数回の実りのない医師Aの診察の末に、ついに私と夫は同じ病院のもっと信頼できる医師Bに血中TSHを測ってもらった。わたしの病気の診断名が分かりました。潜在性甲状腺機能低下症です。
4月12日、私はLevoxyl(レボキシル)をはじめて服用しました。
医師Bが急に転勤になったので、同じ病院の医師Cが薬剤を処方してくれました。私は、症状がなくなるのを希望に満ちて待ちました。
まさか、これが医者、意地悪な看護婦、おせっかいな他人、無数の情報、もっと多くの症状の迷路への複雑な旅の始まりであるなんて考えも及びませんでした。
レボキシルを飲み始めて数日間は、どちらかというと症状は悪化しました。生理は始まりましたが、前回の生理が終わってたった12日後で、あまりにも早すぎました。今までも子宮筋腫のために生理は多く、長めでしたが、今回の生理は最悪でした。
「これは、私が飲んでいる甲状腺ホルモンのせいであろう。Levoxylが私の生理に影響を与えているに違いない」と私は考えました。
医師Cに相談しましたが、全く話しになりませんでした。彼女は、私の問題を解決してくれませんでした。
私が「意地悪パンツ」というあだ名をつけた看護婦は、ニューヨークのアメフトチーム「ジェッツ」のディフェンスよりもガードが堅そうでした。彼女は、医者のためにディフェンスを行っているようで、医師に連絡したがりませんでした。私は、なんとか彼女に頼んで別の医師に診てもらえるようにしてもらいました。医師Dは、Levoxylが私の生理に影響を与えている可能はあることに同意しましたが、経過をみながら、Levoxylを引き続き服用するように勧めました。
生理は、やはり不規則で、今飲んでいるクスリや自分の状態についてもっと知りたいと思いました。そこで、インターネットから期待以上の情報が得られました。甲状腺ホルモンは体中の細胞に影響を及ぼすので、甲状腺は「支配的な臓器」と呼ばれていることも知りました。私は働きが低下した甲状腺がエネルギーの低下を招いていることを即座に悟りました。そして、わたしのような軽い甲状腺機能低下症でさえ、生理不順になること、他の症状も引き起こすことを知りました。
甲状腺で産生が落ちている甲状腺ホルモンを補充するために、合成甲状腺ホルモン(T4)を飲むことも知りました。T4は体内でT3に変換されることも分かりました。一度にいろんなことを読んだ私の頭の中は混乱してきました。情報が多すぎて、吸収できないほどでした。あまりにも複雑でした。医師たちは何故、わたしにこのことを説明しなかったのかと思いました。ちゃんとクスリについて説明するのが彼らの仕事であるはずです。
私は定期的な診察に満足していなかったし、「意地悪パンツ」看護婦にもうんざりしていたので、私が通院していた産婦人科で働いている別の医師に診てもらうことを決心しました。私が診察をうけた印象では、その医師Fに好感が持てました。彼女は私と同じくらいの年齢で、暖かい感じで、質問も当を得ていました。私の状況、この数ヶ月の症状、血液検査結果などを彼女は熱心に聞いてくれました。医師Fは私の症状を緩和するために、Levoxylを服用することに関しては賛成してくれました。そして、しばらくLevoxylを飲んでいると症状も改善してくるでしょうと言ってくれました。それまでに1週間、Levoxylを飲んでいました。しかし、彼女は私くらいの軽い甲状腺機能低下症でそれほどひどい症状が出るとは考えにくいと言いました。事実、彼女は優しく、「あなたはうつ状態なのよ。それに対するクスリが必要だわ」と言いました。
私はとても驚いて、診察台から落ちそうになりました。私がうつ病であるという彼女の意見にはついていけませんでした。「これは一体何なの?」と思いました。彼女が私の病状を説明するのを聞きました。「あなたは睡眠障害があり、怒りっぽく、集中できないし、体重が増えているわ。これらの症状から考えて、あなたは甲状腺の治療よりも精神科で治療を受けた方がいいわ」と彼女は言いました。彼女は、処方せんを書いて薬剤の有用性について説明し始めました。
私はProzac(プロザック:抗うつ剤)の処方箋と黄色い小さな説明書を持って、病院を出ました。箱の無気味な太陽の絵を見て、わたしは箱の中のクスリには気を付けるべきだと感じました。私は、夫や何人かの親しい友人に新しい処方について話しました。すると、みんなは同様に驚きとともに疑いを持ちました。
そこで、私はどうするか考えるためにクスリを数日間、引き出しにしまい込みました。
4月の終わりのある朝、私は目覚めたときに、気分がずっと良くなっていることに気づきました。私はそれまでは気分がいつもすぐれなかったので、変化をはっきり感じられました。翌日、私は朝から晩まで元気でした。もう疲れも感じませんでした。Levoxylを開始して2週間たったことを思い出しました。
そして、うれしさで一杯になりました。「病気は良くなった!」私は、うれしくなってすぐ夫にそのことを話しました。私は、いまいましい処方箋をゴミ箱に捨てました。
これで、またエネルギーが湧いてきて、余分の体重は減り始め、皮膚のかさつきもなくなり、毛髪は元のように柔らかくなるであろうと思いました。私はちょっとばかり興奮しました。
しかし、何も変化は起こりませんでした。
皮肉なことに、またしても2週間後に生理が始まりました。 |
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