コミュニケーション > 公開コーナー慢性甲状腺炎・甲状腺機能低下症
202

No.202 女・35歳
こんにちは、私は生後3ヶ月の子どもを持つ母親です。2つ質問があります。
一つは、市の総合病院で妊娠中に慢性甲状腺炎と診断され、何らかの症状が出たら内科へ行くようにいわれました。まだ、それらしい症状は出ていませんが、出る前に治療して直せないのでしょうか?
もう一つは、子どもが甲状腺低下症と診断され、生まれたときにTSHは70あり、レセプター抗体が28%とのことでした。それで、チラージンの投与を3ヶ月続け、TSHが0.56、フリーT4が1.85、フリーT3が4.1、レセプター抗体が35%という結果が出たので、2週間薬を止めた後に血液検査をする事になり、現在薬を止めているのですが、この大事な時期に止めてよいのでしょうか?不安で仕方ありません。最初に担当の先生は、途中で薬を止めると脳障害が起こる危険があるので、2年間薬を続けた後精密検査をすると、おしゃっていました。乳児の甲状腺の事は専門外だとは思いますが、どうぞよろしお願い致します。
.
   
Oyaji's reply
  1. 慢性甲状腺炎は軽いものも含めると、あなたの年令だと10人に1人はいます。この病気の場合、妊娠中は特に問題が起こりませんが、産後2〜3ヶ月したころに無痛性甲状腺炎という病気を起こしてくることがあります。甲状腺ホルモンが一時的に増え、その後正常に戻り、今度は低下して、最終的には正常にかえります。この全過程がが4〜6ヶ月です。この無痛性甲状腺炎が、産後に起こる事があるので症状が出たら内科へ行くように言われたのです。原因不明の病気ですので出る前に治療はできません。出てから治療しても、大丈夫です。無痛性甲状腺炎はほとんどの場合、治療を要しません。自然に治りますので。しかし、慢性甲状腺は、時間が経過するに従って甲状腺の働きが落ちてくることがあります。年1回程度は甲状腺ホルモン検査を受けていた方がいいでしょう。

    慢性甲状腺炎については、わたしのHPの次のページを参考にしてください。
    http://www.j-tajiri.or.jp/thyroid/illness/05.html

    無痛性甲状腺炎については、わたしのHPの次のページを参考にしてください。
    http://www.j-tajiri.or.jp/thyroid/illness/03.html

  2. 先天性甲状腺機能低下症ですね。TSHレセプター抗体が陽性ということは、妊娠中に胎盤を通してあなたから移行した可能性があります。しかし、TSHレセプター抗体の半減期(抗体が半分になる期間のこと)は4ヶ月ですので、いまだにTSHレセプター抗体の値が同じというのは、少し変ですね。今の時期だともう少し低いと思います。
    どちらにしろ、生まれたばかりの赤ちゃんにはTSHレセプター抗体を作る力はないと思いますので、あなたから移行したのは間違いないと思います。そのうち、低下してくると思います。TSHレセプター抗体は普通、甲状腺を刺激することが多く、バセドウ病の原因と考えられています。しかし、一部で、反対に甲状腺の働きを阻害して、甲状腺機能低下症の原因になることがあります。あなたのお子さんはこのタイプと考えられます。だから、先生は一時的にクスリを中止して経過を見ているのでしょう。
    回復している可能性があるので。甲状腺機能低下症の原因をはっきりさせるために。2週間程度のクスリ中止ならあまり問題はないでしょう。甲状腺ホルモン剤の半減期は7日です。あなたのお子さんは、生後すぐ甲状腺ホルモンの治療を始めているので心配はありません。先生も、甲状腺ホルモン剤治療の重要性は分かっているので、観察途中で甲状腺の働きが回復してないことが確認されたら、すぐ甲状腺ホルモン治療を再開すると思いますよ。ただ、先天性甲状腺機能低下症の原因が阻害型TSHレセプター抗体と決まったわけではなく、今後の経過をみる必要があります。先天性甲状腺機能低下症については、わたしのHPの次のページを参考にしてください。
    http://www.j-tajiri.or.jp/source/patient/009/07.html
    http://www.j-tajiri.or.jp/source/patient/005/07.html
    この公開コーナーのNo.166No.185もみてください。
ご心配と思います。何かあれば、いつでもメールをどうぞ。Good luck!!
|←198|…[もどる]…|204→|