|
|
|
|
|
ヨード過剰摂取による一過性クレチン症(一過性先天性甲状腺機能低下症)は、妊娠中にヨードを過剰に取らないことで防ぐことができます。それによって生後4日目に行う新生児スクリーニングにも引っかからなくなると思います。そうすれば、赤ちゃんも無駄な検査をしないで済むと思うのです。新生児の採血は難しいのです。小児科の先生でさえ、苦労します。一番、辛いのは赤ちゃんでしょう。そして、親御さんでしょう。このようなことにならないためにも、妊婦のみなさんに正しい情報を知って欲しかったわけです。
『一過性』というのは一時的という意味です。すなわち、自然に甲状腺の働きは正常に戻ります。場合によっては一時的に甲状腺ホルモンを飲むことはあるかもしれませんが、そのうち甲状腺ホルモン剤の服用も中止できます。ここが、クレチン症(先天性甲状腺機能低下症)と違う点です。子供さんには知能障害など出ませんから、安心してください。産後に気を付けていただきたいことは、ヨードは乳汁中に出ますから授乳中もヨードを過剰に摂らないことです。これはあくまでも、ヨード過剰摂取による一過性クレチン症(一過性先天性甲状腺機能低下症)のお子さんを出産された母親の場合のみです。それ以外のお母さん方はヨードの摂取は普通にされても問題ありません。
同じ量のヨードを妊娠中に摂取しても、ほとんどの新生児は甲状腺機能は正常で生まれてきます。ヨード過剰摂取による一過性クレチン症を起こしてくるお子さんの甲状腺では、ヨードが甲状腺ホルモンを作る過程を邪魔している可能性があります。このことについては、今後の研究が必要でしょう。ただ、現在、分かっていることは、ヨード過剰摂取による一過性クレチン症(一過性先天性甲状腺機能低下症)は、1]妊娠中にヨードを過剰に摂らないことで予防が可能なこと、2]産後に母親がヨードを制限することで母乳からヨードが過剰に入らないため甲状腺機能は正常に戻ること、3]知能障害は起こらないことです。 |
|
|
|
|
|