情報源 > 更に詳しい情報
[068]
[068]
甲状腺微小乳頭癌患者に対して手術を行わないで経過観察する試み
Yasuhiro Ito, Takashi Uruno, Keiichi Nakano, Yuuki Takamura, Akihiro Miya, Kaoru Kobayashi, Tamotsu Yokozawa, Fumio Matsuzuka, Seiji Kuma, Kanji Kuma, and Akira Miyauchi.
Thyroid 13: 381-387, 2003.

まとめ
最近、超音波ガイド下穿刺吸引細胞診の進歩により直径1cm未満の微小乳頭癌の診断率が向上した。従来より、剖検にて潜在性乳頭癌が高頻度に見つかるという研究結果が報告されているため、甲状腺微小乳頭癌を全例、手術すべきかどうかについては賛否両論がある。我々は1993年から2001年までの間に超音波ガイド下穿刺吸引細胞診で診断した微小乳頭癌732例に対して、手術しないで経過観察するという選択肢を患者に説明した。その結果、162例が経過観察を選択した。この症例を経過観察群と定義した。経過観察群では経過観察中に、70%以上の症例で診断時と比較して腫瘍径は不変か縮小した。経過観察中に、10.2%で腫瘍径が10mmより大きくなった。経過観察中に、側頸部リンパ節転移が出現したのはたった1.2%のみであった。一方、診断時に手術を選択した570例と経過観察中に手術になった経過観察群56例を手術群と定義した。この626例のうち594例で頸部リンパ節郭清を行い、組織学的リンパ節転移が50.5%で認められた。42.8%の患者で癌は多発性であった。癌が多発性であった症例では、手術後の5年再発率は2.7%、8年再発率は5.0%であった。我々の予備データから、ほとんどの場合、微小乳頭癌は臨床的に重大な問題にはならないことが示唆された。従って、病理学的に多発性であり、高い頻度で頸部リンパ節転移が認められる事実はあるものの、微小癌が進行しない限り、甲状腺微小乳頭癌患者は経過観察という選択肢を選ぶことができる。

はじめに
甲状腺癌は、内分泌臓器から生じる最も頻度の高い悪性腫瘍である。乳頭癌が最もよくみられるものである。乳頭癌は通常、悪性度は低く、進行もゆっくりである。最近、甲状腺や頸動脈疾患スクリーニングとして超音波検査が普及してきて、小さい甲状腺病変が多く見つかるようになった。穿刺吸引細胞診は、直径3mm以上の乳頭癌を診断することができる(1)。世界保健機関(WHO)分類によれば、直径10mm以下の甲状腺癌は、微小癌として定義されている。今までの研究から、微小乳頭癌は乳頭癌の30%を占めており(2)、手術を行えば予後が大変良いことが示されてきた(3-7)。一方、微小乳頭癌はリンパ節転移と多発性腫瘍形成の頻度が高いことが知られている;米国、スペイン、日本の研究では、病理学的なリンパ節転移は16%〜64%で見られ、多発性腫瘍形成は23%〜33%にみられたと報告されている(3-7)。この事実が、微小乳頭癌に対して、リンパ節郭清を伴った甲状腺切除術を推奨する理由であると思われる。しかしながら、患者の生涯において全ての微小乳頭癌が進行し、臨床的に問題になり、致命的になるかどうかは未解決のままである。

もし、全ての微小乳頭癌が進行するわけではなく、臨床的に問題になるわけでもなく、致命的にもならないのなら、外科医が微小癌と診断された全ての患者に手術を勧めることは適切でないかもしれない。本研究において、微小乳頭癌がどのように治療を受けるべきかを明らかにするために我々は定期的な経過観察を行い、腫瘍径、リンパ節転移、多発性腫瘍形成などの変化の影響を検討した。

