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国際甲状腺連盟(TFI)ニュースレター【ThyroWorld】の抜粋<2>

04:新しい研究に対するTFAの対応

1999年8月号のNew England Journal of Medicineに発表された研究に応じて、アメリカ甲状腺協会(TFA)は、生まれてくる子供に知的発達障害が起こる可能性を避けるために、より多くの妊婦が甲状腺の検査を受けるべきであるという勧告を出しました。「すべての女性が妊娠前か、あるいは少なくとも妊娠第1三半期(注釈:妊娠を3つの時期に分けて、その最初の時期のこと)にTSH検査でスクリーニングを受けるべきかどうかということに関する疑問が生じています」とTFAの会長であり医療部長でもあるLawrence C. Wood博士はおっしゃいました。「最低限、妊娠を考えているか、妊娠した女性は誰でも、自分の甲状腺機能障害のリスクを確かめるために主治医とこの重要な研究について話し合うべきでしょう」ともWood博士はおっしゃっています。

小児科医のJames E. Haddow博士等によって行われた研究では、血清中のTSH濃度が高かった62名の女性の子供達は、知的機能に関する15の検査のどれも成績が悪かったことが報告されています。いちばん目立つのは、高TSHレベルの母親を持つ子供の15%は全体的なIQスコアが85以下であることで、これに対し正常な甲状腺機能を持つ母親から生まれた対照グループの子供達では5%でした。また、多くの例でグループ間に統計学的に有意な差はなかったものの、注意力や言語理解、視覚運動機能の領域でもスコアが低いことがわかりました。

ヨード欠乏症によるひどい甲状腺機能低下症に罹った女性が知恵遅れの子供を生む可能性が高いことはかなり長いこと知られておりました。ヨード欠乏症のために母親も子供も正常な量の甲状腺ホルモンを作ることができなくなるからです。

この新しい研究は、食餌中のヨードが十分である先進国の女性に対する別の疑問に取り組んだものです。妊娠中に血清中の甲状腺刺激ホルモン(TSH)レベルが上がっていた(甲状腺機能低下症を示す)母親から生まれた子供の知的機能を検査したのです。甲状腺ホルモンレベルが正常より低くなると脳下垂体がTSHの産生を増やします。

妊娠前または妊娠中に血清TSH検査でどの患者に対しても甲状腺機能低下症のスクリーニングを行うのは費用効率がよくないかもしれません。しかし、母親の血清TSHレベルがごくわずか上がっても赤ちゃんの知的発達に危険を及ぼすというこの研究での所見が別の研究でも裏付けられれば、どの女性も妊娠前、あるいは第1三半期のできるだけ早い時期にTSH検査を受けるべきです。

「もっと多数の女性とその子供達での研究が間違いなく行われるでしょう」とWood博士はおっしゃっています。 また、次のようにもおっしゃっています。「ごく軽度のTSHの上昇しかない(ごくわずかな甲状腺機能不全)母親から生まれた子供が、妊娠中に重症の甲状腺機能低下症と非常に高いTSHレベルがあった母親から生まれた子供と同程度の知的問題を起こす危険性があるかどうか知る必要があります」

「甲状腺機能低下症の家族歴、あるいはインスリン依存性糖尿病や皮膚に白い斑点の出る白斑症、ビタミンB12の欠乏による悪性貧血、あるいは若白髪(30歳前に白髪になる)のような関連自己免疫疾患の家族歴がある女性は誰でもTSH検査を受けるべきだということは間違いありません。甲状腺ホルモン剤を飲んでいる人はすべて妊娠前にTSHの検査を受けるべきですし、疲労や便秘、うつ病、筋肉のつり、および寒さに耐えられないというような甲状腺機能低下症の症状がある人もやはり全員検査を受けるべきです」

Lawrence C. Wood博士とのインタビュー
アメリカ甲状腺財団のご厚意によりブリッジより再掲させていただきました。

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