- 甲状腺ホルモン剤投与によるTSH抑制療法やケナコルト(副腎ホルモン剤)局注療法が効かない大きな甲状腺腫を持つ慢性甲状腺炎患者9例に対して、外来で放射性ヨード治療を行った。
- 治療前の甲状腺重量は、124.9±61.1ml(62.0〜269.4ml)である。放射性ヨード治療後の甲状腺重量は、64.1±23.4ml(24.1〜91.6ml)と有意に縮小した。縮小率は45.5±19.3%(6.8〜66.0%)である。
- 放射性ヨード投与回数は、5.0±1.3回(2〜6回)で、総投与量は84.4±22.2mCi(38.8〜108.4mCi)である。
- 放射性ヨード治療後、TSHが100mU/Lを越えるような顕性甲状腺機能低下症になった症例は9例中2例だけであった(146.7mU/L,115.7mU/L)。残り7例のうち、6例では治療前とくらべてTSH値がほんの少し増加した軽度甲状腺機能低下症を示したのみであり、一例は全く甲状腺機能が正常であった。
- 甲状腺腫が有意に縮小するのに要する期間、治療回数、放射性ヨード投与量はそれぞれ、13.0±4.3ヶ月(8〜18ヶ月)、4.0±0.8回(3〜5回)、67.2±13.6mCi(52〜90mCi)であった。
- 慢性甲状腺炎に対して行った放射性ヨード治療としては、これが最初の報告である。今回の結果から、限定された患者に対して治療法の一つとして選択肢に加えても良いのではないかと考える。
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