患者と方法
患 者
隈病院において1993年から2001年まで、穿刺吸引細胞診により診断された甲状腺乳頭癌患者2,869例が手術を受けた。隈病院で行っている穿刺吸引細胞診の方法は、以前報告している(1)。乳頭癌の診断は、核溝、核内封入体などの典型的な特徴(8)に基づいて、2人の専門医(A.MとS.K.)によって行われた。2,869例のうち2,838例は、手術後の病理検査によって乳頭癌と確認された。我々の病院における穿刺吸引細胞診による乳頭癌の陽性的中率(PPV)は98.9%であった。

同じ期間に、732例の患者が穿刺吸引細胞診によって微小乳頭癌と診断された。大多数のこれらの患者は、他の医療機関で超音波検査を行い、疑わしい甲状腺病変があると確認されて、我々の病院に紹介された。好ましくない特徴(例えば、腫瘍が気管に隣接して位置するとき、腫瘍が反回神経に浸潤している可能性があるとき、穿刺吸引細胞診所見にて腫瘍の悪性度が高いことを示唆しているとき、超音波検査によって側頸部リンパ節転移が疑われるとき[または穿刺吸引細胞診によってリンパ節転移が診断されたとき])がみられるときを除いて、全ての患者に対して、直ちに手術を行うか、経過観察するかを選択肢として、患者に説明した。上記に述べた好ましくない特徴を持つ患者には手術を勧めた。超音波でリンパ節が高エコーまたは円形に近い形(長さと幅の比が1に近い)がみられた場合、リンパ節転移とみなした。気管周囲のリンパ節に対して穿刺吸引細胞診を行うことはあまりないが、手術の適応や術式を決めるために側頸部リンパ節の穿刺吸引細胞診はよく行う。この研究は、我々の病院の倫理委員会にて承認され、インフォームドコンセントは研究に参加した全ての患者から得られた。その結果、162例の患者は手術しないで経過観察を選び、残りの571例の患者は手術を受けた。

経過観察開始時の経過観察群162例における背景は、【表1】にまとめた。経過観察は年に1〜2回で、多発性腫瘍病変、リンパ節転移の有無、腫瘍径を超音波検査によってチェックした。観察期間は、18〜113ヶ月で平均値は46.5±21.5ヶ月(平均±標準偏差[SD])であった。患者の希望で、甲状腺刺激ホルモン(TSH)を抑制するために11例の患者に対してレボサイロキシン(チラーヂンS)が投与された。経過観察群患者に対して癌の大きさの変化の統計解析をするために、診断後から毎年、各々の患者で腫瘍径を記録した。

手術群の患者数は、経過観察期間中に手術を受けた経過観察群56例と診断時に手術を受けた571例の計627例である。この627例のうち、1例は肝機能障害のため他院で手術を受けたので、我々の統計解析から除外した。626例の微小乳頭癌患者は、我々の病院で1993年から2001年まで乳頭癌の診断にて手術を受けた患者の21.8%を占めていた。全ての症例は病理検査によって組織学的に乳頭癌と診断された。対象となった微小乳頭癌の穿刺吸引細胞診の陽性的中率は100%であった。患者626例の手術時のプロフィールは、【表1】にまとめた。手術を受けた患者は、超音波検査によって年に1回〜数回、追跡調査された。胸部レントゲン写真は撮る例もあり、撮らない例もあった。
統計解析
各々の経過観察期間での平均腫瘍径と経過観察開始時の平均腫瘍径を比較するために、対応するt検定が用いられた。さらに、手術を受けた患者の生存率を評価するためにカプラン・マイアー法を用いた。p値が0.05未満の場合、統計学的に有意であるとみなした。

結 果
経過観察群
[腫瘍径]
我々は、超音波検査で患者を3つのカテゴリーに分けた:腫瘍径が増大したもの、縮小したもの、不変のもの。最大直径が診断時と比較して2mm以上増減した場合、腫瘍径が増大したもの、縮小したものと分類し、それ以外は不変のものと分類した。
【表2】は、経過観察群における微小乳頭癌の腫瘍径の変化を示す。3年後と4年後の平均腫瘍径は、経過観察開始時のそれと比べて有意に大きかった(対応のあるt検定)。しかし、70%以上の患者の腫瘍径は経過観察期間中のどの時点でも増大しなかった。5年後以降でさえ、72.3%は腫瘍径が増大しなかった。レボサイロキシン(チラーヂンS)を投薬した症例と投薬しなかった症例の間で腫瘍径の変化に差はみられなかった(データは示していない)。

