●クビが腫れた
●やせてきた
●眠れない
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●疲れやすい
●汗をかきやすい
●体が熱く息切れがする
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●指先が震える
●胸がドキドキする
●下痢をする |
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●神経質になった
●よく食べる
●眼が出てきた |
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この病気は若い女性に多く、甲状腺の腫れ(全体的に大きくなります。ここが甲状腺がんなどのできものと違う点です)、やせ(食欲があり、食べても食べてもやせていきます。ここが胃がんなどと違う点です)、ドキドキ、手や足のふるえ、汗をかきやすい、イライラする、怒りっぽい、集中できない、目付きが鋭くなった、目がでたなどの症状がでてきます。
学生などの場合、学業成績が急に低下したりすることで病気が見つかることもあります。従順だった子が、急に反抗的になったり、暴走族になったという例もありますが、病気が治ると元のお子さんに戻りますので、ご安心ください。
男の人では腰が抜けたように足がグニャグニャになり、力が入らず立てなくなることがあります。これを周期性四肢マヒといい、東洋人の男に多いと言われています。
上のような症状があると診断は簡単ですが、軽い例では症状がめだたなくて、なかなか分からず、いろいろな科に回されることもあります。
例えば、痩せに対して胃腸科、ドキドキに対して循環器科、手・足のふるえに対して神経科、イライラに対して精神科、目が出たことに対して眼科に回されます。 |
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現在分かっていることは、バセドウ病の人ではまず、脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSHといいます)の甲状腺にくっつくところ(レセプターまたは受容体といいます)に対して抗体(TBIIまたはTSAbといいます)ができます。この抗体が甲状腺を刺激し続けるために、甲状腺ホルモンが沢山できてバセドウ病の症状がでると考えられています。しかし、この抗体がなぜできるかについては不明で、今のところバセドウ病は原因不明の病気です。
バセドウ病患者は血液の中に甲状腺のタンパクに対する抗体をもっています。普通、抗体は外部から侵入してくるバイキンやウイルスに対する防御の働きをします。自分の体に対しては抗体はできません。抗体が自分の体を攻撃しては困るからです。
しかし、自分の体の部分に対して抗体のできる病気があります。これを、自己免疫病といいます。バセドウ病は自己免疫病の代表的な疾患です。
抗体にはバセドウ病のように刺激するものと慢性甲状腺炎のように攻撃して働きを抑えるものがあります。 |
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この病気は、治療により治ります。 |
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治療法は薬物治療、放射性ヨード治療、手術の3つがあります。このどれかで必ず、治せるということです。
ただ、クスリで治る人は全体の30〜40%ですので、そのことを最初から患者さんに説明しておくべきでしょう。
クスリで治らなければ、他の治療で治せることをちゃんと説明しておくと患者さんは安心されます。
バセドウ病になると、一生クスリを飲まなければならないと勘違いしている患者さんや医師がいますが、間違いです。
患者さんの年齢、病気の程度、甲状腺の腫れの程度などにより治療のやり方が変わってきます。
医者は患者さんに、それぞれの治療の長所と短所を説明し、患者さんとよく話し納得してもらって治療法を決めます。これは説明と同意(インフオ一ムドコンセント)と言われ、治療法を決めるのに大切なことです。
今は患者さんの同意なしにはいかなる治療もできません。医者のみが治療法を決定する時代は終わり、これからは患者さんにも加わってもらい一緒に考えることが必要なのです。 |
治療法の比較 |
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抗甲状腺薬治療 |
放射性ヨード治療 |
外科治療 |
適する人 |
●あらゆる年齢
●妊婦
●甲状腺の腫れが小さい人
●病気の程度が軽い人 |
●原則として、19才以上
●心臓や肝臓の悪い人
●バセドウ病手術後に再発した人
●クスリで治りにくい人
●クスリの副作用が出た時 |
●若い人
●甲状腺の腫れが大きい人
●甲状腺がんの疑いがある時
●早く治りたい人
●クスリで治りにくい人
●クスリの副作用が出た時 |
長所 |
●簡単
●日常生活が可能
●クスリの量を加減できる |
●早く治る
●がん・白血病にならない
●生まれてくる子供に影響がない |
●早く確実に治る
●再発が少ない |
短所 |
●治りにくい
●長期間かかる
●副作用がある |
●効き方が不確実
●施設が限られる |
●手術の傷が残る
●後遺症がある
●入院を要する |
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バセドウ病の他に、甲状腺ホルモンが高くなる病気があります。このときは、治療法も違います。 |
バセドウ病のように血液の甲状腺ホルモンが高くなりますが、バセドウ病とは異なる病気があり注意を要します。これには甲状腺が“痛くなるもの:亜急性甲状腺炎”と“痛みのないもの:無痛性甲状腺炎”があります。
バセドウ病でないことを知るには、放射性ヨードの摂取率やテクネシウムシンチ(摂取率)をみる検査をする必要があります。バセドウ病では放射性ヨードの摂取率は高くなり、テクネシウムシンチでは甲状腺全体に取り込みがみられ摂取率も高くなります。反対に、亜急性甲状腺炎や無痛性甲状腺炎ではそれらが非常に低くなります。妊娠中、授乳中は、放射線を使う検査ですのでこの検査はできません。
しかし、最近ではカラードップラーと言う機械で甲状腺内の血流をみることができるようになりました。バセドウ病では、カラードップラーで甲状腺内の血流が増えており、無痛性甲状腺や亜急性甲状腺炎では甲状腺内の血流が減っています。もちろん、例外もあります。
今まで多くの症例を見てきますと、このような所見と合わない症例もあり、判断がつかないときにはやはり今でも、放射性ヨード摂取率試験やテクネシウムシンチが診断の決め手になります。しかし、妊娠時一過性甲状腺機能亢進症ではこの検査はできません。
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カラードップラー検査 |
バセドウ病 |
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甲状腺内に赤や青の点が多くみられます。これは血流が増えていることを示すものです。 |
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無痛性甲状腺炎 |
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バセドウ病とは対照的に甲状腺内に赤や青の点が全くみられません。血流が減っていることを示しています。 |
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