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[005]
患者さんとの橋渡し【Bridge】 Bridge; Volume 15, No2

36:うつ病と甲状腺疾患 / Lawrence C. Wood, M.D., F.A.C.P.

活動し過ぎ、または不活発な甲状腺の最初の徴候がうつ病であるかもしれません。甲状腺機能亢進症の神経質や不安、多動性により、その人が正常な日常活動を行う能力が妨げられることがしばしば起こります。不安とうつ病のどちらもひどい場合がありますが、甲状腺機能亢進症であることがわかり、治療を受けると改善を見るはずです。

うつ病は、疲労や精神鈍麻、嗜眠などを伴う甲状腺機能低下症の方に多く見られます。医師が根本原因である甲状腺の検査を行わずに、誤って最初からうつ病の治療をしていまうことがあるほどにうつ病がひどい場合がよくあります。ほとんどの甲状腺機能低下症が50歳を過ぎてから始まるため、その症状がしばしば加齢、更年期障害、うつ病のせいにされてしまいます。

産後うつ病
約20人に1人の女性が、産後に甲状腺機能の変化を経験します。これは若い母親の責任が相当に重い時期であるため、疲労や感情的症状をやらなければならない仕事が増え、睡眠も十分にとれないせいにしてしまうことがあります。しかし、一部の医師は、うつ病の出ている若い母親は誰でも、甲状腺機能が正常であるかを確かめるために、TSH検査を受けるべきであると言っております。

双極性気分障害と甲状腺疾患
双極性とは比較的新しい用語で、感情が高まったり、低まったりする、つまり高揚から「憂鬱」へと移り変わる傾向のある人のことを医師が言い表すのに使います。この集団のサブグループには 少なくとも年に4回の大きな気分の高低があることを意味する「ラピッドサイクリング(早い周期変動)」が出ます(この80%は女性です)。そして、このような人の20〜50%に甲状腺ホルモン欠乏の証拠があるのです。中には何ともない人もおり、その人の甲状腺の機能が落ちている証拠は、唯一血液中のTSHレベルが高くなっているということだけです。それ以外の人は明らかな甲状腺機能低下症です。

リチウム:一部の患者には問題です
医師はうつ病の治療のため、長年リチウムを処方してきました。この薬剤は副作用の発生率も低く、うつ病の治療成功率が高いのです。特に、先に述べた早い周期変動を含め、双極性障害に効果があります。

残念ながら、もともと甲状腺の機能障害を起こしやすい傾向のある人では、リチウムが原因で甲状腺機能低下症になることがあります。ほとんどの医師がこの関係を知っているので、今ではリチウムを処方する前に医師が患者の血清TSHレベルをまずチェックし、薬を飲んでいる間は定期的に甲状腺検査を繰り返して行うのが普通となっています。

あなたには危険性があるのでしょうか?
うつ病の人がすべて甲状腺の病気に罹っているというわけではありません。それでも、甲状腺機能障害はなかなかわかりにくいわりに治療に反応しやすいため、ほとんどの医師が最初に甲状腺機能をみるために血清TSH検査を行います。

あなた自身や、近い親族に甲状腺の病気があれば、危険性は高くなります。また、インスリン治療を必要とする糖尿病のような自己免疫疾患や悪性貧血、あるいは皮膚に白い斑点が出る白斑症に罹っている場合も危険性が高くなります。あなた自身や近い親族に若白髪(30歳前に白髪になる)、あるいは程度の如何を問わず両手利き、または左利きがあれば、やはり甲状腺機能障害を起こしてくる可能性が高くなります

しかし、うつ病に罹っている場合に甲状腺の病気を見逃す危険性はないのでしょうか。これらの心配なことを医師と話し合い、うつ病の治療を受ける前にTSHのチェックが行われたかどうかを確かめてください。

あなたには危険性があるのでしょうか?
うつ病の人がすべて甲状腺の病気に罹っているというわけではありません。それでも、甲状腺機能障害はなかなかわかりにくいわりに治療に反応しやすいため、ほとんどの医師が最初に甲状腺機能をみるために血清TSH検査を行います。

あなた自身や、近い親族に甲状腺の病気があれば、危険性は高くなります。また、インスリン治療を必要とする糖尿病のような自己免疫疾患や悪性貧血、あるいは皮膚に白い斑点が出る白斑症に罹っている場合も危険性が高くなります。あなた自身や近い親族に若白髪(30歳前に白髪になる)、あるいは程度の如何を問わず両手利き、または左利きがあれば、やはり甲状腺機能障害を起こしてくる可能性が高くなります

しかし、うつ病に罹っている場合に甲状腺の病気を見逃す危険性はないのでしょうか。これらの心配なことを医師と話し合い、うつ病の治療を受ける前にTSHのチェックが行われたかどうかを確かめてください。

Wood博士はTFAの会長兼医療部長であり、またハーバード大学医学部内科指導医、ボストンのマサチューセッツ総合病院の協力医をなさっています。

. Dr.Tajiri's comment . .
. 甲状腺疾患とうつ病の関係については以下のページを参考にしてください。
甲状腺ホルモンバランスの乱れとうつ病、不安、気分の浮き沈み
体内で作られる薬:抗うつ病薬としての甲状腺ホルモン
産後うつ病:ホルモンとのつながり
甲状腺ブルース【Thyroid Blues】
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