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甲状腺嚢胞に対する穿刺治療の有用性《更に詳しい情報[051]患者さんのための分かりやすい解説》
田尻淳一 田尻クリニック 熊本

. Dr.Tajiri's comment . .
. 更に詳しい情報[051]で、甲状腺嚢胞に対する穿刺治療の有用性について公開しています。ここでは、この治療法について簡単に解説します。 .
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Crottiが1938年に出版した医学書の中で、有史ではじめて甲状腺嚢胞に対して穿刺治療がうまくいった症例を以下のように紹介しています。

1544年、フランス王フランソワ1世(1515〜1547)の命令で、イタリアのセリソレスで戦いがありました。この戦争にかり出された若いスイス人兵士、フィリップ・ホーヘンダックスは甲状腺に大きなシコリを持っていました。たまたま、大きなつるはしが甲状腺のシコリに刺さった。幸いなことに、甲状腺の大きなシコリは甲状腺嚢胞であり、中の液体が出てしまいシコリは縮小した。彼の甲状腺のシコリは治ってしまった。

『甲状腺嚢胞に対する穿刺治療の有用性』更に詳しい情報[051]をまとめると以下のようになります。
  1. 甲状腺嚢胞とは、液体が貯まるタイプの甲状腺良性腫瘍である。
  2. 甲状腺嚢胞は、触診で触れる単発性甲状腺結節の12.2%にみられる。
  3. 穿刺治療とは、採血をするのと同じ注射針で甲状腺のシコリにある液を抜く治療で、外来でできる簡単で安全な治療法である。
  4. 月一回の穿刺治療を行えば、平均3回でほとんどの症例は縮小する。
  5. 有効率は約92%と非常に満足のいく結果である。
  6. 血清サイログロブリン(Tg)値が500ng/ml以上の場合には、全例で有効である。
  7. 通常、穿刺する際には21G針を使用するが、穿刺液が粘稠な(ねばい)場合には、18G針を使用した。注射針は22Gが細く、18Gが太い。すなわち、数字が大きいほど細いわけである。18G針を使用し、少々の工夫をすることにより穿刺吸引(液を抜くこと)ができない症例はなかった。
  8. 液体部分がシコリの90%を越えるような甲状腺嚢胞は、まず穿刺治療をしてみることが望ましい。
  9. 月一回で、平均3回は穿刺治療が必要です。1回や2回であきらめるのは早いと思います。
  10. 穿刺治療でシコリが縮小すれば、手術やペイト(PEIT)をしないで済むと思います。
  11. 穿刺治療でいったんシコリが縮小すると、再発は稀である。

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