経過観察期間に、18例の患者(11.1%)で、腫瘍径が10mmより大きくなった。この18例のうち11例は引き続き経過観察をしたが、次の診察時の超音波検査で腫瘍径の更なる増大はみられなかった。残りの7例は、患者自身の選択または外科医の勧めにより手術を受けた。予想外なことであったが、5例の患者で癌病巣が縮小して、径観察期間中に超音波検査によって検出できなくなった。このうち3例は次の超音波検査で再び検出されたが、2例は一番最近の超音波検査でも検出できないままだった。
[他の特徴]
頸部リンパ節転移を疑う超音波による判定基準は、「患者と方法」のところで記載した如くである。上記の超音波による判定基準の下で、経過観察群162例のうちの20例(12.3%)で、リンパ節転移が超音波検査によって疑われた。11例は経過観察開始時に超音波による頸部リンパ節転移が検出され、残りの9例は経過観察期間中に検出された【表1】。18例はリンパ節転移が気管周囲だけに限局していたが、手術はしなかった。リンパ節転移の数と大きさは、経過観察期間中に増えることはなかった。残りの2例(1.2%)で経過観察期間中に、超音波検査により頸部リンパ節転移を疑う病変が側頸部リンパ節に検出された。1例は穿刺吸引細胞診によってリンパ節転移と診断され、手術を受けた。もう一例は穿刺吸引細胞診ではリンパ節転移と診断できなかったが、リンパ節腫大が多発しており転移を非常に疑ったため、我々は手術を勧めた。

多発性腫瘍形成は、48例(29.6%)で疑われた。30例(18.5%)は、経過観察開始時に検出されていた【表1】。3例は経過観察開始時に、5例は経過観察期間中に穿刺吸引細胞診によって多発性腫瘍形成は確認された。腺腫様結節、濾胞腺腫、腺腫様甲状腺腫のような他の良性結節の合併は、107例(66.0%)でみられた【表1】
[経過観察期間中に手術を受けた患者のまとめ]
経過観察群162例のうち、56例は経過観察19〜56ヶ月後に、手術を受けた。この56例の腫瘍径は、13例(23.2%)が増大、7例(12.5%)が縮小、36例(64.3%)が不変であった。7例(12.5%)は経過観察期間中に腫瘍径が10mmより大きくなったため、手術を勧めた。この7例のうち2例は手術時には腫瘍径が10mm未満に縮小していた。残り5例はTNM分類でT2であった【表3】。2例(1.2%)で、経過観察期間中に側頸部リンパ節転移がみつかり、手術を勧めた。経過観察期間中に手術になった症例のほとんどは、腫瘍径の増大とか新しいリンパ節転移の検出が、手術になった主たる理由ではなかった。残り47例は、患者自身の選択や合併していた良性結節の増大など他の理由で手術を受けた。手術を受けた症例は全て病理検査によって乳頭癌と診断された。その症例のTNM分類【表3】にまとめた。
手術群
[患者のプロフィール]
手術群患者のTNM分類は、【表3】にまとめた;乳頭癌と診断されてすぐ手術を受けた症例と経過観察期間中に手術になった症例の間には有意な差はみられなかった。癌が多発性で両葉に及んでいるためまたは対側葉に良性結節があるために、276例(44.1%)で甲状腺全摘術か甲状腺準全摘術を行った。残りの350例(55.9%)に対して、我々はより少ない範囲(例えば、甲状腺亜全摘、葉切除術、甲状腺峡部切除、部分切除術)の甲状腺切除術をした。気管周囲リンパ節郭清は594例(94.9%)で行われ、側頸部リンパ節郭清は317例(50.7%)で行われた。626例全てで、術後の病理組織から乳頭癌と診断された。超音波によって術前にリンパ節転移が分かっていたときには、側頸部リンパ節郭清を行った。一方、リンパ節郭清の範囲は各々の外科医が判断した。2例は反回神経への癌細胞浸潤よる声帯麻痺がみられた。彼らは、頸神経ワナ・反回神経吻合術により神経の再建を行った(9)。5例は癌細胞が気管に浸潤しており、気管の部分切除を必要とした。
[リンパ節転移と多発性腫瘍形成]
リンパ節転移が、300例で病理学的に確認された。それは、リンパ節郭清を受けた594例の50.5%を占めた。我々はこれら300例全てに気管周囲リンパ節郭清を行い、病理学的にリンパ節転移が258例(43.4%)で診断された。317例が側頸部リンパ節郭清を受けて、141例(44.5%)ではリンパ節転移がみられた。この141例のうち、手術前超音波によって見つけられた頸部リンパ節転移は55例(39.0%)のみで、残りの86例(61.0%)は手術前超音波では頸部リンパ節転移はないと診断されていた。

