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057

057 妊娠中に見つかったバセドウ病について
にこ
女・31歳
1999.03.27-09:49
はじめまして。現在妊娠10週の学生です。妊娠8週の検診で、甲状腺の腫れが見つかって、検査したところ甲状腺機能亢進症と診断されました。
妊娠9週の時点での数値は、
FT4=4.21
TSH=0.03以下
TSH抗体=1042%
です。
TSH抗体の単位はよく分かりませんが、正常範囲は、0〜130%という事です。
内分泌科医にバセドウ病といわれました。妊娠9週から、PTU50mgを、一回3錠一日2回服用しています。バセドウ病の症状らしいものといえば、疲れやすく下痢気味なくらいで、動悸や手の震えなどはありません。
本を読むと、妊娠初期に甲状腺機能亢進症だと、流産や、奇形の確率が高くなるとのこと。
ですが、具体的な事が分からず不安です。
  1. 流産の確率は、健康な女性に比べてどのくらい高いのですか?
  2. 同様に、奇形の確率はどのくらい高いのですか?
  3. バセドウ病が原因で起こりうる奇形にはどのようなものがありますか?
  4. 流産、奇形のほかに、胎児に悪影響はありますか?
  5. 以上のような事を防ぐために、薬を服用する以外に私が注意すべき事はありますか?

ハイリスク妊娠という事で、専門家(perinetologist:訳語が分かりません)にかかることになっているのですが、お忙しい先生らしく、予約は3週間以上先になってしまいました。その間に、胎児に異常が起こるのではないかと不安に思ってます。
どうか、よろしくお願いします。

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  にこさんへ
Oyaji's reply TSH抗体ではなく、TSAb(Thyroid stimulating antiboby)というTSHレセプター抗体の一種で、甲状腺を刺激する抗体です。これが、バセドウ病の原因と考えられているわけです。その抗体が大変高いですね。甲状腺検査の解釈については、わたしのHPの次のページを参考にしてください。
http://www.j-tajiri.or.jp/source/patient/015.html
  1. バセドウ病をちゃんと治療して、甲状腺機能を正常にしていると流産の危険性は普通の妊婦と一緒です。しかし、甲状腺ホルモンが高いままだと、正常妊婦に比べて、流産の危険性は2倍です。
  2. 甲状腺ホルモンが高いままだと、正常妊婦に比べて、奇形の危険性は3〜4倍です。しかし、最近の研究では、甲状腺ホルモンの高さではなく、未知の因子が妊娠初期に胎盤から分泌されるHCGに作用して、甲状腺を刺激し、さらに奇形を起こしているのではないかとの考えもある。これからの研究課題ですね。
  3. 記載には、外表部の奇形としか記載がありません。これは、この分野の専門家に尋ねます。このBBSで分かり次第お知らせします。
  4. 少なくとも胎児の甲状腺が働き出すのは13週以降ですので、それまでに抗甲状腺剤を使用しても何ら問題はありません。抗甲状腺剤による奇形は否定されています。すなわち、何の問題もないということです。
  5. クスリをしっかり飲んで甲状腺機能を正常にすることが一番大切です。あとは、特に注意する事はありません。

【perinatalogist】は日本語に訳すと『周産期医学者』とでもいいましょうか。日本にはいない専門家ですね。周産期とは、出産前後の時期のことです。

妊娠中の甲状腺機能亢進症については、わたしのHPの次のページを参考にしてください。
http://www.j-tajiri.or.jp/source/patient/005/12.html

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  にこさんへ 訂正
Oyaji's reply 昨日、『妊婦のバセドウ病』の専門の先生に伺いました。

以前は、クスリの副作用が怖くて抗甲状腺剤を飲まずにバセドウ病のコントロールができていない状態でお産した方が奇形児が生まれ易いと言われていましたが、現在の研究ではそのような状態で出産しても奇形児はできないことが分かりました。これで、お母さんたちも安心ですね。

従って、質問2と3は心配ないことになりますね。良かったですね。
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