先天性甲状腺機能低下症の一部に家族性のタイプがあることが最近、報告されている。フランスのグループは、最新のアメリカ内分泌学会誌(JCEM
87: 575-580, 2002)に先天性甲状腺機能低下症児の一親等における先天性甲状腺異常の頻度について報告している。先天性甲状腺機能低下症児84例の一親等である243人に対して、甲状腺超音波と甲状腺機能を調べた。任意の217人に対して同じ検査を行い、対照とした。
18家系(21.4%)の19人(7.9%)で、先天性甲状腺異常がみられた。2人は2つの先天性甲状腺異常を持っていたので、計21の先天性甲状腺異常がみられた。一方、対照群では先天性甲状腺異常は2人(0.9%)にみられたのみであった(p<0.001)。先天性甲状腺機能低下症児の一親等における先天性甲状腺異常の内訳は、甲状舌管嚢胞14人、錐体葉の存在3人、甲状腺片葉欠損3人、異所性甲状腺1人です。これらの人たちはすべて甲状腺機能は正常で、症状はありませんでした。甲状腺無形成(8家系)、異所性甲状腺(9家系)、甲状腺片葉欠損(1家系)の家系に属していました。
結論として、先天性甲状腺異常は常染色体優性遺伝であるが、家系の21%に出現するだけであり、キャリヤーは7%という低い頻度なので遺伝性は弱いと思われる。今回の結果から、先天性甲状腺機能低下症はヘテロ表現型遺伝形式をとるという仮説を支持するものである。 |