多発性腫瘍形成は、269例(42.8%)で病理学的に確認された。術前に多発性腫瘍形成と診断されていたのは、126例(47.0%)だけであった。
[予後]
手術後の経過観察は年1回以上で、超音波検査によって行われた(胸部X線撮影は全例に行ったわけではない)。観察期間は平均48.7ヶ月(0〜120ヶ月)である。観察期間中、626例のうち16例(2.6%)が再発した。【表4】は、これらの患者の再発部位を示す。626例のうち、12例(1.9%)はリンパ節転移で、4例は残置甲状腺で再発した。残置甲状腺での再発は、甲状腺全摘術もしくは甲状腺準全摘術を受けていない350例の1.1%であった。レントゲン写真では、肺または骨に対する遠隔転移は一例もいなかった。再発率は、5年後が2.7%、8年後が5.0%であった【図1】。原疾患で死亡した患者はいなかった。

考 察
乳頭癌はまれな疾患でなく、しばしば病理解剖で見つかる(10-17)。超音波によって検出することができる腫瘍径3〜9.9mmの癌は、病理解剖において2.3%〜5.2%の頻度でみつかる(10,16,17)。さらに、Takebeらは超音波検査と穿刺吸引細胞診による集団検診を行い、30歳以上の健常女性では3.5%が3mm以上の乳頭癌を持っていると報告した(18)。84%は、15mm未満であった。これらの女性全員は、手術を受け、組織学的に乳頭癌と診断された。彼らの結果から、乳頭癌の頻度は女性10万人に3,500人という高頻度であることが示唆された。一方、日本や他の国で行われた研究では、臨床的にあきらかな甲状腺癌の頻度はずっと低いものであり、女性10万人に2.0〜3.8人にすぎない(19-21)。この事実を踏まえると、大部分の微小乳頭癌は潜在性で、生命には危険を及ぼさないことが示唆される。

他方、今までの研究は、10mm未満の乳頭癌でもしばしばリンパ節転移や多発性腫瘍形成が起こると報告している(3-7)。これは、我々の研究でも同じであった;40%以上の患者は、リンパ節転移と多発性腫瘍形成がみられた。我々の結果は、これらのリンパ節転移と多発性腫瘍形成は超音波検査によって見つけるのが難しいことを示した。

無症候性の微小乳頭癌をどのように治療するかについては結論が出ないままである。本研究で最も重要な結果は、経過観察群の大部分の患者が経過観察期間中、あきらかな癌の進行を示さなかったということである。側頸部リンパ節転移のみられた手術群141例のうち、術前に超音波で側頸部リンパ節転移と診断されたのはたった55例(39.0%)のみであった。従って、術前の超音波診断における側頸部リンパ節転移の偽陰性頻度はきわめて高いことを示した。以上より、経過観察群でも超音波検査によって検出不可能な頸部リンパ節転移が高い頻度でみられることが示唆される。しかし、側頸部リンパ節転移の診断で手術を受けたのは、経過観察群の2例(1.2%)のみである。これらの結果は、微小乳頭癌がしばしば長期間安定している可能性を示唆する。そして、Blackら(22)が述べているように、我々は手術を必要としない多くの甲状腺癌を見つけてきたのかもしれない、また患者に不必要な手術を勧めてきたのかもしれない。今回の結果は、「患者と方法」で述べているような悪性度の高い特徴を有する症例を除けば、定期的に注意深い経過観察をすることが、大部分の微小乳頭癌患者に適当である可能性を示唆している。腫瘍の進行が臨床的に明らかになったとき、外科医が手術を勧めたとしても手遅れということはない。結論を出すためにさらに多い患者を、もっと長い期間、経過観察していく研究が必要であるのは当然のことであるが、我々が提起した対応で手遅れになる頻度はそれ程、高くはない。

