Levoxyl(レボキシル)を1ヶ月間服用後、調子はかなり良くなってきました。しかし、元の自分に戻ったようには感じませんでした。1月以来、私は5人の医者に診てもらいました。そのうちの4人は同じ病院の医者でした。医師1は、母親になった責任のために私が参っているのだと言い、ビタミンCを飲むように勧めました。医師2にいたっては、夫と私が彼を拝み倒して、ようやく血液検査をしてもらったのですが、その後どこかへ行ってしまいました。医師3は、診断を付けてくれましたが、Levoxylを開始してから、なぜ私が2週ごとに生理があり、量も多いことに対して説明することができませんでした。
医師4は、時々電話で質問に答えてくれましたが、私に対して治療はしてくれませんでした。そこで私は、別の病院の医師5に診てもらいました。Levoxylによる治療は有効であると言ったのに、うつ病と診断し、わたしにProzac＜注釈：うつ病のクスリ＞を処方しました。その処方箋は結局、ゴミ箱行きになりました。
さらに、Levoxylを開始する前より奇妙な症状さえ感じるようになっていました。私の皮膚は荒野のように荒れていて、私の顔はアンデスの地形のようにデコボコに見え、頭皮は痒く、乾いていました。私は、石鹸、湿潤液、シャンプー、ヘヤーコンディショナーを替えてみました。しかし、何の効果もありませんでした。たとえ私が体の隅々までエネルギーを蓄えたとしても、そして一日中眠ったとしても、元気がもう一つ出ないし、何か変な気分でした。遅いペースで歩いているときでさえ、時々息切れを感じました。いつも肉体的に元気であったので、私は息切れを感じることに驚きました。
1月以来、右の親指がしびれた感じがしていました。体操や整体などをしましたが、そのしびれ感は良くなりませんでした。ジムに行って運動をしたあとには、足が鉛のように重く感じられました。以前は40〜60分ぶっ続けで運動できていましたが、今は30分もするとへばります。特に、右足の筋力が落ちたように感じ、痛みも感じます。そして、夜になると足をクッションの上に乗せて座っています。そうすることで膨らんだ足から空気が抜けて平たくなるような感じがしたのです。
体重を減らすための運動が、かえって体力を落としているのだと確信しました。急激な体重減少はかえって有害であると、私自身をたしなめました。体重増加は止まりましたが、それから1ポンドも減ることはありませんでした。本当に1ポンドも！週によって体重の変動はありました。ある日、2ポンド減量でき、ついに減量に成功したのだと考えると嬉しくて、家まで踊るようにして帰りました。しかし、1週間後、体重は元に戻っていました。
診断を受けて以来、喜んだり落ち込んだり、自分でもおかしくなるほど滑稽でした。私は答えを探すたために本やインターネットで調べました。わたしの多くの症状が甲状腺機能低下症と関連しているように思えました。夫と私は冗談を言い合いました。もしどちらかが車の鍵を失ったり、コーヒーをこぼしたりあるいは何かちょっとした不運な出来事に遭ったら、我々は厳粛に互いを見て、きっぱりと言うでしょう、「それは甲状腺機能低下症であるに違いない」と。
しかし、いいことも沢山ありました。普通のときは、調子が良かったのです。疲れを感じずに目覚めることができました。霧が晴れていくように感じ始めていました。今までは娘との楽しい時間を過ごすことを忘れていたように感じるようになりました。娘が生まれて以来3年間、ずっと娘との楽しい時間を持てなかったと思いました。私はただ、その日その日を無為に過ごしていただけでした。そして、私はいつも彼女のためなら火の中にも飛び込んでもいいと思っていましたが、実は彼女を正しく理解していなかったのです。
今年の春は、例年より明るく軽快に感じました。私と娘は車で毎日、いろんなところに行きました。それはまるで拳銃を持たないThelmaとLouiseのようでした＜注釈：有名なアメリカ映画のコンビではないでしょうか？＞。わたしたちは、図書館や公園に行きました。友人の所へ訪れるために、日帰り旅行をしました。昼食のために外出するか、あるいは芝生で一緒に座って時間を過ごしました。くすくす笑うことが沢山あり、それは楽しい時間でした。
