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205

No.205 女・31歳
先生、こんにちは。
主人の仕事の関係で、アメリカのオレゴン州に住んでいます。2歳半の長女がいます。去年の年末に妊娠がわかり、その後の定期検診でドクターに、のどが腫れていると指摘され、血液検査で甲状腺ホルモンが出すぎていることがわかりました。PTU(PROPYLTHIOUR 50mg)を2錠ずつ1日2回2週間飲みましたが、昨日の再血液検査で、多少はよくはなっているが、まだ数値が高いので、2錠ずつ1日3回(計6錠)に増やすように言われました。今、妊娠4ヶ月目に入り、予定日は8月です。つわりは長女の時よりはマシですが、今回もきついほうです。
この薬とその量は、胎児にとって、大丈夫でしょうか?妊娠していることは、甲状腺ホルモンに大きく影響するのでしょうか?生まれてくる子供も甲状腺の問題を持って生まれてくるのでしょうか?妊娠がわかった後に甲状腺の問題があることがわかったのですが、こういうことはよくあることでしょうか?
病気がわかって以来、とても疲れやすく、気分も沈みがちです。
何か、特に日常生活で気をつけることは、ありますでしょうか?よろしくお願いします。
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Oyaji's reply 症状からすると、バセドウ病のようですね。妊娠初期に一過性に甲状腺機能亢進症(妊娠時一過性甲状腺機能亢進症)になることがありますが、それではないようです。
妊娠時一過性甲状腺機能亢進症は妊娠時の甲状腺機能亢進症としては大変多く、バセドウ病の10倍はいます。しかし、この場合は症状は、つわりがひどいだけで他の症状はありません。甲状腺も普通大きくなりませんし、治療の必要もありません。自然に落ち着きますので。原因は、胎盤から出るHCGというホルモンです。妊娠が進むにつれて正常になります。バセドウ病も、普通は妊娠が進むにつれて落ち着いてきますよ。

妊娠時の甲状腺機能亢進症については、次のページを参考にしてください。甲状腺機能亢進症のところをお読みください。
http://www.j-tajiri.or.jp/source/treatise/011/index.html

バセドウ病については、わたしのHPの次のページを参考にしてください。
http://www.j-tajiri.or.jp/thyroid/illness/01.html

沢山のリンクがありますので、わたしのHPの次のページを参考にしてください。最後まで読んでください。
http://www.j-tajiri.or.jp/navi/illness/index_02.html
  1. PTU(プロピールチオウラシル:日本ではチウラジールとかプロパジールといわれます)は妊娠中に飲んでも全く問題がありません。量も一日6錠くらいならなんの問題もありません。催奇形性はないことが分かっています。PTUは胎盤を通過しますが、胎児の甲状腺は妊娠4ヶ月ころ出来ますのであまり心配要りません。実は、あなたの血液中に甲状腺刺激抗体があると思いますが、この抗体も胎盤を通過しますので胎児の甲状腺の働きを抑えて、胎児の治療にもなります。

  2. 最初に説明しましたように、妊娠初期には甲状腺ホルモンが高くなることがありますが、妊娠後期には甲状腺機能は落ち着いてきます。バセドウ病も然りです。胎児はあなたにとっては、半分は異物です。異物を排除しようとする免疫能を低下させて胎児を守るのです。バセドウ病は自己免疫疾患ですので、妊娠後期には落ち着いてくるのはそのためです。しかし、産後にその抑制が外れたときにバセドウ病が悪化することがあります。

  3. あなたの血液中の甲状腺刺激抗体が出産前に非常に高ければ、新生児一過性甲状腺機能亢進症になることが、稀にあります。しかし、これはあなたから移行した抗体が消失する4ヶ月間だけです。その後は正常になりクスリを飲まなくて良くなります。アメリカでも、日本と同じように生まれて1週間以内に甲状腺ホルモンのスクリーニングを行います。問題があれば、すぐ治療できますので心配ありません。先天性甲状腺機能低下症の頻度は4000〜5000人に一人の割合です。先天性甲状腺機能低下症については、わたしのHPの次のページを参考にしてください。
    http://www.j-tajiri.or.jp/source/patient/009/07.html

  4. 妊娠時にバセドウ病が出ることはよくあります。前にも書きましたが妊娠時一過性甲状腺機能亢進症はその10倍あります。
  5. 日常生活では、甲状腺ホルモン値が高いときには安静にしてください。

何かあれば、いつでもメールをどうぞ。Good luck!!

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