手術を行うとき、術式を決めることは重要である。【表3】に示すように、病理学的にリンパ節転移(pN1)と多発性腫瘍形成(pT1b、pT2b、pT4b)は、手術を受けた患者の40%以上で認められた。気管周囲領域のリンパ節転移に対して手術を行う場合、2回目の手術は手技的に難しいので、初回手術で気管周囲リンパ節を郭清することは理にかなっている。リンパ節転移が術前に診断されているときは、側頸部リンパ節郭清も行わなければならない。しかし、我々の症例では、側頸部リンパ節転移をもつ患者の60.0%は術前にリンパ節転移を診断できなかった。従って、側頸部リンパ節郭清を行っていない患者では、側頸部リンパ節転移はそのままの状態で放置されていると思われる。他方、側頸部リンパ節郭清を行っていない患者の再発率は、たった1.6%であった(309例中5例)【表4】。Hayらも、リンパ節転移が触診で触れたときのみリンパ節郭清を行ったが、微小癌の予後は大変良いと報告している(7)。同様に、多発性腫瘍形成は術前に53.0%の患者で診断できなかったが、残置甲状腺の再発率は1.1%のみであった。したがって、我々はリンパ節と残置甲状腺に癌細胞が残っているにもかかわらず、ほとんどの患者は予後が良いことは、微小乳頭癌細胞は患者にとって危害を与えないのではないかという仮説をたてた。あくまでも、我々の仮説を証明するには、もっと長い経過観察期間を要するのは当然である。

微小乳頭癌は通常ゆっくり進行するものだが、進行の早い特徴をもつタイプや予後の悪いタイプが報告されている(7,23-25)。これらの症例では、被膜外浸潤や転移リンパ節の大きさ(23,24)、反回神経麻痺による嗄声(25)、年齢と術後サイログロブリン値(26)、Ki-67ラベル指標やトランスフォーミング成長因子(TGF)b3免疫活性(25)などの危険因子がある。術前、微小癌でも進行の早いタイプを正確に診断できれば、各々の患者に対して手術の適応を決める際に大変有用であろう。現時点では、我々は手術しないで観察することによって微小癌の性質を評価することが好ましいと考える。

要約すると、微小乳頭癌はほとんどの場合、患者の生命を脅かすことはなく潜在性のままであることを我々は提示した。そして、当然のことながら結論を出すためには、より長い期間の経過観察を行うべきであるが、我々は手術しないで経過観察という選択肢を選ぶこともできる。さらに、悪性度の低い患者の治療を決定するために、病理検査や超音波と穿刺吸引細胞診所見に基づいて、各々の微小癌の生物学的悪性度を評価する研究が必要である。

. Dr.Tajiri's comment . .
. 今回は、神戸隈病院からの研究報告を紹介しました。甲状腺微小癌の治療法については、賛否両論があり、現在も結論が出ていません。しかし、今回の論文から分かったことは、例外を除いて、微小乳頭癌は手術をしないで経過観察をしても大丈夫であることです。これは、臨床上、大変重要です。今回の研究結果は、微小乳頭癌患者をみたとき、患者にどのように対応したら良いかを示す有力な材料となります。臨床的な疑問に答えてくれるこのような研究は、今日からの診療にも役立ちます。今後、症例を増やし、隈病院のやり方がStandardになることを切望します。 .
. . .

参考文献]・[もどる