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イタリアのグループは、最近のアメリカ甲状腺学会誌(Thyroid 12: 45-52, 2002)に先天性甲状腺機能低下症に対するサイロキシン初期投与量の成長および知能発達に及ぼす影響について報告している。マススクリーニングで見つかった先天性甲状腺機能低下症83人を対象としている。サイロキシン初期投与量により3つのグループに分けた。グループ1(42人):従来推奨されていた投与量、6.0〜8.0μg/kg/日、グループ2(21人):8.1〜10.0μg/kg/日、グループ3(20人):10.1〜15.0μg/kg/日。4歳時におけるグループ3の知能指数(IQ:
98±9)はグループ1(IQ: 88±13,p<0.05)に比べて有意に高かったが、グループ2(IQ: 94±13)とは差がなかった。しかし、グループ2では知能指数が正常以下の症例は6人(28%)であったのに対し、グループ3では知能指数が正常以下の症例は一人もいなかった(p=0.03)。グループ3において、診断時に重症であった症例の4歳時の知能指数(97±9)は、診断時に中等症であった症例のそれ(99±12)と比べても差はみられなかった。グループ2も、診断時に重症であった症例と診断時に中等症であった症例の間には同じような傾向がみられた。治療開始1ヶ月後には、3つのグループとも総T4、フリーT4値は正常になったが、TSHが正常になったのはグループ3のみであった(グループ1:16.0±12.0、グループ2:9.2±10.0、グループ3:2.4±3.3mU/L;
p<0.0001)。グループ2のうち、サイロキシン初期投与量が9μg/kg/日以上であった12人は最初の3ヶ月でTSH値が正常になった。その結果、この子たちの知能指数(97±16)は、残りのグループ2の子供の知能指数(90±9)より高かった。3つのグループ間で、身長、体重、頭囲、骨年令には差がみられなかった。一番多い量を投与されていた子供でも、サイロキシン過剰投与の症状はみられなかった。 結論として、高用量のサイロキシン投与は、TSHを早く正常化し、知能の発達遅延を予防することができることが分かった。しかし、成長や骨年齢には影響を与えなかった。 |
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