最初、わたしは彼女が突然いつもより楽しそうになったように感じました。実は、彼女は以前と変わってはいないのだと理解しました。わたしがいつもイライラしていただけでした。多分、私の方が彼女の足手まといであったのです。そんなとき、わたしのルンルン気分をぶちこわすようにまた生理が始まりました。6週間で3回目の生理でした。今回は17日間も続きました。そのうちの4日間は、1998年に帝王切開を受けて以来、最悪の日々でした。私は、診断してくれた医師3に診てもらって、この問題について彼女がどう考えるかを相談しようと決心しました。私は、彼女に診てもらうためには、“意地悪パンツ”看護婦に電話で取り次いでもらわなければならないと思いました。しかし、わたしが医師3に電話を取り次いで欲しいと言ったときの彼女の不機嫌な口調にもかかわらず、私は穏やかで、我慢強い状態を保てました。その日、わたしの電話に対する返事はありませんでした。そこで、私は翌日また電話を入れました。それでも返事はありませんでした。その日の午後、ついに私は、まるで気が狂ったかのように大声で、義憤に満ちて、横柄な態度で、直ちに医者と話すことを要求しました。しばらく、電話口で待たされました。それから、とても不快そうな声が、電話口から聞こえてきました。それは医師3でした。「私にはなぜ生理が多くて、長引くのか分からない。産婦人科の問題ですから、あなたは予約を取って、婦人科医に診てもらうべきです」と彼女はピシャリと言いました。
「しかし、私は甲状腺ホルモンを飲んでいます。そして、医師4(医師3の上司)は、Levoxylがこの変化を引き起こしていると言いました。さらに、この薬を服用し始めて6週間になります。体中の血液がすべて出てしまうように感じます。2週間後でなく、今すぐにTSHを調べて欲しいのです」と私は言いました。
「いいでしょう。すぐに検査しましょう」と彼女は言いました。
数分のうちに車に乗って、検査オーダーの紙を取りに行きました。検査してくれる診療所にその足で行きました。2日後、留守番電話に“意地悪パンツ”看護婦からのメッセージが入っていました。「検査結果は正常のようです。医師3は不在ですが、医師4があなたの結果を見て、引き続きLevoxylを服用するようにと言っています」
「とんでもない。私はずっと生理用タンポンを着けているのよ。あなたもLevoxylを飲んでみたら」と私は思いました。
“意地悪パンツ”看護婦に折り返し電話して「検査結果をファックスしてください」と言いました。
明白に、私の生意気な行いに我慢ならない様子でした。「私は、あなたの検査結果は異常ないと言いましたよ」と“意地悪パンツ”看護婦は不機嫌に言いました。
「検査結果を別の医者に見てもらいたいのです。どうか今すぐ、検査結果をファクスしてくださいませんか？」と私は言いました。
数分後に、結果がファクスされてきました。TSH値は2.65でした。結果は良くなっていました。私は気乗りしませんでしたが、娘の出産に立ち会ってくれた産婦人科医に電話をして、生理の悩みについて話しました。「もちろん、甲状腺ホルモン剤は生理不順に影響与えていると思うわ。あなたは甲状腺の治療を受けているのよ。甲状腺はすべての臓器に影響を与えるわ」と彼女は直ちに言いました。
私は疑いが晴れた感じがしました。そして、医師1から医師4を永久に溝の中に蹴りこみました。
ただちょっとしたいたずら気分で、私はその夜、寝る前にAbout.comにある甲状腺機能低下症フォーラムにメッセージを書き込みました。私は他の人もLevoxylを服用し始めて、量の多い、だらだらした生理を経験したかと尋ねました。翌日、一人の女性から同じような経験をしたと返事がありました。
「月経前症候群1週間、その次が生理。私はArmour＜注釈：ブタの甲状腺ホルモンを乾燥させ飲み薬にしたもの、日本ではチラーヂン末またはチレオイド錠として処方されています＞を飲み始めて1ヶ月以内に、元の自分に戻りました」と彼女は書いていました。
ほとんど文字どおりに、それは私の状況に当てはまりました。私はとてもありがたく思い、彼女を抱き締めたいと思いました。すぐに、数人の人からArmourを飲み始めたら、生理不順が良くなったことについての書き込みがありました。Armourに関してもっと知りたいと思い、Broda
