことです。少なくとも食後2時間または食前1時間に飲むようにしてください。そして、鉄を含む妊婦用ビタミン剤は、甲状腺ホルモン剤を飲んでから2時間以内に飲まないようにしてください。

他に考えることは?
全般的に、Ruinbenfeld博士は、甲状腺疾患が妊娠の問題となることはないというしっかりした考えを持って妊娠にのぞむべきだとおっしゃっていました。実際に、甲状腺機能亢進症は妊娠中に幾分よくなることもありますし、すでに結節や甲状腺腫がある場合でも、それがさらなる心配のもとになるようなことはありません。また、治療を受けた甲状腺機能低下症では、妊娠中にほんのわずか危険性が高くなるだけです。

甲状腺疾患を持ちながら健康な妊娠生活を送るコツは?コンプライアンスとケアです。甲状腺ホルモンを処方されたとおり、最大限吸収されるように飲むことです。また鉄を含む妊婦用ビタミン剤は少なくとも2時間あけて飲むようにしてください。それから、健康な妊娠生活のために、定期的な医療を受けることがいちばん大切なことです。

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