TSHレセプター抗体はどのようにはたらいているのか? |
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このTSHレセプター抗体(すなわち鍵ですね)は、まず甲状腺濾胞細胞の表面にある受容体(レセプター:すなわち鍵穴ですね)に差し込まれ、甲状腺ホルモンを作ったり、甲状腺を大きくします。TSHレセプター抗体は、1]まず第一段階として、甲状腺濾胞細胞の表面にある受容体(レセプター)に差し込まれるときに、TSHという別の鍵が差し込まれるのを邪魔するのです。自分がちゃっかりとその鍵穴に差し込まれるのです。ずるいヤツですね。それだけではなく、2]第二段階で、甲状腺までも異常に刺激するのです。本当に悪いヤツです。
現在、TSHレセプター抗体と呼ばれるものには2つがあります。TBIIとTSAbです。 |
- TBIIはTSH-binding-inhibitory-immunoglobulinの略で「TSHがTSHレセプターにくっつくのを邪魔する免疫グロブリン」という意味です。これはTSHレセプター抗体の悪行の第一段階、すなわち、甲状腺濾胞細胞の表面にある受容体(レセプター)に差し込まれるときに、TSHという別の鍵が差し込まれるのを邪魔するところを見ているのです。どれくらい邪魔するかを数字で表します。100%邪魔したら、一番悪いわけです。10%以下の邪魔なら、まあ許されます。これが正常値です。
- TSAbはthyroid-stimulating-antibodyの略で「甲状腺を刺激する抗体」という意味です。これはTSHレセプター抗体の悪行の第二段階、すなわち、甲状腺を異常に刺激することです。これもどれくらい刺激するかを数字で表します。難しい話になりますが、c-AMP(サイクリックエイアムピーと読みます:adenosine
monophosphate)というリン酸化合物をどれだけ作るかでみます。ある基準値を決めてそれを100%とします。180%以下が正常です。これが高いほど刺激性が強いことを意味します。
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