Barnes医師が書いた『甲状腺機能低下症：疑われることのない病気』という本を買いました。＜注釈：この本は、『医者も知らない甲状腺機能異常症候群』という邦題で中央アート出版社から出版されています＞
故Barnes医師は、自然の甲状腺ホルモンを治療に使うべきだと主張していました。その本の中で、Barnes医師はあざやかに微に入り細にわたって、すべての私の症状について述べていました。それらは甲状腺機能低下症に由来する症状でした。彼は月経障害について一つの章を割いていました。私はこれまでに経験したすべての奇妙な、説明のつかない問題は実は隠れた甲状腺機能のアンバランスと関連していたのであろうと理解し始めました。彼の本は、甲状腺ホルモン剤に関する情報でいっぱいでした。
Armourは実はブタの甲状腺を粉末にしたものであることを知ったときには、少し気持ちが悪かったですが、Armourは、何十年も治療に使われてきた事実を読んで元気づけられました。Ridha
Arem医師が書いた『The
Thyroid solution：甲状腺の悩みに答える本』によれば、Armourを数年間にわたって飲んでいる多くの患者は、他の甲状腺ホルモン剤に変えることをきっぱりと拒絶するそうである。合成T4製剤であるLevoxylと違って、Armour
はT4とT3を含有しています。私の体の中でLevoxyl(T4)がT3に変換されることを期待するより、私の体でいつでも利用できる状態にあるArmourに含まれているT3に期待する方が確実に思えます。Armourに含まれているT3とT4の割合はヒトとまったく同じではありません。しかし、私から見れば、それはいくらかの利益を与えるのに十分に思えます。
About.comでArmourに関する書き込みを詳しく調べて分かったのは、医師にArmourの処方をしてもらうことは容易ではないということでした。ほとんどの医者はSynthroidや他のT4製剤を好むようだとフォーラムの人々は書き込んでいました。Levoxylの服用を始めて約2ヶ月間が経っていましたので、わたしはすばやく行動する必要がありました。
Levoxylの治療を開始した頃に診てもらった医師5に相談することにしました。彼女が私の症状はうつ病によるものだと言ったときには、ショックを受け、失望しました。しかし、わたしの希望を聞いてくれそうなのは彼女しかいないと思っていました。彼女の診察を受けるために、予約を取りました。それから、私は本の中でArmourに関するところを抜き出し、インターネットからの情報を印刷してArmourを飲んだ人たちの経験談を用意しました。私はメモも用意しました。メモには、Levoxylを飲み始めてからの症状の変化を詳しく書きました。とどめの一発として、娘を産んで9ヶ月後ころのサイズ-8がぴったしのスリムな体型を保っている自分の写真を持参しました。それらの写真を見ていると心の中にある悲しみがこみ上げてきました。たった3年しか経っていませんが、わたしは非常に変わったと思いました。
医師5と面談したときに、彼女は私が詳しく調べていたので、私が持って来た情報の多さに明らかに驚いたように見えました。彼女に最近診察してもらった際、医師5は私の話を熱心に聴いて、メモを取りました。私が彼女に3ページのメモのコピーを手渡したとき、「Levoxylを服用してから血中TSHが正常範囲になっているので、あなたの症状が軽度甲状腺機能低下症によって引き起こされているとは考えられません。しかし、あなたがArmour
を服用することで症状が改善すると考えているなら、Armourを試してみましょう」と彼女は言いました。
まさに、その言葉を待っていたのです。私はArmourの正しい一日分の投薬量を決めるために、医師5と話し合いました。処方箋を持って、彼女のオフィスを出るとき、明るい、陽気な午後の日差しの中を歩き始めました。
「OK、これですべてうまくいくわ」と私は思いました。 |
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